アルバニトハルネ紀年図書館

アルバニトハルネ紀年図書館は、漫画を無限に所蔵できる夢の図書館です。司書のWrlzは切手収集が趣味です。

『週漫スペシャル』2010年12月号(休刊)

2010-10-30 | 青年漫画
 
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時代は私から一冊の漫画雑誌を奪っていった。
もちろん『週漫スペシャル』は私の物ではないし、私は創刊号からこの雑誌を読み続けてきた熱心な愛読者ですらない。
私の手元には2006年の暮れからの、足掛け5年分が積んであるだけだ。創刊17年の、三分の一にも満たない。
私などよりももっと長くこの雑誌を読み続け、もっと深く愛してきた人は世の中に大勢いる。私は多くの読者の中の一人に過ぎず、それどころか、己のブログで不敬な感想を書き散らしていた迷惑な読者だったかもしれない。時代が自分から一冊の漫画雑誌を奪ったなどと、偉そうなことを書いたり感傷を綴ったりする資格は、本当は私にはないのだと思う。



『週漫スペシャル』が1994年創刊の雑誌だということを私が知ったのは、わりと最近だ。
1994年といえば私は成人したばかりの愚かな学生だった。その頃の自分に訪れた変化といえば、人目をはばからずにタバコを吸えるようになったことくらいで、私は高校生時代からあまり成長せずに漫画と音楽に溺れていた。
あの頃、私は「漫画を読んでいる」と公言するのと同様に、「音楽を聴いている」と言うことができた。
私は先輩から「音楽を聴く」というのは「ライブに行く」ことだと教わったので、ライブに行く金や暇や熱意がない今、「音楽を聴いている」と口にすることには若干の戸惑いがある。

人は社会人になると、時として不本意な物に忙殺されてしまい、今まで没頭していた世界を忘れかけてしまうことがある。
私はライブハウスから足が遠のき、同人誌の即売会に行かなくなり、本屋ではそれまで愛読していた連載が完結していくのを見届け、徐々に「新作」を読む意欲を失った。
それは確かに「日々が忙しくて漫画を読む余裕がなくなった」という一言で片付けてしまえる現象ではあるが、そのように片付けてしまうことで失う物は計り知れないほど多く大きい。「オレは漫画が好きだ」という気持ちを忘れたままだったら、私の人生はとても貧しい物になってしまっていただろう。

そんな時に私が手にした漫画雑誌では、農業に生きる決意をした情熱的な青年たちもやはり「男」でセックスのことを常に考えていて、ホテトルを呼んだオヤジは親戚の女子大生の秘密のバイトを知り、趣味のない自分の老後を心配していた中年男性は陶芸と出会っていた。そして寺の住職は檀家から頂いたお中元を、あろうことか換金して女遊びの資金にしていた。このとんでもない坊さんの漫画を最初に読んだ時の可笑しさは、今でも忘れられない。(ちなみに『本当にあるお仕事のオイシイ話』第4巻に再録されている)。
私は「この雑誌をこれから毎月買おう」と決め、少し経つと「今、世の中はどんな漫画に熱中しているのだろう」と、再び新作を読む熱意を取り戻した。そして一作の漫画には様々な楽しみ方があるのだと、それまで以上に理解するようになった。私が感心させられた漫画がある人にとっては抱腹絶倒のギャグであったり、自分が腹を抱えて爆笑した漫画に実は辛辣な皮肉が込められていたと知ることもあった。

私は自分が漫画が好きなことを思い出し、同時に豊かな人生を取り戻した。漫画のおかげで人生が豊かだなどと、恥ずかしいことを書いているとは充分に自覚しているが、本心だ。

私は『週漫スペシャル』の休刊が悲しい。しかし私以上に悲しい思いをしている人が大勢いることを想像するに難くなく、私が暗い内容をここに書き連ねることは、その方々に対して失礼だ。
「この漫画読んだんだけどすげえ面白かったよ!」という内容の記事でこの先もこのブログを埋めていくことが、漫画から与えてもらった物を還(かえ)すことに少しは繋がるのだと、私は考えるようにしている。



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2 コメント

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Unknown (存在しないIDです)
2010-10-31 06:57:53
なんと、休刊なのですか…。

思えば『ファンタジーカクテル』『キャンディータイム』『オレンジクラブ』も既にこの世になく。
ジャンプ並みの厚さの『Lo』とかは売れている。
私の好きな『ポプリクラブ』もいつなくなるか。
成年誌は萌え系ばかりになってしまうのでしょうかね…。
オレ何様!? (Wrlz)
2010-10-31 14:26:00
>存在しないIDです 様

自分の書いた文章を読み返すと「自分死ね!」と叫びたくなります。
何コレ? オレって何様? 何語っちゃってるの?みたいな(笑)

結局、何かを好きだと言ったり書いたりする行為は、その対象が人であれ物であれ作品であれ、恥ずかしい物なのでしょう。
ちなみに『週漫スペシャル』は狭義の「成年誌」ではありませんでした。(成年コミックのマークは付いていなかった)。

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