WOWOWカンヌ国際映画祭ブログ

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【蔵出しレポート】巨匠タランティーノ監督の『シネマ・マスタークラス』に潜入!

2008年06月02日 | 現地レポート
本日は、カンヌ映画祭恒例になった『シネマ・マスタークラス』の模様を蔵出し。

以下はクエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)監督の『シネマ・マスタークラス』の模様。

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今年のシネマ・マスタークラス(映画特別講義)は 1994年に 『パルプ・フィクション(Pulp Fiction)』で パルム・ドールを獲得し、2004年カンヌ映画祭審査委員長もつとめたクエンティン・タランティーノ!!


このイベントは毎年、著名な映画監督を招いて、過去の作品を振り返りながら映画について語る、というマスタークラス。
これまでは、スティーブン・フリアーズ(Stephen Frears)ナンニ・モレッティ(Nanni Moretti)シドニー・ポラック(Sydney Pollack)マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)等が講義を行ってきた。
タランティーノはスコセッシの講義の際には、観客として訪れるなどしていた。

カンヌ映画祭アートディレクターのティエリー・フレモー(Thierry Fremaux)氏に壇上に呼ばれて、拍手喝采を浴びてタランティーノ登場。
インタビュアーは、毎年恒例のフランスの映画評論家のミシェル・シマン(Michel Ciment)氏。


タランティーノの映画への情熱、視点、過去の作品を振り返りながらの特別講義が行なわれました。
ちなみにタランティーノは相変わらす、何か吸ってます?って聞きたくなるようなハイテンションで喋りまくってました。



質問:
映画監督を目指す人達へのアドバイス

クエンティン・タランティーノ:
学校なんて行かないで、その金を自分の作品につぎ込め!2年間の授業料で映画が撮れるぞ!

質問:
芝居の勉強を積んだ事について

クエンティン・タランティーノ:
個人的に、監督や脚本を書く事を志してる人へ、芝居の授業に参加する事をすすめるよ。まずはそれが第一歩だ。限られた空間の中で演じる事、ポジションを想像するなど、学生達と一緒に演じながら理解する事は大きい。俺が脚本を書く上で一番の勉強になったのはこの時代。他の作品を見たとき、なぜその監督が、そういう動きを入れたかが解読できるようになる。それができれば、君も自分のシークエンスを組み立てられるって事だ。

質問:
サンダンス映画祭のアトリエに参加した時の思い出について

クエンティン・タランティーノ:
『レザボア・ドッグス (Reservoir Dogs)』のシナリオで、サンダンスのアトリエに参加できることになったんだ。当時、『レザボア・ドッグス』の製作を始めるには、プロダクションのゴーサイン待ちって状態だった。いい機会だしアトリエに参加したんだ。そこでロングシークェンスのアイデアを出してみた。1グループ目の監督達はそのアイデアを嫌った。そしてなぜ、そのアイデアが悪いかも説明してくれた。でも、俺はこのアイデアが大好きだったんで、2グループ目の監督達にも同じ内容を提案した。そのグループにはテリー・ギリアム(Terry Gilliam)がいて、彼は絶賛してくれたんだ。ここまで、正反対な意見に遭遇するのは初めてだった。そこで理解したのは、この先俺にキャリアが続くとしたら、最高に好まれるか、嫌われるかの両極端だろうって。


質問:
オリジナル音楽を使わない理由について

クエンティン・タランティーノ:
作曲家を信頼できないんだ。音楽は映画にとって大事なんだぜ!出来上がった映画を見せて、そいつに金を払って音楽を作らせるなんて、一体、そんな重大な責任を任せられる奴って一体誰だってんだ!?俺はすっばらしいCDコレクションを持ってるんだぜ、それを聞いてインスピレーション受けてシナリオを書くんだ。エンニオ・モリコーネ(Ennio Morricone)ラロ・シフリン(Lalo Schifrin)ジョン・ベリー(John Berry)とか、最高な音楽家達と俺は仕事してるんだぜ!俺にクリント・イーストウッド(Clint Eastwood)のように自分で音楽を作る才能があったら、自分で作るんだけどな!


「VIVAカンヌ映画祭2008」
6月8日(日)午前11:00ほか
詳しくは番組紹介にて
お楽しみに!