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『ホムンクルス』第11集/山本英夫

2009-12-29 | 青年漫画
 
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俺の生き写しめ……
どいつだ……
俺の実感(前の顔)を知っているやつは?


死を前にした父の懺悔に泣き崩れる伊藤、巡り巡って「嗅覚」に戻ってきた名越。

自分の足は臭いを放たなくなったと、自分は何なんだと町中を歩いていた名越の顔を覗き込んだ、公園のホームレスのケンさん。「いけねえよ。」と。下向いて歩き、自分以外を遮断するには早いと。
路上で靴を売る男の臭いに気付き、名越は前の顔の自分の写真が一枚だけ残っていたと思い出す。

甦る記憶は、勉強とマスターベーションの繰り返しの、トラウマも楽しみも挫折も喜びもなかった、顔を変える以前から既に何もなかった「昔」。顔を変えても「表情」は何一つ変わらなかった。
顔でもなく、金でもなく、車でもなく、見て欲しかったのは「俺自身」。「俺を見ろ」という叫びはやがて「俺を見てください」という絞り出すような懇願に変わり、俺を見てくれた人はかつて一人だけ、いた。そう思い出す。

ガソリンが尽き、車が走らなくなった処に現れる、昨日の服を記念に買い取らせてくださいと言う伊藤。父親から真相を聞かされた伊藤は、「人間」は「勝手」の同義語だと答える。セックスをして射精をしたことはないが性同一性障害でもないと言う伊藤、父親というケースが壊れた今、思うままにしてみようと思うと。名越は睨み付けるような目で人間とは外見(カタチ)だと反論する。
実感がないのを顔(カタチ)のせいにして、それを変えて、それでもやはり実感は無かった。かつて「俺」が存在していたほんの3か月の期間、唯一「透明人間」だった自分を見てくれた、本物の視線をくれた人は、ホムンクルスの見える女だった。
その女(ひと)は名越さんをどう見ていたんですかと問う伊藤に、その時の俺のホムンクルス(心の歪み)は、絶対に、教えないと突き放す名越。

公園に集うホームレス達に、車で暮らす名越は酒を2本持ってくる。今日の炊き出しのボランティアのようなねえちゃんとオメコしてえと盛り上がる連中に、いつもの虚言癖と嘲笑われながら、モデル並みの女なら腐るほど抱いてきたと話す名越。ただ、自分が見てきた女で一番いい女は、とてつもないブスだったと。彼女は人の心の見える女だったと説明しようとし、再び口の左側を上げて、ただの病気だったのかもしれませんねと。

下を向いて歩きながら足下に穴を見付ける夢から覚め、名越の視界から消えるホムンクルス。以前自分に股を開いた商売女の一人が目の前に現れ、ポルシェをなくし無精ヒゲを生やしている自分を軽蔑して笑い、別の男と一緒に立ち去る。何故見えなくなったと取り乱して伊藤に電話する名越。
自分の問題が終わったのでもう面倒はご免だと目を背ける伊藤に、「オマエのホムンクルス(ズレ)を見れるのは俺だけだ。」と、塞がった穴をもう一度空けろと強いる。

膿とカサブタを取り除いても見えないと手術台の上で怒鳴り、壁に貼ってあるレポートには穴は7ミリ以上でないとトレパネーションの効果は期待できないと書いてあるとまくし立てる。ホムンクルスは思い込みだとはぐらかす伊藤、それが幻覚・妄想ではないのはオマエが一番身をもってわかっているはずだ。


お薦め度:★★★★☆
ゾクゾクした! 鳥肌立ちます。
最近『スピリッツ』を買ってないんですが、まだ完結はしていないようです。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Jing*3)
2009-12-29 19:42:33
ミクシィはやめましたがこちらにはお邪魔させていただきますね。

ああ、またネタバレ防止のために本文は一切読んでません(笑
地方なのを恨みます、いやホント。
第11巻 (Wrlz)
2009-12-29 20:44:42
>Jing*3様

ラストページの大コマで笑っている名越がいたので、完結が近いような気もしますが。

漫画ブログは当分続けていると思いますので、来年もよろしく。

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