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『終電車』/アルコ

2011-08-28 | 少女漫画
 
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あれ? だけど
そういえば私どんな時に幸せって思ったっけ?
いつだっけ?
幸せだなんて感じたことあったっけ?
あれ? 幸せって何だっけ?

(佐伯千紘)


 私がアルコさんの漫画を好きになったきっかけの作品を採録している単行本。様々な人が、「終電車」を逃したりそれから降りることで生まれる物語を描いた、オムニバスを思わせる短編集。最初の3話は雑誌で読んでいたけど、デラマ掲載で未読だった4話目も良くて、買って大満足。
別冊マーガレット平成21年3月号から5月号、デラックスマーガレット平成21年9月号に掲載された4編と、デラマ平成21年7月号掲載の読み切り『アンドリュー』を採録。

 話にナンバーは振られていないけど、3年生になろうとしていた真依(まい)のエピソードが最初の一話。同じ毎日の繰り返しの中で、「その先」を感じられずにくすぶっていた真依は、中学時代に「ハカセ」と呼ばれていた高瀬と再会する。自分が存在している世界の小ささに、諦めにも近い投げやりな気持ちを抱いていた真依は、このままでは「現在(いま)」はただ単に積み重なって「過去」になるだけだと、「今」を感じたくて衝動的に途中の駅で降りる。
過ぎ去ってしまった電車が終電だったと気付くが、真依は初めて、「明日」がどんな日になるのかという期待ができた。


 二話目。恋人を事故で亡くして2年経つシンゴ。乗り気ではない合コンの相手は先のエピソードの真依たちだったが、彼女たちがシンゴがメールを確認する理由を知るはずもなく、ただ「暗い」と思われただけだった。高校の頃から彼女に相談事などされなかったシンゴは、本人がいないのなら思い出もいらないと、頭も身体も捨ててしまおうとする。踏切の前で落とした財布を拾ってもらえ、自分しか知らない彼女を捨てることなどできないと我に返る。
終電を逃したシンゴは、駅のホームで夜を明かし、「さよなら」を言うために三回忌に「行くよ」と、前を見据えて到着する始発電車を待つ。


 三話目。本誌での短期集中連載ではこの回が最終話。
これはコメディ要素が強烈。ゴリラのような容姿に生まれてしまったゆりあは、夢も見ないし神も信じないと現実にうんざりしていたが、菊池くんに親切にされたことで舞い上がったり落ち込んだりを繰り返す。一話目から登場しているおじいさんの言葉の意味を理解した時、ゆりあは菊池くんが乗った電車を足で追いかける。
「神さまのせいにしてる場合かッ」
電車よりも速くぶっ飛ぶように走ってきたゆりあが、伝えたいことがあると告げると、彼は「何?」と聞き返してくれた。


 四話目。大手出版社のマンガ編集部で働く千紘(ちひろ)。己の生き様の「形」だけを繕って、自分は世の中で定義される「幸せ」という状態だと思い込んでいた。彼女はある日、担当作家の生原稿を終電車の中に忘れてしまう。一晩でもう一度描いてくれと、作家に謝り倒しに行くのに同行してくれたのは、独身で彼女もいなそうで、少しも幸せには見えなかった主任。
原稿の内容がつまらなくとも千紘が「妥協」をしていたのだと知って、主任は逆上してトレースするための原稿のコピーを引き裂いてしまう。
「あなたが何に喜び 何に悲しむのか あなたの感じる本音が聞きたかった」という作家の言葉で千紘は完全に目が覚め、ボロボロになりながら一晩で新しい原稿を仕上げた作家と主任の姿に心を動かされる。
失(な)くした原稿が見付かった3日後に会社を辞めた千紘は、置き去りにしてきた自分の心に向き合い、世界の広さを身を以て感じ始めようとしていた。


別冊マーガレット平成21年3月号、カラー。




5月号カラー扉



お薦め度:★★★★☆


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