アルバニトハルネ紀年図書館

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『bianca』2012年6月増刊号

2012-05-02 | 少女漫画
 
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 執筆陣の豪華な顔ぶれに引かれて、嬉々としてbiancaを買った。面白くて読みごたえがあって、満足。とても贅沢で優れた一冊だ。

 読み終えて感じたのは、この増刊は「攻(せ)めの一手」なのだろうな、ということ。
 自分も含めて読者というのは案外「保守的」で、「今まで読んだことがないような漫画を読んでみたい」と思っていても、本心では「いつものように面白い作品」を求めているような気がする。「まだ読んだことがない雑誌」を意欲的に読み続けている人はもちろんいるだろうけれど、「普段買っている雑誌の増刊号」というのは、私には手に取りやすくて親しみやすい。電車に喩えれば、聞いたこともない路線に飛び乗って名前も知らない街で降りてしまう、いくばくかのリスクを伴うのが、前者の「まだ読んだことがない雑誌」。普段の路線の、目的地より少し先の駅で降りるような手軽さが、後者の「普段買っている雑誌の増刊号」だ。この『bianca』は、かなり前者寄りの後者だと思う。そして、それは良いことだ。

 「私は漫画を楽しむことに関してそんなに受け身じゃない」という異論はあるかもしれないけれど、「創る側」でない限り、読者は本質的に「受け身」だと私は考えている。少なくとも私は、職業として「創る側」になった経験は皆無なので、漫画に関しては常に受け身だ。
 一方、『別冊マーガレット』というまんが雑誌を創っている方々には、私たち読者の「来月も今月号と同じように面白い雑誌を読みたい」という、保守的な「わがまま」に応え続けている一面もあるかもしれない。
 私は自分が買っている雑誌に、つい「いつもの通り面白い」ことを求めてしまう。例えば毎月13日に買っている別マが、「先月とはまるで違う別マ」だったら、おそらく戸惑ってしまう。だからこの『bianca』は、(仮に、本誌が「いつもの通り面白い」のを維持することを目標の一つとしていて、それを「守り」と呼ぶならば)、「攻めの一手」のように感じられる。私のような読者のそういう、悪く言えば「たるんだ」部分に対する、「普段とは違う漫画も読んでみなさい」という、良い意味での刺激だ。

 渡辺カナのまんがで彩られた、擬人化されたビアンカの一日を、「可愛らしい」の一言で片付けてはいけないような気もする。あの文章は、わずかなアイロニーも含んでいるように思える。面白い漫画を読みたいと欲しながら、知らない作品に片っ端から手を出そうとはしていない、己の「視野の狭さ」を私は再認識させられる。
 
 「本当の別マは、もっとすごい雑誌だ。まだ見せていない実力はたくさんある」という、出版社の本音も感じるというと、穿(うが)ちすぎかもしれないけれど、「本誌とは違う増刊号」を創ることには見事に成功していると思う。「優れた雑誌の増刊号だから、自動的に優れた雑誌になる」という創り方をされず、本誌とは違う魅力を発揮させることで優れた一冊になっていることは、確かだ。

 個々の作品では、「おっさん/おじさん」を主人公にした二作と、感情をあまり露(あらわ)にしない男の一作が、私は特に好きだ。



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