アルバニトハルネ紀年図書館

アルバニトハルネ紀年図書館は、漫画を無限に所蔵できる夢の図書館です。司書のWrlzは切手収集が趣味です。

『ちはやふる』第一巻/末次由紀

2009-05-29 | 少女漫画
 


6年まえ東京
まだ情熱を知らない私
おこりんぼで一つ年上のお姉ちゃんは
美人であたしの自慢で
お姉ちゃんが日本一になることがそのころのあたしの夢だった


遂に手を出してしまいました…!
末次由紀(すえつぐゆき)の作品を読むのも、Be Loveコミックスを買うのも初めてです。実は先日、本屋に行ったのに『ちはやふる』が見つからないという夢まで見てしまいました(笑)
この漫画、帯にある通り、2009年マンガ大賞の大賞受賞作なんです。掲載誌は講談社の『BE LOVE』で、第1巻は2008年5月初版、私が買ったのは第6刷(2009.4)です。
流石、期待を裏切らない面白さです。競技かるたのチームプレイにワクワクでき、主人公三人の想いの交錯、千早(ちはや)が「情熱」を覚えていく過程がすごく楽しい。
末次由紀のトレース(構図の盗用)騒動を私は全く知らなかったので、先入観なしに読めました(仮に事前に詳しく知っていたとしてもこの作品はすごく面白い)。

小学6年生の綾瀬千早(あやせちはや)は学校で百人一首が流行っている中、まだ50くらいしか札を覚えていない、素直だけど色々と人並みな女の子。モデルを目指している姉が日本一になってくれるのが自分の夢だと言う。
クラスでは最近、福井から転校してきた綿谷新(わたやあらた)の方言をメモしては皆が陰で笑っている。先頭に立って田舎モンをつまはじきにしているのは千早の昔からの友達、真島太一(ましまたいち)。
「あたしが綿谷くんだったら 笑うためにメモとってる人と話したくないなあ」と言う心を持つ千早は、太一に突き飛ばされた新をかばい、彼の家にあがります。
ボロい新のアパートで、千早は初めて新とたくさん喋ります。姉が日本一になるのが夢だと言う千早にほんなのは夢とは言わん、「自分のことでないと夢にしたらあかん」と言う新。百人一首を取り出し、自分には夢があると言う新。千早が百人一首ができると言うと、「や やろっさ!」と大喜びする新。
二人なので上の句を詠む人がおらず、テープを使った勝負。千早は新の圧倒的なスピード、実力を見せつけられます。所詮かるたと思っていた千早は初めて悔しがり、せめて一枚だけでも取りたい! 「せをはやみ…」、その一枚だけが取れて、24枚差で完敗する千早。新は「でも たっ 楽しかった!」と興奮した顔を見せます。他の国ではほとんどやられていないかるた、「日本で1番になったら 世界で1番ってことやろう?」。
自分には夢があると断言した新は、上の句が「ちはや」で取れる札を千早に見せ、その札は自分にはもう「ちはや」に見えると、千早の名前をいい名前だと褒めます。

しかし「よそもん」と仲良くした千早はその日からクラスでハブ(仲間はずれ)に。
自分は構わないから綿谷くんを解除してくれと太一に真っ直ぐに笑いかける千早。チビでビンボーで田舎者じゃないかとけなす太一に「でも 綿谷くんかるただったらここのだれにも負けないよ」と声をあげる。一枚も取らせないと勝負を受ける新。「これだったら誰にも負けない」、自分の持っていないものを持っている新が千早には眩しい。
厳しい親を持ち、何事にも負けられない太一は新のメガネを隠す。裸眼0.03の視力で劣勢になる新の代わりに自分が出ると言う千早。


この札は「ちはや」に見えると言った新の言葉が甦る。太一に勝ち、敢闘賞の賞状をもらいます。「太一との勝負 すっごいおもしろかった かるたって楽しいね」。生まれて初めての賞状。嬉しい! 興奮する千早ですが、美少女コンテストに出場しスカウトの話が来ている姉は「地味 ていうかダサッ」と笑います。自分にとって初めての賞状なのに、モデルとして歩み始めている姉も家族も、誰も誰も「それどころじゃない」と喜んでくれない。「綾瀬さんは かるたの才能あると思うわ」と新は言ってくれたのに、自分の才能には何の意味もないのかと、目に涙を浮かべ、初めての賞状をくしゃっと丸めてしまう。

正々堂々となど勝負していない太一の葛藤、そしていつまで経っても見つからない新のメガネ。太一を疑ってなどいない千早は、裏山にメガネを捜しに行きます。「綿谷くんに思いっ切りかるたさせてあげたい」の一心で。その姿を見て自分が恥ずかしくなり、俺が盗ったんだと新にメガネを返す太一。新は千早には嫌われたくないという太一の気持ちが分かると、笑って許します。
三人の間に芽生え始める友情のようなもの。千早は一生ものの宝物が何個も見つかる冬になるという予感がして、丸めてしまった賞状を再び広げ、大切に壁に貼ります。

市立文化センターの白波かるた会の練習場を訪れる三人。そこで見たのは暇潰しのボードゲームなどではない、「スポーツ」である競技かるたの壮絶な闘い。
驚きを噛みしめる暇もなく、世話人の原田先生に大歓迎される三人。「子供が入ってこない」というのは郵趣界にも共通する現象ですね。子供が増えて大喜びする原田先生の気持ちも分かります。
元からのメンバー、ヒョロくんこと木梨浩(きなしひろ)は百首全部覚えていないのに来てしまった千早を笑います。3対3の源平戦で生まれるチームワーク。新は、反射神経のいい千早は「一字決まり」の札、太一には六字決まりの「大山札」担当と仕切ります。
今までずっと一人で、テープ相手にかるたをしてきた新の「チームに なってみたくての……」という言葉。助け合ったり足を引っ張り合ったりしながらも、チームでかるたができる。
「百人一首は全部で百首 百人 友達ができたと思って 仲よくなりなさい」と原田先生に百人一首を一組プレゼントされる千早。
親に勝てるものだけやれと言われている太一も、スポーツも勉強もできる太一のような「わかりやすい」才能が欲しかったと羨んでいた千早も、見る見るうちに競技かるたの虜になっていく。

刺激に満ちた毎日、「世界一」を目指して三人でずっと一緒に夢を語り合いながら戦い歩んでいける日々がこれから続くんだと思っていた矢先、秀西大付属に進学するものとばかり思っていた太一が、通学に一時間半かかる開明成(かいめいせい)中学に合格します。
先生んとこでかるたできなくなっちゃうからそんなとこ行かないよねと笑いかける千早に、「かるたできなくなっても開明成行くに決まってんじゃん」と答える太一。勝利至上主義の親を持つ太一の悲しい選択でしょうか。
新もまた、祖父である永世名人綿谷始(わたやはじめ)が脳溢血で倒れ、介護が必要なので卒業したら福井に帰ると言う…。
原田先生は「子供はさ どんなに強くても かるたが好きでも 友達がいないと続けられないんだ」と、ずっと仲よしでいて欲しいと願っていた。
せっかく仲良くなれた新も、昔からの友達の太一もいなくなり、一人になるの?とつまずいて転ぶ千早。もう大会なんか出ない。一人になるんなら かるたなんて楽しくない…。
千早は贈られたかるたを原田先生に返しに行き、まつげくんが合格した開明成は毎週かるた会に来ていては受からないほどの名門であること、新の祖父が永世名人であること、その自分にかるたを教えてくれた祖父が倒れてメガネくんはどれだけ心配だろうと聞かされます。「あ! 流れ星」と嘘をつき、「きみがやめたら 私もさびしい」と言ってくれる原田先生。
千早が帰宅すると、母に真島くんがメガネの子と一緒に来て、荷物を渡されたと言われます。

姉がダサッと笑ったそのTシャツを見て、太一と新の二人がケンカしながらも自分のために作ってくれた光景が目に浮かび、胸が一杯になり溢れる涙。

翌日、お揃いのTシャツを着て、トロフィーだってもらったことがない千早に、「二人で勝って 千早にやろう」と小学生かるた大会に「チームちはやふる」としてエントリーする太一と新。
大将:綿谷新
副将:綾瀬千早
三将:真島太一 の「チームちはやふる」。
開かずの踏切が20分開かなかったと、かなり遅れて到着する千早。自分を置いてきぼりにして怒っている、でも「こんな さびしいのは あたしだけじゃないよねえ?」。
15分の暗記時間をはさみ、始まる勝負。

あたし覚えた
みんなと友達になった
でも
ごめん
友達にもまだランクがあって
このへんはもう
大親友ばっかりになったね



巻末の第2巻の予告を見ると、小学生編はクライマックスを迎え、この後、高校生編に突入するようです。第1巻時点で既にかるたが楽しくて仕方ないんですが、高校生になって恋愛したり三角関係になったりもするんでしょうか。

お薦め度:★★★★☆
展開が早くて、話がサクサク進むんですが、「駆け足」感は全くなく、一話一話が丁寧で充実してます。なんかもう、この一冊のおかげですごく充実した一日です。


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4 コメント

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ほう (笛巣田 真夜)
2009-05-29 21:39:24
ついに手を出しましたか・・・

2巻からは高校篇がスタートしますが、自分はもう少し小学校篇が見たかったかな・・

(くどいようですが私はロリではない!)
面白いよ面白いよ…! (Wrlz)
2009-05-29 22:40:05
>笛巣田 真夜様

もうすっごく面白いんですよ!!
この後高校生編。早く続きが買いたい。私は気に入った作品だと借りたり漫画喫茶で読んでお終いにできないタチで、「新刊で買い揃え」ないと気が済まないんですよ。

第1話の冒頭に、高校生になったらしい千早がちらっと登場しますね。
この小学生編はまだ「プロローグ」の段階なのでしょう。中学に進学し、高校生になってからが本筋なんだと思います。
Unknown (zakuro)
2009-05-29 23:54:51
ふふふふふ。
Wrlzさん、読んでいただけてめちゃ嬉しいですよー。
はまりますよねっ!

私も小学生編も大好きなんですけど、高校生編のテンションの高さに、それを忘れてしまうほどです。
Wrlzさんの感想を早く聞きたい~~。

三人の微妙な立ち位置も好きだし、恋愛っていうよりもまだまだ「かるたに夢中」の千早で、少女漫画にはありがちかもしれませんが、男子の方がずっとオトナかな。
自分のキモチを自覚していて、それぞれの立場と状況も理解している太一がカッコいいです。
新の再登場も、震えましたよ(笑)。

早く5巻読みたいです。
これは連載を追ってないので、じっくり来月を待ちます。

はまりました! (Wrlz)
2009-05-30 07:21:36
>zakuro様

これははまりますよ…!
小学生編で既にこんなにワクワクできるのに、高校生編では更にテンション上がるんですね!
第5巻が来月出るので、それまでに第4巻まで買い揃えたいです…!

囲碁の『ヒカルの碁』、書道の『とめはねっ!』など、あまりメジャーではない遊びや文化やを題材にした漫画が意外にもヒットする中、どれも「マイナーな素材を扱った」という話題性だけではなく、その作家さんの本当の実力や持ち味を感じられる作品に仕上がっていて良い傾向です。

末次由紀さんの、トレース騒動以前の作品が全て絶版になってしまっているのは残念です。
zakuroさんのブログに書き込んだレスにもありましたが、読者が作家を「吊し上げる」ような行動にはやはり違和感を覚えます。
私は学生時代に同人誌に漫画を描いていた経験があるんですが、資料なしではどうしても描けない仕草などは必ずあり、マール社の『ポーズカタログ』等をどうしても参考にせざるを得ませんでした。背景だって基本的には撮ってきた写真を拡大コピーしてトレースするわけですからね。

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