WOWOWカンヌ国際映画祭ブログ

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河瀬直美監督「殯(もがり)の森」の記者会見

2007年05月27日 | 現地レポート

26日
カンヌ映画祭コンペティション部門最後の作品「殯(もがり)の森」の記者会見が行われました。

「殯(もがり)の森」2007年6月より全国順次ロードショー

会見の出席者は...
河瀬直美監督
尾野真千子
うだしげき
渡辺真起子

質問:
認知症の人物を主人公においたことについて。
河瀬直美監督:
認知症の方々を可哀相とか下に見ている人が多い。でも彼等は認知できないだけで、感情や魂がないのではない。人間の感情が大切だと描く事で人々に訴えたかった。
それから。もうひとつこの作品の中で言いたかったのは、渡辺真起子さんが演じた主任が「こうしなきゃあかんことはないから。」と言うのですが、この言葉を映画を通して伝えたかった。私たちは、こうしなきゃ、とかってことに縛られて、傷ついたり、苦しくなったりする。私が私らしくいれば、こうしなきゃいけないってことはない、と伝えたかった。

河瀬直美監督

質問:
今回の作品はフランス映画会社セルロイド・ドリームズが共同製作していますが、その経緯について。
河瀬直美監督:
10年前「萌の朱雀」でカメラドールを受賞して以来、私の作品は沢山のフランスの方に見てもらっています。作り終えた作品を売る、というやり方でなく、一緒に作った方が世界に広がるのではと思い、脚本を持って単身フランスへ渡りました。セルロイド・ドリームズのプロデューサーがその場で脚本を読みこう言いました。直美、半分日本で資金を集めなさい。残りの半分はフランスで集めるからと。

質問:
役作りについて。
尾野真千子:
私の役は子供を亡くして、離婚して、おじいさんと出会ってという役ですが、役作りは奈良で、小さな部屋にお風呂もテレビもなく、外からの情報が入ってこないところに住んで、監督ともあまり連絡がとれない環境で2週間くらい住みました。
(尾野さんは緊張されて、河瀬さんが耳元で囁きながら助けてのお返事でした。後で聞いた話によると、緊張して頭の中が真っ白になってしまってたそうです!)

尾野真千子

うだしげき:
生きるという事は死ぬ事に近づいている事と思っています。私は今60歳で映画の中のしげきは70歳。演じてるとき10年後の自分を考えていました。介護施設に3ヶ月間寝食共にして、一緒に感じて役作りをしました。

うだしげき

渡辺真起子:
実際の看護士の方々の助言を頂いたりして役作りをしながら、1週間一緒に過ごしました。人間はいつか死んで行くという現実を目の前に、おじいちゃんやおばあちゃんと過ごして、その中で現実を受け入れ、乗り越えるのが一番大変でしたね。

渡辺真起子

カンヌ映画祭では数少ない常連の女性監督として、河瀬さんは、
「カンヌ映画祭100年周年に77歳でこのポスターのピラミッドの上でジャンプしていたいと思います!」と、とても意欲的でした。



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