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『超人ロック エピタフ』第3巻/聖悠紀

2009-08-25 | 青年漫画
 
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正に銀河帝国の黒歴史。第3巻ではハラルド帝時代の「サイバー船」開発の経緯が明らかになります。
しかし『エピタフ』の連載を許している『フラッパー』はすごい雑誌です。完全版が刊行されているとはいえ、過去作品を全部読んでいる人にしかもう分からないお話になってきましたよ(笑)
いちいち全てを解説するつもりはありません。むしろ、完全版で過去作品を読んで『エピタフ』を理解して下さい。
「アンリ・バイロン」として生きている青年時代のブリアン・ド・ラージュの物語がメインのあらすじなのでしょうが、その背景の歴史に関しての方を書きたいと思います。

今はブリアンの「バイロン候補生」時代を描いていますが、既に現皇帝ハラルドの信頼を得ている。そしてカル・ダームIV世の治世に第一大臣でしたからかなり順調に「不幸な出世」をしていった人物なんですね。
ウーノット大佐がここで出てきたのが驚きです。カル・ダームIII世の腹心で、『書を守る者』(宇宙歴0890年)でその脳を使用した兵器(Eバスター)になっていた人物です。
サイバーが違法になったのは太陽系連合時代で、その後何世紀経過しても時の権力はサイバーを許してはきませんでした。初期の帝国が銀河連邦のデータをそのまま引き継いだ物なのでそれは当然ですが、長期間に渡り法改正の動きすらなかったという背景に、「サイバネティクスとESPが相容れない」という根本的な問題があると私は感じています。
カール・ダーム帝がサイバー船に最後まで反対していたことが明らかに。しかしライガー1は既にジェノサイド船の準備まで進めていた。かなり初期の段階で。法でサイバーを禁じておきながら、権力はサイバーを自分達だけの兵器として開発していた。それは正に「暗黒史」です。SOE(大地の歌)が勢力を伸ばしてきた頃に「浄化」のために使用されていたと思ったジェノサイドですが、一体いつから反乱鎮圧に使用されていたのか。
銀河帝国がいつからおかしくなってきたかというと、初代ナガト帝が銀河コンピューターに遺されたデータを手に入れた時から既に道を誤っていたわけですが、少なくともトレス女帝は気付いていなかった。ライガー1を増設するなど、それに依存するシステムに対し肯定的とも言えました。
今のようにインターネットが一般的ではなかった1980年代に既に、「コンピュータによる情報管理の脅威」を克明に描いていた聖先生もすごい。『魔術師の鏡』でブリアン・ド・ラージュがコンピュータネットワークこそが帝国の真の力とラフノール僧のネリクに言い放つシーンがありますが、候補生時代にラミーから「情報を制する者が全てを制する」と学んでいた。

セテ・マイノック公は事実はどうあれ、「ナガト帝の実子」という認識でしたから、マイノックと帝国が良好な関係に修復できたのは必然です。
合同演習をするマイノック軍と帝国軍。そこでの功績も、バイロンにとって出世のための踏み石か。その後、帝国軍の中尉に任官。

ライガー1の「異常」に最初に気付いたのはカル・ダームII世ではなく、おそらくカール・ダーム帝も、外戚カール・オーリックであった自分の即位をライガー1に認めさせた時(『メヌエット』)はともかく、気付いていたと思います(第2巻の退位のくだり参照)。カル・ダームII世の設立したSOEと、カル・ダームIII世の引き継いだ、後の新銀河連邦の母体となるSOEはある意味まったくの「別物」と捉えられます。
ジェノサイド船とサイバー船がライガー1にとっての「アドリブ」ではなかったかというラミーの解釈は興味深いです。それを聞いたブリアンはマグノリア保険と一番やりとりの多い軍病院を調べようと言い出す。
ブリアンはもう薄々気付いているし、おそらくこの後、ライガー1の本質を知ってしまうのだと思います。全て知った上で第一大臣に就任しカル・ダームIV世の治世に多くの功績を残したとしたら、どんな気持ちで皇帝に仕え、どんな気持ちで死んでいったのか。ブリアン・ド・ラージュがいつ死んだのかは分かりませんが、帝国の崩壊は見ていないはずです。SOEの存在は知らずに死んだかもしれません。リート・フリーマンと深く関わっていながら、その子孫がSOEの幹部となっていったのはなんという皮肉な歴史なのか。
ブリアン・ド・ラージュは「絶望」して帝国に尽くしたのか、何か思うところがあって帝国の要職に就いたのか。そこは是非読みたい部分ですし、もちろん聖先生もそこを描いてくれるわけです。ファンにとって本当に嬉しい作品です。


お薦め度:★★★★☆
とにかく面白い。過去作品と同時に読むとミッシングピースがどんどん埋まってきます。
ただ、4つ星付けているのは私が過去作品を全て読んでいるからで、未読の人にはサッパリだと思います。
40年続いている壮大なスペースオペラなので量が凄いですが、是非読んで頂きたい作品『超人ロック』。


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2 コメント

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黒歴史 (笛巣田 真夜)
2009-08-26 23:08:12
もう完全に「一般用語」なんですね・・

モトねたを知らない人も結構いるのではないでしょうか。
 (Wrlz)
2009-08-26 23:18:35
>笛巣田 真夜様

まあ、帯のキャッチを書いたのは出版社ですから(笑)


聖先生の言葉じゃないですよ。

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