アルバニトハルネ紀年図書館

アルバニトハルネ紀年図書館は、漫画を無限に所蔵できる夢の図書館です。司書のWrlzは切手収集が趣味です。

『バイ・アンド・バイ』/いくえみ綾

2011-08-29 | 少女漫画
 
にほんブログ村 漫画ブログ コミックス感想へ


妻を なめんなよ
母を なめんなよ
昔がなんだってゆーの
何があろうと
あたしたちはこれから生きてかなきゃなんないんだから

(高田英理)


 「いくえみワールド」という単語に今まで私はあまりピンと来なかったのだけど、いくえみ綾がこれまでに生み出した作品の半分も読んでいないので、考えてみれば当然だ。この本の畳み掛けるような楽しさや可愛らしさ、リアルで身近に感じられるキャラクターの、深刻であったりくだらなかったりの日常の情景を、そう呼ぶのではないかなと、私は感じた。そもそも「理解」する物ではなく、「感じる」物なのだと思う。
「るーみっくわーるど」が何なのかを理屈では説明できない(私は説明できない)のと、きっと同じだ。


『バイ・アンド・バイ』(別冊マーガレット平成18年1月号・2月号)
メールを「便利すぎて不便」と思っていた佳英(かえ)の、登校途中に犬とじゃれてしまったことで狂わされてしまった、ある一日の始まりで幕開けする。佳英は通学とは反対方向の電車に乗ってしまい、知らない街で知らない人々と関わり、弁当を欲しがる彼氏の気持ちや、携帯がなくては世界と繋がれない自分に気付く。それでも自己嫌悪の中で一つだけ達成できた物があり、携帯を買い直して今まで通りの日常が戻ってきた時、携帯をなくしたことでひとときだけ交われた人々を、愛おしく懐かしく思い出す。


『おむかいのさちこちゃん』(別冊マーガレット平成16年7月号)
浪人したために恋人と疎遠になった裕生(ゆうき)はある日、公園の地面に描かれた無気味な文様を目にする。向かいの川端さんちの、小学生かと思わされる少女から、預けられた荷物を受け取ると、中味は恋人から突き返された思い出の品々だった。
憎しみを持て余して、川端さんちの娘にやつあたりしてしまうが、裕生は彼女が忘れていった作文を読み、川端幸子が押し殺している悲しみと優しさを知る。裕生が二度目の受験をする頃、幸子は優しさを取り戻し、その気持ちに裕生は(ぜひ 5年後に)と、心の中で返事をする。


『友達の子供』(コーラス平成16年12月号)
17歳の千浩(ちひろ)が一人で留守番をしていた夜、見知らぬ女性が訪ねてくる。父の死を知らされなかったのに父の友達だと自称するその女性は、何度も何度も焼香をする。妹も帰ってきて、兄妹は自分たちを良く知る謎の女性に対し、心の中で悪態をつく。
クラス会から母が戻ってきて事実関係だけは明らかになるが、千浩にとって本当に確かなのは、つねられた頬に残るかすかな痛みだけだった。



お薦め度:★★★★☆

 何も考えずに読んでも面白い。何かを考えながら読んでも面白い。これって良く考えたらすごいことだと思う。
ちょっと気になってWikipediaを参照したら、いくえみ綾がこれまでに描いた作品は40タイトルを超えていて、単行本の冊数では100冊近い。私は10タイトル、冊数にすると28冊しかまだ読んでいない。「私はいくえみ綾の漫画を読んでいます」とは到底言えないレベルだけど、これから数年がかりで読んでいくという、大きな楽しみがたくさん取ってあるような気分です。


にほんブログ村 漫画ブログ コミックス感想へ
にほんブログ村 トラコミュ 漫画、マンガ、まんが、コミックへ
漫画、マンガ、まんが、コミック
にほんブログ村 トラコミュ 少女マンガへ
少女マンガ

【検索用】バイアンドバイ いくえみ綾 1
『マンガ』 ジャンルのランキング
コメント (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 嫌いな物の「増税」を望む場合 | トップ | 『アオハライド』第2巻/咲坂伊緒 »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いくえみ先生 (arisa)
2011-08-29 23:54:25
初期の絵はかわいい感じだったいくえみ先生。
あたしの好きなのは(タイトルド忘れ)
女の子がエレベーターに乗ろうとしたら
ドアがしまって帽子が落ちた。
それを中にいた人が拾ってくれて
ぽんぽんっと払って女の子に手渡す

それがマッチこと近藤真彦。
当時ファンだったあたしは大興奮。

さらっとそんなシチュエーションを入れてくるあたり
凄いなぁーと思った。

それから数年
これでもかというカメレオンのような…

読者を楽しませてくれる

ずっと注目したい漫画家さんです
初期作品 (Wrlz)
2011-08-30 11:00:02
>arisa様

初期の作品で私が唯一知っているのは『以心伝心のお月さん』です。1980年代の作品で、物語に大きく絡む人気ボーカルが出しているのはCDではなく「LP」という時代。
今とはかなり雰囲気が違いますよね。こういう作品を描いていた作者が、今は『潔く柔く』や『プリンシパル』のような作品を描いているという変貌ぶりにびっくりです。
『バラ色の明日』が掲載された別マのインタビューで「漫画家生活30周年」と話を振られ、「いつだって一年生ですよ?」と答えたいくえみ先生の言葉はとても印象的でした。

私は高橋留美子の漫画は一生読み続けると思いますが、いくえみ綾の作品もいずれそういう存在になるのかもしれません。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

あわせて読む

関連するみんなの記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。