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『超人ロック 風の抱擁』第1巻/聖悠紀

2011-08-02 | 青年漫画

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「ゲート」も第三波動関連の研究も
もちろん
第三波動を使う超能力者も

(ジャック・メレー大佐)


 読んでいて、もう嬉しくて、ときめきに体をよじってしまうような素敵な新作。ミラとロックの恋を描くこの新章が嬉しくて、『カデット』(Meguコミックスの初版が出たのは丁度10年前の2001年)から読み返してしまった。二人の恋は、ミラがロックを「魔法使い」と呼び、ロックがニーヴン中佐に、いくつの時まで「サンタクロース」を信じていたかと尋ねて始まったのだ。
よその雑誌で体制と奴隷の関係を辛辣に描く『嗤う男』(→こういう話)を連載しておきながら、少年画報社というホームグラウンドでは、ミラとロックの激甘ラブストーリーを描く聖先生。最高だ!

 物語は、老衰で余命いくばくもないミラが、夫であるロックと同じ軍艦に配属された、新米士官だった頃を回想する形で綴られる。描かれている時代は『星辰の門』の直後。
実験艦「ゴダード」に配属されたミラは、エスパー達に道を拓き、カナーン中佐の悲劇を繰り返さないための「計画」の要(かなめ)であった。ところが「第三波動」を扱える唯一のエスパーであるミラは、実験艦に配属されたエスパー達からは「異常」のレッテルを貼られてしまう。友人がおらず、エスパーとしてのランクが艦内で最低であるミラは、自分はロックに釣り合わないと悩む。副長はミラに恋仇を知れとアドバイスしてくれるが、「超人」の業績を記録した資料を目にし、厳しい教官として乗組員から慕われるロックを見て、不安は更に募る。一方のロックは、恋人への中傷を収めるために「スパイを捕らえる」のを最優先していることを、教え子であったジャイルズ軍曹に叱責されて目が覚める。

 そして当時の銀河連邦は、第三波動の実用化に成功しつつあり、中央と辺境との格差は形を変えて拡大しようとしていた。連邦軍情報局の支援を受けて研究を続けていた二人の学者は、第三波動の脅威に気付き始める。しかし二人の内のヤシキ博士は、第三波動を「災厄」と呼んだメレー大佐の思想に共感できず、情報局からの「歓迎」に不快感を示す。42の惑星で手配中のクラスSのエスパーを手中にしたメレーは、恒星のすぐ近くに作られた「玉座」と呼ばれる物を見て、満足げに笑みを浮かべる。


お薦め度:★★★★☆

 第三波動の是非を巡る、中央と辺境、連邦とISCと海賊との確執と争いを描いているけれど、実はミラとロックのラブストーリーが本筋だと思う。ミラが、記録に残っていない最期の2年間をロックと過ごして亡くなった事実は既に『ニルヴァーナ』で明かされているので(ちなみに『久遠の瞳』では二人はラブラブの老夫婦)、「風の抱擁」という美しい題名を字面の通り捉えて良いはずだ。ありったけの愛が込められた、ハッピーエンドが確定している、最高のラブストーリーになるに違いない。
 ミラが「マイア」の出身であることからは、ついマリアン・リュイス少尉を思い起こしてしまう。ジャック・メレーの言動には、かつてのバレンシュタイン大佐を上回る非情さを感じさせられ、期待が高まる。
そして、『風の抱擁』がどれほど無慈悲な物語であっても、読者は、提督と准将にまで登り詰めたミラとロックがISCと連邦軍を安心して退役し、その後Σセクションが発足して銀河連邦が成熟へ向かうのを知っているので、ミラとロックの「ラブストーリー」をとことん堪能できる。

他エピソードとの絡みが味わえる反面、なんと、この新作は過去作品を知らなくとも100%楽しめる内容になっている。銀河帝国や旧連邦時代の技術やキャラクターは本筋に全く絡まないので、『ソード・オブ・ネメシス』と『オメガ』と『カデット』と『星辰の門』だけ読んでおけば、「全て」が理解できる。これまで何となく、シリーズ全作を読んでいるのが前提であった『超人ロック』という大作が、新たなファンを獲得してくれそうな予感にも心が躍る。


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