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『ツバキ』第1巻/押切蓮介

2011-06-11 | 青年漫画
 
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子供達に何故マタギとしての信仰を教えない‥‥?
山立ちする前の水垢離(みずごり)や穢(けが)れを祓う儀式はどうした?
山に対しての敬意も何も無いではないか
あれでは殺生を楽しんでるだけだ‥‥


名前は知っていたけど、作品を読んだことがなかった作家さん。積まれていた最新作の第1巻が気になって、つい購入して、読んだらこの世界に魅せられました。冒頭の、「山への信仰」という切り口で、一瞬にして気に入った。

主人公は椿鬼(ツバキ)という名の、マタギの少女。彼女は山の生命(いのち)を感じることができ、その山や山の主(ぬし)の色の良し悪しが分かる。椿鬼がとある山を通ると、人と獣の区別もつかない子供達がシロビレ(猟銃)を持たされ、山は怒りに満ち始めていた。
椿鬼は子供達から「師匠」と呼ばれている男に会い、冒頭に引用した厳しい言葉で彼を咎める。椿鬼の警告したように、子供達は欲望で山を汚した報いを受け、椿鬼に救われたツツジという少女も、山は命を生む場所だと教えられ、命を生み出すものとして生きる事を学ぶ。アンタは何でこの道をと問うたツツジに、椿鬼は、自分はこの道で生きていかねばならないと言い残して山を去った。

椿鬼は旅を続け、土地神を鎮めるための人身御供の裏側を知り、死者が静かに逝けるようにシロビレを放つこともあった。
ウサギ用の罠にかかり足を痛めると、貧しく過疎化も進んでいる村で、老婆達から尋常ではないもてなしを椿鬼は受ける。腹の子供を死産させた女達は「添え物」と蔑まれ、六人の倅(せがれ)は働きもせず廃寺にひきこもっていた。彼女の足を切り落としてまで椿鬼を村に留まらせ、孫を四十人産んでもらうぞと常軌を逸した要求の裏にあったのは、村人の業(ごう)。
土地を汚(けが)して御山に愛想をつかされ、今のこの山は色も声も感じられない、「神」不在の地となっていた。闇夜であっても「物に宿った業」を椿鬼の眼は見ることができるが、そのシロビレで婆どもを撃ち殺せないかという女の問いを、椿鬼はこれは殺生の道具ではなく「救う」ためにあるものだと退ける。村から出られた女達の背に見えたまだ小さい火が、周りに飛び火しない事を祈りながら椿鬼は彼女たちと別れる。

そして第1巻の最後に採録されている「咲-サキ-」では、椿鬼が四年前を振り返る。
「山ノ神」の娘と仲が良かった椿鬼は、名前のない彼女を山姉(やまねえ)と呼び、人間の男に恋をした彼女とたくさんの話をする。しかし母である山ノ神の嫉妬から破局が訪れ、人間の娘に生まれられなかった山姉は、殺してくれと椿鬼に懇願する。
「いつか椿鬼に好きな子が出来たら話が聞きたい」という山姉との約束は果たせなくなったが、椿鬼はいっそう山を愛するようになる。


お薦め度:★★★☆☆

描いている題材が好きだ。「マタギ」という人々やその世界、山岳信仰の描写が正確なのかどうかはあまり気にしていません。哀しみと美しさと醜さが入り交じった世界が魅力に溢れていて味わい深い。本作の前に描かれた、ぶんか社版『椿鬼』も読みたいので今度買う。


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