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『COPPELION』第9巻/井上智徳

2011-01-16 | 青年漫画
  
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第9巻にまで達した今、…長い!という不満を抱き始めています(笑)

しかしその不満を補って余りあるほどこの漫画は好きだし面白い。
この漫画の根底にある、「人類を豊かで幸せにしてくれるはずの科学が、なぜこれほどの絶望をもたらしているのか」というのが私は好きなのでしょう。

武蔵野電鉄作戦は今度こそ完遂され、荊を委員長とするコッペリオンの保健係は掃除係の小津姉妹と和解でき、電車は新宿に到着する。
「疲れたよ 遥人・・・・」と生きることを諦めかけた荊を、遥人の形見となった爆弾が立ち直らせてくれる。もうこんな世界で生きていく気力がないと絶望しきった歌音の手も荊は放そうとせず、今おまえと友達になれたという「いいこと」があったと、彼女を電車に引き上げる。

かつての首都が夕陽で真っ赤に染まる中、源内は防護服を脱いで穏やかな心で息を引き取り、電車は新宿駅のホームに到着する。アルタ前に向かう救助ヘリの中で教頭は、生まれてくる子供に「生まれてきてよかった」と心から思える世の中を約束してやれるのかと己に問いかける。
息吹の出産により、未来(みく)に次ぎ陸(りく)、空(そら)という「真に東京を故郷(ふるさと)とする子供たち」が生まれ、「良心を持った技術者」である梶井五次郎が希望を取り戻すという処で第2部が完結。

別れの間際に、コッペリオンと出会ってからの4日間で、失った20年を取り戻せた気がすると言った、技術者の五次郎の言葉はとてもあたたかい。
本来なら続く第3部では「技術者である五次郎」を主役に、政治家が態度を表明できない京都会議を主導してくれる展開が読みたかった。


第3部は、コッペリオン保健係が東京に入って7日目。彼女たちの生存者捜しは続く。
新宿で出会ったコッペリオンの一員、円谷真奈(つぶらやまな)は、最強の放射能である中性子を体から発し、彼女の歩いた道には死体の山ができる。コッペリオンの2年生には不具合(バグ)があると聞かされ、保健係は自分たちの存在意義に疑問を抱き始め、正義や人道にも「裏」があると知る。遥人が生前、荊に対しても明かさなかった「掃除係」の使命が明らかになる。それでも成瀬荊は笑顔で生存者の救出に全力を尽くす。




お薦め度:★★★☆☆

自分のお母さんだから科学が好きだと言った荊(第2巻)、お台場原発を設計した司馬博士の命がけの贖罪(第3巻)、世界が暗いか明るいかは自分の気持ち次第だと理解した葵(第6巻)、科学には表と裏の顔があると言った遥人(第7巻)と来たら、第3部の主役が五次郎になる流れを期待してしまいます。
そういう大人の「エゴ」や政治的な思惑を全て高校生のコッペリオンに背負わせ、代弁させるから、彼女たちにとっては酷だけど物語は面白くなる。それに五次郎はあくまで「陰の主人公」で、矢面に立つのは女子高生であるほうが華やかだ(笑)
最後に五次郎に、胸を張って「科学は人類を幸せにする」と言ってほしいです。

「唯一の被爆国である日本には核廃絶を訴える責務がある」という正論(と思われている物)をこの漫画の構図に置き換えれば、「未曾有の放射能災害を味わった日本には原子力の正しい使い方を世界に示す責任がある」と言い換えることもできる。いずれにせよ、現実でもフィクションの中でも、「名誉ある日本」を見たいです。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (存在しないIDです)
2011-01-16 22:04:45
私もこれ買いました。
彼女たちには生殖能力がない。
だからこそ命の大切さをよけいに感じる。
重いけど、いろいろ感じるものがありましたです。
コッペリオン (Wrlz)
2011-01-17 14:30:23
>存在しないIDです 様

久々に第1巻から読み返しました。
生殖能力はないんだろうなーと思っていたら正にそういう設定でしたね。
土日の二日で9巻通して読んだら読みごたえありました。

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