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『風よ雲よ剣よ』第1巻~第2巻/さいとう・たかを

2011-12-11 | 青年漫画
 
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……よしっ、きっとなるぞ!!
島田虎之助先生の恩義に報いるためにも、
おれはきっとりっぱな剣士になってみせるぞ!!
……鳴神鬼神や狐塚頼母(こづかたのも)にも負けない………
心身ともに天下に通じる一流の剣士になってみせる!!

(風吹波之進)



 『大和小伝』の復刻版を購入したことで、さいとう・たかをが創る「時代劇画」に魅せられて、新たな装丁で再版された本作を購入。なんと素晴らしく、迫力のある、読みごたえのある作品なのだろうと、感激している。B6よりやや大きめの四六判で刊行されており、絵の隅々まで凝視するように味わえる点も嬉しい。

 時は天保、剣術だけが再び際立った隆盛を見せはじめた、徳川封建社会の過渡期。飛騨の末裔(まつえい)によって残されている尾根(おね)剣法の遣い手である風吹波之進(かざぶきなみのしん)は、鳴神鬼心(なるがみきしん)に敗れたことで、剣の道に生きる決意を新たにする。
 波之進は旅を続け、その道中、様々な者と出会い、別れ、時には再会し、背徳や陰謀に巻き込まれる。一見して単純な物語の根底に、私はさいとう・たかをのロマンティシズムを強く感じる。波之進はその出生の事情から尾根の姓を名乗れず、師と仰ぐ存在や固い友情を得る一方で、欺きや裏切りにも傷つけられる。土地土地の慣習には反動的な物もあれば、大胆な風習もある。



 1978年から1979年にかけての作品で、さいとう・プロのサイトで確認したら、1巻に5章ずつ採録して全9巻で完結している。この再版もおそらく、同じ形態でこれから月に一冊のペースで刊行される。発表当時、まだ本が読めない幼子であった私にとって、今この作品を買い揃えることが可能になった巡り合わせは大きな悦びだ。

 さいとう・たかをという漫画家については、主に卓越した画の巧さや、分業により厖大な作品を産み出し続けている力量が注目され評価されているが、「ロマンチストである」という評判はあまり耳にすることがない。しかし作品から私が受ける印象は、「さいとう・たかをはロマンチストだ」という物だ。人の生き様と死に様を描く作品は、必然的に読者に興奮と感動を与えてくれるが、物語に満ちている叙情(ロマン)もまた、作者の持ち味であると私は思う。


お薦め度:★★★★☆


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