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『プリンシパル』第1巻/いくえみ綾

2011-05-31 | 少女漫画
 
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底がゴツくて
…重い
どんだけ寒くなるんだろ


いくえみ綾、最新作。引き込まれて夢中で読みました。

不登校から引きこもりになり、全てから逃げてきたような糸真(しま)にとって、札幌という新天地もそこに住む人々も、最初は異世界のように思えた。弦(げん)も和央(わお)も、どこか「この世の者ではない」ような雰囲気を漂わせている。

転入初日に晴歌(はるか)に気に入られたおかげで糸真はクラスに馴染めるが、弦と和央の二人に近付いたせいで、ハブられるという恐怖に「再び」襲われる。糸真の怖れとは裏腹に、「家が近所」と説明したらなんとなく許されてハブは免れるが、東京から来た彼女にとって札幌は、暖の取り方もブーツの履き方も言葉も違い、戸惑いは続く。
母子家庭で家が貧しく体も弱い和央と、いいとこのボンである弦との間にある「歴史」に、二人に会ったばかりの糸真は踏み込めない。弦のまねをして和央の力になろうとしても逆に傷つけてしまう。
糸真が和央に施しのような愚行をしてしまい、「君んちでいらないものは僕んちでもいらない」と冷たく拒絶された時の後悔の気持ちはいたたまれない。ところが和央は翌日逆に謝ってくれ、売店まで走った糸真にお礼を言ってくれた。

弦の姉と四人で犬のすみれを連れて出かけると、糸真は改めて自分が「歴史」の中にいないと寂しさが募る。それどころか、5歳を境に実の父と暮らしていない糸真は、自分には「ともだちの歴史」どころか「親子の歴史」すらないのだと思い知る。

突然降り出すひょう(雹)は行く手を阻み、立ち入った話をしようとすると雪に変わる大雨に邪魔をされる。和央が糸真に「ぼくたち長生きで ずうっといっしょだよ」と語りかけてくれた幸せな夢を見た翌朝、友だちだと思っていた晴歌は、糸真が見ていない所で、どす黒い嫉妬を見せ始める。


お薦め度:★★★★☆

とにかく面白い!
「札幌」という舞台が、99%きちんと現実なのに、1%だけ理屈では説明できないファンタジーのような世界に描かれているさじ加減が絶妙。人の心や歴史はもっと分からない。どんなに空が高くても札幌は実在の町だし、この地球上には地球人しか住んでいないのに、一瞬「別世界」の存在を感じさせられる描写にどきっとする。「わかんないことがいっぱいです」という糸真の心の内に引き寄せられて、「一端にでもいられれば」と願う気持ちが孤独なのか恋なのか、自分でも自分の気持ちが分からなくなる不思議な面白さに満ちている。


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