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『シトラス』第1巻/香魚子

2011-08-05 | 少女漫画

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 本誌で最終回を読んで、綺麗で静かな感動を覚えたので、3月に購入した第1巻を振り返る。

 突然だが、「『美しい物』にはそれだけで価値がある」という持論が、私にはある。おそらく私は、高校で美術部に入部した頃からずうっとそう思い続けている。だから私は、「美しい物には美しいだけで価値がある」という自説を曲げない。
例えば画家が絵に描く風景には、それを描いた者の「主観」が込められている。実際の風景がそれほど美しくなくとも、それを描いた風景画を「美しい」と感じた場合、私は描いた者の「世界の見え方」や「美意識」に共感や感動をしていることになる。
そういう漠然とした理由で、この『シトラス』という漫画が私はとても好きだ。この作品の「ストーリー」を説明すると、かなり「つまらない」文章になりそうなので、「美しい」という一点に焦点を絞ってブログにする。

 この漫画に描かれている物は、田舎に暮らす人々と、10代の子供達が抱く鬱屈(うっくつ)した思いがその大部分を占める。物語は東京から来た美少女と、田舎に暮らす子供達との危うい対立を軸とする。行き場がなく、居場所もなく、己が劣っているという息苦しさや、恥じたり悔いたりして登場人物が心を鬱(ふさ)ぐ描写が多い。そういう感情は一般論では「暗く、見ていて気持ちの良い物ではない」と評される。そういう物から、描き方によって「美しい」という印象を受け、共感とは少し違う、とても綺麗な「懐かしさ」を私は強く感じる。

 そして香魚子先生は絵が上手い。漫画家なのだから絵が上手いのは当然だが、その絵は「単に絵が上手い」という状態だけに留まらない。物語を綴るために「必要な技法」をその都度、選び出して絵に反映させているので、ページから受ける印象以上の労力を費やしていると思う。
 絵と、言葉と、感情と物語に対するこだわりが、良い意味で際どい。「このような出来事があり、このように収束した」と物語るストーリーテラーというより、「このように生きた子供達がいた」と見せると同時に魅了する漫画家として、この初の連載で真価を発揮したと、私は感じ入っている。


#1扉カラー(別冊マーガレット平成22年11月号)



お薦め度:★★★★☆


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