アルバニトハルネ紀年図書館

アルバニトハルネ紀年図書館は、漫画を無限に所蔵できる夢の図書館です。司書のWrlzは切手収集が趣味です。

『手紙』/谷川史子

2011-08-16 | 少女漫画
 
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果夏とのこと真面目に考えるほど
こわい……
だけど
俺 頑張る
こわいけど こわいから
逃げないで一生向き合ってく

(柴田シバト)


 楽しくあたたかな気持ちで読み始めて、気が付いたら泣かされていた一冊。全ての作品になだらかに流れる愛と優しさに、心地よく涙して、読後感は最高です。

『手紙』(クッキー・平成20年5月号)
母親を疎ましく思っていた素子(もとこ)の転居先に、前の住人の母からの手紙が届く。素子はそれを誤って開封し、酔った勢いで返信まで書いて投函してしまう。そこから「他人の母親」との不思議な文通が始まり、素子は息子を思う母の「心」に触れていく。
母からの手紙は縦書き、素子が息子のふりをして書く手紙は横書き。そういう細かいこだわりも楽しい。
突然上京した「徹の母」は、受け取っていた手紙が息子からの物ではないと見抜いており、素子の母に対する不満をあたたく受け止めてくれる。名前の正しい読みを知らなかっただけで、素子は「徹」とは日々、顔を合わせていた。そして徹の母は素子を「にせムスコさん」と楽しそうに呼び、「またね」と微笑んで帰っていく。


『ソラミミハミング』(クッキーボックス・平成19年初夏号)
学生時代に部活のセンパイに告白され、3か月後に一緒に暮らし始めたつぐみ。しあわせな時に鼻歌を歌うセンパイは、つぐみより一足先に社会人となり、つぐみは仕事に忙殺されるセンパイのハミングをいつの頃からか聞いていない。互いを思いやりたいと願う、つぐみの努力は空回りしてしまう。
自分ではない女性と接して鼻歌を歌うセンパイを見てしまったことで、つぐみは別れを決意する。想像が現実になってしまったことに思いきり泣くが、センパイのあの言葉だけは空耳でなくてよかったと、「あなたと恋をしてよかった」と顔を上げる。


『河を渡る、きみと歩く』(クッキーボックス・平成18年秋号)
この短編集の中で最も魅せられた一作。
24歳の吉田果夏(かな)は、恋人と5年過ごした部屋から何も言わずに出てゆく。行き先を決めていなかった果夏は、電車の中で「ぽんたろう」と名乗る人懐こい少年と出会い、故郷(くに)である長野を行き先に決める。
離れても思い出すのは恋人のことばかりで、果夏のために泣いてくれたぽんたろうは、果夏が気付かなかった恋人の優しさまで教えてくれる。恋人もまた、ぽんたろうに導かれて、そこの地理など知らないはずの長野で果夏を見付け、果夏に一生向き合うという決意を告げてくれる。その後、二人の間に生まれる子供は、自分が他の誰かをうれしくさせることがあるのだと、果夏が知らなかった世界を教えてくれる。



お薦め度:★★★★☆

 ありきたりな感動の言葉しか出てこないのだけど、「本当に良い」の一言。激しく心を震わせるのではなく、あたたかに優しく描かれる世界に魅せられる。「大人は色々あるんだよ」という部分を、「疲れるんです」ではなく「幸せが深まるんだよ」と描いてくれている。読み終えた時に、とても穏やかな気持ちになれるのが最大の魅力です。


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6 コメント

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雰囲気のある漫画家さん (arisa)
2011-08-16 11:23:26
某コミック祭りの際に表紙買いしました。
この1冊から谷川さんの過去作を読み漁りました
全体的にやさしい風がふわった吹くような作品に
心がほんわかでした。
機会があれば別のコミックもどーぞです。

おひとり様 (さっとん)
2011-08-17 02:10:59
谷川さんはりぼん出身で今や大人の為の少女漫画家と言う感じになってますね。

おひとり様物語と言うショートショートの作品がKissで連載中ですが、
そちらも染みますよ^^
優しい世界 (Wrlz)
2011-08-17 09:11:59
>arisa様

そうそう、心がほんわかとして、優しい気持ちになれます。
これから新作が出る度に購入すると思います。良い漫画家さんを知りました!
染みます (Wrlz)
2011-08-17 09:17:00
>さっとん様

「大人の恋愛」をとてもあたたかに描いてくれる作家さんですね。ファンになりました。
りぼんマスコットコミックスからもクイーンズコミックスからも単行本がたくさん出ているので、これから読んでいきたいです。
『おひとり様物語』も良さそう。『清々と』を読もうかなと思っています。
清々と (さっとん)
2011-08-17 18:23:50
「清々と」は1巻が出てから随分間が空いたのでちょっと内容忘れ気味ですが、
何か「可愛らしい」って思った気がします。
清々と (Wrlz)
2011-08-17 20:47:24
>さっとん様

表紙がとても可愛らしいですよね。「読み切り」の作品集の素晴らしさを再認識させられました。
『積極-愛のうた-』を読んだら、これも素敵でした。

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