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『桃山キョーダイ』第1巻/ふじつか雪

2010-12-08 | 少女漫画
 
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私 有馬にはずっと
助けられてきたの
一生返せない借りがあるの
こんなこと
言えないよ 有馬には…


ふじつか雪さん、4冊目の単行本。第1巻は『ララDX』平成21年11月号から平成22年7月号掲載の4回と、平成16年11月号掲載の受賞作『無敵のマイブラザー』を採録。

一家6人が同居するにぎやかな「桃山家」の、あたたかなラブコメ。
二卵性の双子として育てられた、有馬(ありま)と千尋(ちひろ)のキョーダイは10歳の時に、父と母の「16」になったら真実を話そうという会話を偶然、ぬすみ聞きしてしまう。

「双子ではない」という事実だけを知ったまま6年が経過し、16の誕生日を翌日に控え、自分だけがあの家で「他人」なのかもしれないと千尋はずっと不安だったが、有馬も自分と同じように不安だった。

誕生日の当日、逃げ出したくなるような不安に千尋が泣き崩れ、抱きとめてくれた兄。キョーダイの絆を確かめ合った誕生日に聞かされた真相に、二人は呆れるほど驚き、同時に二人ともあの家の人間だと分かり安心する。
しかし翌日からも、「禁断の恋ごっこ」が大好きな、千尋の友達の奈々や、有馬に想いを寄せるモテ木さんはキョーダイの心を面白可笑しくかき乱す。
千尋のことをずっと「血のつながらない他人」と思っていた有馬は、自分に「ヒーローのような兄」を求めている千尋に気持ちを告(い)うわけにはいかないと、キョーダイであり続けようと、優しく、時にイジワルに、「兄」として接し続ける。
千尋は、母が再婚して義理の妹ができたクラスメイトの相談に乗りながら、キョーダイの絆は血のつながりだけではないと、泣き出してしまった自分に呼ばれたかのように現れてくれた有馬の言葉で確信できる。

祖父母と両親が揃って家を空けた二人きりの夜に、兄と思ってきたはずの有馬にドキドキしてしまう千尋。有馬はそれを吊り橋理論だと千尋を言いくるめ、このゲンキンで泣き虫で単純な「妹」を守るように添い寝してやり、千尋は弱音を吐かない「兄」の意味深な寝言を聞いてしまう。


嵐のあとに待っていたのは
もう一つの嵐の予感
このとまどいを
どう伝えたらいいんだろう



お薦め度:★★★☆☆
読んでいてとにかくあたたかで、優しい気持ちになれる。台詞の中の「キョーダイ」というカタカナ表記から連想させられる響きは可愛く、愛を感じる。
派手さや斬新さはなくても、こういう綺麗で純粋な感動を与えてくれる佳作を生み出す才能は常に、世の中から必要とされている(とオレは思う)。
第2巻も楽しみです。


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2 コメント

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佳作漫画 (とのすけ)
2010-12-10 23:17:21
> 派手さや斬新さはなくても、こういう綺麗で純粋な感動を与えてくれる佳作を生み出す才能は常に、世の中から必要とされている(とオレは思う)。

綺麗で純粋な佳作は溢れた漫画の中から見つけ出すのは難しいです。
だからこそそういった作品は探してでも読みたいですし、人に読まれて欲しいと思います。

それからストロボ・ラストフェス当選おめでとうございます!
グッズにはあまり興味がないのですが、こういう冊子は本当に羨ましいです。


感動する漫画が読みたい (Wrlz)
2010-12-12 18:41:32
>とのすけ様

「こういう漫画を読みたい」「漫画を読んでこういう気持ちになりたい」という読者の願いにとても近い所にいる作家さんですよね。
応援してます。

10日発売の『ビッグコミック』24号で、小学館新人コミック大賞の受賞結果が発表されていました。
審査員の一人の山本おさむ先生の総評が印象的でした。
ちょっと長いけど引用しますね。
-引用-
「著者の内向的な心情をぶちまけるような作品が多く、読んでいて痛々しい感じにとらわれた。ぶちまけるのは表現の基本かもしれないが、しかしそれが作品の面白さになっていない。作者が恋人に年に一度のプレゼントを贈るような気持ちで描かれた作品を読みたいものである。」
-引用ここまで-

これは青年部門に応募された作品への総評ですが、私はとても共感しました。
巧いだけの漫画より、心に響く漫画が読みたいんですよ。


ストロボ・ラストフェス、イラストブックが届いてようやく「ああ、『ストロボ・エッジ』の完結を見届けたなあ」という気持ちになれました。別マ万歳(笑)!

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