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『スケルトン イン ザ クローゼット』/岩本ナオ

2011-08-22 | 少女漫画
 
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人間は
どんなとき最も感動するか知ってる?
人間らしさに出会ったときよ

(秦野由美加から山本公二へ)


 岩本ナオさんの、初単行本。なのだけど、良くて良くてあまりに良くて、これが初めての単行本だという事にびっくりしています。7作採録されているので、特に良かった作品を抜粋。

表題作はflowers2005年7~9月号掲載の三部構成。題名の意味は「他人に見られたくない子供」。
Shot 1。会計士を目指して勉強している山本貫一(カンちゃん)、24歳。彼の部屋に入り浸る、まんが家になったばかりの弟の公二(コージ)と、いとこの野花(ノハナ)は、久々に再会する。二人とも自分は「スケルトン イン ザ クローゼット」だと思っていて、まだ居場所を見付けられずにいた。家に居づらい二人は、口では文句を言いながらも二人を受け止めてくれるカンちゃんを慕う。まだ試験に合格すらしていないのに、店内で商品の棚ごし聞こえた、「だからこれから先もずっと尊敬させてほしいんだ」といった弟の言葉に、兄は嬉しさのあまり言葉を失う。

Shot 2。冒頭に引用した台詞は、コージが21歳の7月に新しい担当から聞かされた言葉。彼女は学生時代はクレオパトラと呼ばれていた女性で、実はカンちゃんの先輩でもあった。コージは、考えずに作品を描ける、同時期に受賞した作家から、自分の作品を「好き」だと言ってもらえた。そして大切な気持ちを思い出し、ネームを仕上げられ、勘当寸前で飛び出した実家にようやく顔を出すことができる。

Shot 3。お金しか持っていない中3の野花は、実在しない妹や恋人との架空の日常をブログに綴る。ある晩、街でカンちゃんが由美加先輩と劇的な再会をする。その場に居合わせたコージは、相手が兄では勝ち目はないと、立ち去ってしまい、野花はコージを追う。
「「恋」を そうやってつまんないものにしちゃダメよ」
期待はしたくないが、全てを嘘だと思いたくない野花の言葉でコージは目が覚め、カンちゃんは先輩ではなく二人を追いかけてきてくれた。


『僕の一番好きな歌』(flowers2005年4月号)
ビートルズを愛する雄大。しかし、たいがいの女の子は幼なじみのアキラのようなタイプが好きなのだろうと、坂上さんへの想いを告げられない。「心が豊かな人」が好みだという、坂上さんの抽象的な言葉を聞き、距離が縮まる可能性を感じられない。
ところが世界史の授業でソ連が消滅した理由を問われ、坂上さんは雄大の型破りな回答に心を動かされ、彼女はギターを聴かせてくれと雄大に言ってくれた。

『青という言葉のない国から』(2005年6月号)
こちらは雄大とアキラの、アキラの側の恋を描く。ユリ子はたまにアキラにさりげなく告白し、アキラはその度に拒否していた。世界史の授業で、「名称」が先でそのあとに「存在」がうまれると習ったように、アキラに言葉にされたことによってユリ子は完全な失恋をしてしまう。だがアキラは、ユリ子があや子に語る言葉をあみ戸越しに聞き、知らないことがないと思っていたユリ子が、どういうことで泣くのか初めて知る。


『花の名前』(2004年8月号)
花屋の店長と、「ボス猿」呼ばわりされているバイトの最相(さいしょう)。最相は姉を亡くしたという初子(はつこ)を面接して採用し、ろくに外出させてもらえなかった初子は、働きながら徐々に独り立ちできるようになっていく。最相のおかげでやっと自分の生活を始められると、初子は自分の「初子」という名は死んだ姉の名前だったのだと打ち明けてくれた。一週間後、一人暮らしを始めた「初子」が出勤してきて、最相は姉を亡くした子の正体と、自分への想いを知る。


お薦め度:★★★★☆

 こういう優しさや穏やかさというのは、技術的な上手い下手に関係なく、たまらなく魅力的です。世界は「素敵な物」なのだという、そのとても綺麗な描き方が素敵だ。天気に喩えると、からっと晴れた日は陽気な気分になって楽しい事が起こりそうな予感がする、雨の日は穏やかな気持ちになれて嬉しい事が起こりそうな予感がする。岩本ナオさんが描く作品の雰囲気は、後者に近いと思う。
「感動」というのは心震わせるような激しい物ばかりではなく、心の中にふわりと灯るような形の、柔らかな物もある。いずれ全作揃えたい作家さんです。


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