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『シドニアの騎士』第4巻/弐瓶勉

2010-12-24 | 青年漫画
 
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俺……こんなうまい食べ物がたくさんあって
大勢の人たちが幸せに暮らしているシドニアがすごく好きです
昔いたそんな偉い人みたいになれる自信は全然ないですが
シドニアを守る為に俺にできることがあるならなんだってします!



「こすヨメ'11(イレブン)」への投票記事を補足する内容の記事になるけど、サイコーにカッコイイ、興奮するマンガだ。
ロボットが宇宙で戦うマンガってサイコーにカッコイイよね!という、理屈抜きの、どこまでもどこまでも無邪気な「男の子の悦び」を、圧倒的な表現力を以て描いている傑作だ。
そういう意味では青年向けの漫画雑誌である『アフタヌーン』に連載されているけど、小学生の男の子が、内容の全ては理解できなくても、先(ま)ず読むべき漫画だ。


継衛(ツグモリ)がカビザシを装備し、谷風長道(たにかぜながて)が槍手(そうしゅ)を務めると突然決まって出撃する衛人隊。指令補佐官となった緑川纈(ゆはた)が消耗ゼロで叩き落としてと指示を出す。その少し前に、正規操縦士になったイザナに「俺たちの時間はゼロじゃない!!」と、その手を掴んで語った長道。

浸食が大きすぎると減速を命じられた〇八七番機と誤認された機影の正体がガウナだと判明する。こいつは紅天蛾(ベニスズメ)だと声を荒らげる纈。艦長は全班に侵入者の迎撃を命じるが、追い詰めたガウナはことごとくダミーで、ハッチの前のイザナ機が浸食を受ける。戻るなと命じられた長道が、「ヒロキだけができた技」でガウナを行動不能にする。

谷風長道を英雄の再来だと確信する小林艦長。遅刻を咎められた長道は、しどろもどろになりながらも、全力を尽くすと艦長に誓う。
「だっ だだだ だって俺はシドニアの騎士ですからっ!!」

右腕と左足を失ったイザナは祖母の薦めで機械式を選択する。かつて斎藤ヒロキと共にいたが今は船員会に発言できないヒ山ララァは、長道を全戦闘出撃させている小林艦長の、不死の船員会以外の船員が不死者であってはならないという船員会と、長道の保護者との間で板挟みになっている葛藤を知る。
十万人の非武装主義者たちの降船が決まり、「降ろしの儀」を前に百年前と同じ嫌な感覚を思い出すララァ。落合の補助脳の制限が解除される。

長道を連れて「ガイドブックには載ってない穴場」を巡るデートをする纈とイザナ、「重力館の女将 田中」として一般船員にまぎれていた小林艦長。MSCF(最厳重警備隔離施設)に迷いこんだ三人の中で纈とイザナだけが、そこである物と人々とを見てしまう前に眠らされる。
十年前に再始動した計画、職人を使わない岐神開発ではなく、東亜重工の技術で開発されている新兵器。長道をテストパイロットとしての非公開実機試験のさなか、衛人を出撃させても間に合わない座標にガウナが出現する。艦長は谷風長道の出撃を許可し、新兵器の情報の解禁を命じる。

射程外のガウナを長道が放った二弾目が撃破し、船内から歓声が沸き起こる。
ロボットが己の全長よりも圧倒的に長い砲身の火器から弾を発射する姿は、「理屈抜き」にカッコイイ。
「戦争ごっこ」をして遊んだ少年時代の興奮を見事に再現したシーンだ。カッコイイ物はそれだけで大きな価値がある。

そして長道が、一度自分を陥れた岐神(くなと)の家を訪れ、海苔夫(のりお)に対してクサすぎるセリフを吐く。
口下手で、しどろもどろで、言いたいことが上手く言えないが、正直で真っ直ぐな飾り気のない言葉は彼の心を打つ。
祖父の死後は地下でずっと一人で暮らしていた長道の言葉は語彙(ごい)が乏しく、その話し方は稚拙で、「知っている単語をつなげて必死に自分の意志を伝えようとする様」は、「英雄の再来」とはほど遠く、逆に途方もなく魅力的だ。

船内の居酒屋では、階下で長道を待っていた纈とイザナが、彼が同じ座標にいることに気付く。二階で酔っている長道の姿を見たイザナが義手で柱を叩いた力は梁(はり)を伝わって囲炉裡の上の鍋に作用してしまう。彼らが店内を水浸しにしていた頃、海苔夫は店に現れず、東亜重工が復活したことにより岐神の役目は墓守りだけになってしまうと、一人では開けられない扉を自らの分身と共に開けていた。


お薦め度:★★★★★

「こすヨメ'11」への投票記事内の紹介文と同じ文章をここに繰り返しておきます。
ロボットが宇宙で戦うマンガってほんとにカッコイイよね! 萌え!!
(→第3巻記事)
第2巻と第3巻の記事で言いたいことはほとんど書いてしまいましたが(第4巻は昨日読了、大コーフンだ!)、この漫画に描かれている物こそ「正統な萌え」だという私の主張をここに強く繰り返しておきます。作者はこの漫画が「萌え漫画」であることをおそらく認めないと思いますが、私にとっては間違いなく「萌え漫画」です。
「この女の子はかわいい、萌える」という発言の根底には「このメカは美しい、この兵装はカッコイイ」という美意識があり、弐瓶勉は作中で圧倒的な表現力を以て意図的に「単なる記号としての萌え」を貶(おとし)めることにより、逆説的に「本物の萌え」を読者に伝えようとしているように私には感じられます。
弐瓶勉が作中で「機械や建造物、兵装の美しさ」と「異性(あるいは中性)の美しさ」を同等に扱っているのはとても正しいことで、男の子というのは女の子を好きになるよりも先に車や飛行機を好きになります。『アフタヌーン』に連載されている作品ですが、むしろロボットや戦争ごっこが好きな男の子が小学生の内に、内容は理解できなくても最初に触れるべき漫画です。

この漫画は「凄い」ということを伝えるために、更に過去の文章も繰り返しておこうと思ったけど、第2巻の記事を読んでもらうほうが手っ取り早いでしょう。

どれだけ言葉を重ねても、『シドニアの騎士』というマンガのカッコ良さを伝えるのには限界がある。
何故なら「興奮する」「カッコイイ」というのは「理屈」じゃないからだ。



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