アルバニトハルネ紀年図書館

アルバニトハルネ紀年図書館は、漫画を無限に所蔵できる夢の図書館です。司書のWrlzは切手収集が趣味です。

『大和小伝』/さいとう・たかを

2011-01-19 | 青年漫画
 
にほんブログ村 漫画ブログへ


思い切って買いました。そして読了しました。この、言葉にならないほどの感嘆は何なのだろう。

私は「劇画」とは何なのかを自分の言葉で定義できませんし、貸本漫画の時代も生きていません。
漫画とは本来どういう物だったのか、漫画と劇画はどう違うのか、劇画を提唱した人々は何を目指してきたのか。そういう事を少しでも理解したいと日々、なんとなくだけど思っています。
辰巳ヨシヒロの漫画や著書『劇画暮らし』もいつか読もうと考えています。水木しげるの、文庫で再版されている貸本なども店頭で見かけるようになって食指が動きます。


さて、この本は『さいとう・たかを時代劇特選集5 大和小伝』(1970)を底本に復刻された物で、採録されている作品は下記の5編。

『剣法無双』(63-6・7)
下総の国で家老が武芸者を集めていた。最後に雇われた男は「剣法無双」の紋を染めていて、榊隼人之介(さかきはやとのすけ)と名乗る。
次席家老は謀反を疑い、懐刀の佐久間兵馬(ひょうま)は殿の御前にて真剣で無双剣と試合をすることになる。しかし佐久間は現れず、顔を隠した無双剣の浪人が、殿の近辺に逆賊がいると申し上げる。誰もが勝ち目はないと思っていたが、指南役の孤角(こかく)が佐久間に斬られる。


『蒼雪』
主人が留守の間に茶屋に旅の者が現れる。わが殿が秋山左近人(さこんど)を召しかかえたがっていると聞き、六百石に目がくらみ、二人がそれは自分だと名乗り出る。しかし勝ち残ったほうの男は茶屋の主人が薪を割る動きを見て、ニセ者になるほど厚顔じゃあないと立ち去る。
家臣は命を救われるが、本物の秋山左近人はとうとう名乗り出なかった。


『右うでを切る』
大和田の庄で並ぶ者なしと言われる東又四郎のもとに、真剣での手あわせを願う者が現れる。
男は又四郎の病気を知り、三年後の今月今夜に剣を交えようと二人は約束する。しかし又四郎のやまいは治らず、一方の男は剣豪として名を広める。
男は病気の又四郎に勝つが、右うでを失い、兄の仇を討とうとした弟が見たのは、死ぬよりも惨めな姿になった酔っ払いだった。


『修羅外道』
天才といわれ、もう道場から教わることはないと師にひまをいただく真崎(まざき)。師の客人、富田勢源(せいげん)に無礼にも一手ご教授賜りたいと頼む。先生に斬れと命じられて襲いかかる師範代をはじめ、弟子も次々と返り討ちにされてしまう。
そして真崎は己の命と引き換えに戸田流小太刀の奥義を見る。
富田勢源は、道場のために若者を斬ったのではなく、剣に人生をあずけた者のために斬ったのだと言う。


『助勢』
父の仇である黒辺角馬(くろべかくま)に挑む兄弟。通りがかった、顔を隠した男は、己が敗れるをわかっていて勝負をいどむとは愚者のすることだと兄弟を諌め、兄弟のために稽古をつけてやる。
日を改めた勝負の日、男は助太刀する自分の顔を見られては水神(すいしん)一刀流の手の内を知られてしまうと顔を隠す。
黒辺角馬は、太刀筋から男の正体を見破り、二人は相討ちとなる。兄弟は、死んだこの二人にとって父も自分達も脇役にしかすぎなかったと知る。


私が文章で説明できるのはあらすじだけです。
「漫画ってこんなに迫力がある物なんだ!」という興奮は言葉では説明できません。


お薦め度:★★★★★

星を付けるのは不遜な気がしますが、「買って良かった」という気持ちの度合いを示す方法として便宜上使用しています。

巻末の石川フミヤスへのインタビューによると、「劇画工房」が一年で崩壊して、1960年に「さいとう・プロ」が設立され、1962年に創刊され6巻まで刊行されたのが『大和小伝』とのことです。
この本に収められた作品が「分業」で描かれた物であることは、巻末で指摘されていなければ私は気付かなかったと思います。
「漫画は一人で創る物だ」というかつての常識を、おそらく日本で最初に(システムとして)覆した存在である「さいとう・たかを」という漫画家が、20代後半の若さでスタッフを率いて創り上げた初期の作品に、「自分は未だに漫画を理解していない」と心を踊らせて触れることができました。


「漫画とは何なのか」ということをもっと知りたいです。

折り込まれていたチラシに載っているこれらの復刻本を全て自分の本棚に並べられたら夢のようです。


にほんブログ村 漫画ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 トラコミュ 漫画、マンガ、まんが、コミックへ
漫画、マンガ、まんが、コミック
にほんブログ村 トラコミュ 青年マンガへ
青年マンガ

【検索用】大和小伝 さいとう・たかを 1
『マンガ』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 『惑星のさみだれ』第1巻/水... | トップ | 『花とゆめ』2011年4号 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

あわせて読む

関連するみんなの記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。