「熱闘」のあとでひといき

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日本大学 vs 法政大学(第6回関東大学春季大会グループC-2017.04.29)の感想

2017-05-03 21:50:28 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


サンウルブズのスーパーラグビー参戦ですっかり賑やかになった春のラグビー。しかし、関東の大学ラグビーファンは今年で6回目を数える春季大会のお陰で一足早く充実した春を楽しむことができている。もちろん、スーパーラグビー目線になってしまうと大学生のラグビーは物足りないことは致し方ない。しかし、大学ラグビーには大学ラグビーの面白さがある。今まさに目の前でプレーしている選手が将来はサンウルブズや日本代表のメンバーの一員として活躍するかも知れないのだ。

いや、実際にそんな嬉しいことは既に起こっている。入替戦の1試合のみながら、埼玉工大出身のミフィ(バエア、昨年度)、山梨学院出身のティモシー・ラファエレと後藤のプレーははっきり覚えている。拓大出身のウヴェもスーパーラグビー仕様の選手へと成長を遂げた。東海大出身の三上、木津、法政出身の浅原、大東大出身の茂野、中央大出身の真壁、関東学院出身の稲垣と笹倉。日大出身なら細田(昨年度)。そういった関東大学のリーグ戦Gで活躍していた選手達の学生時代のプレーを思い出すだけでも楽しくなってしまう。



もちろん、この日、春季大会の緒戦を戦う選手達の中にも世界に羽ばたくことを夢見てトレーニングに励んでいる選手がいるはず。天候に恵まれれば若葉台駅から日大の稲城グランドまではプチハイキング気分が味わえるから遠く感じられない。ここは阿多氏が監督を務めていた頃の創設時から通っているが、この数年で施設の整備が進みすっかり賑やかになっている。今日も門を入ったところ右手のグランドでは大学サッカーの試合が行われていた。グランドに向かう途中の学生寮とトレーニングルームもグランドが出来た頃にはなかったもの。

家族連れのチビッコラガーが集う「日大ラグビーフェスティバル」の華やいだムードの中、日大と法政はかつて関東学院と鎬を削っていたことを思い出しながらキックオフを待つ。関東リーグ戦Gウォッチャーとなった頃は「キックオフから超攻撃的に攻めた法政」、「強力スクラムで相手を震え上がらせた日大」だったはず。そんな記憶も彼方に行きそうになっているだけに何とか「復活」の足がかりを掴んで欲しいところ。両チームのメンバーは事前にホームページでチェックしていたが、日大のメンバーは総入れ替えに近い状態。法政も主将とエースを欠く寂しいメンバー構成なのが残念。



◆前半の戦い/強力スクラムの復活(?)で圧勝ムードの日大だったが...

やや強い風が吹く中、風下に立った法政のキックオフで試合開始。日大の自陣から蹴り返しは強風に乗って無情にもデッドボールラインをオーバー。しかし、自陣のスクラムで日大が強力なプッシュをかけてターンオーバーに成功。法政ファンにとっては早々と「前途多難劇場」の幕開けを予感させる状況となる。強力なスクラムに加え、日大にはハイタワー(193cm)としてそびえ立つLOの孫が居るためセットプレーが安定。序盤はFW戦で圧倒的に優位に立った日大がペースを握る。

開始から僅か数分にして日大の圧勝ムードがホームグラウンドを支配するような状態。先制したのはその日大。9分、法政陣22mライン付近のラインアウトを起点としてFWに拘った攻めでじわじわと法政ゴールに迫り、LOアサエリサミソニがトライ。ゴールキックも決まり、日大が幸先良く7点を先制する。日大のスクラムからのアタックは8→9からいったん右に振って左サイドにオープンスペースを作りワイドに展開が基本のようだ。ただ、FWに拘る部分で遅攻になりがちで、アタックのリズムが失われる面があることも否めない。逆に法政はチャンスを掴むと鋭い切り返しを見せる。起点となったのはユースレベルで実績のあるSHの根塚。12分には一瞬の隙をついてウラに抜け出し、あと一歩でトライの場面を演出する。小山(大東大)、湯本(東海大)、住吉(中央大)といった曲者SHが揃って卒業したこともあり、根塚は忍者系(?)として相手ディフェンダーを翻弄するいやらしい存在になりそうだ。



日大が優位に試合を進めながらも、得点板がなかなか動かない試合会場を埋めたホームチームのファンにとってはもどかしい時間帯が続く。逆に法政のアタックにリズムが出始め、17分に右PRが交代した辺りからは優勢だった日大のスクラムが徐々にパワーを失っていく。19分、法政はHWL付近のラインアウトを起点とした攻めから日大ゴールに迫る。しかしながら、あと一歩でトライのところでノックオン。序盤は日大も組織ディフェンスで法政に有効なゲインを許さないような状況だったが、速いテンポでボールを動かされるとラインに並ぶのはFWの選手というミスマッチになりがち。法政がそんな状況を見て、ミスなく確実に攻めていれば大量失点やむなしの、日大ファンにとってヒヤヒヤの場面がつづく。

試合の流れが法政に傾きかけた27分、日大は法政スクラムのアーリープッシュにより得たFKのワンチャンスを活かして得点を奪う。法政がここで反則を犯し、PKから22m付近でラインアウトとなる。日大はモールを形成して法政FWをぐいぐいと押し込んでトライを挙げる。右隅からのGKは失敗するが日大は12-7とリードを拡げる。しかし法政にもワンチャンス。キックオフで日大が前に弾いたボールを確保してテンポよく展開し、No.8橋本がゴールラインを越えた。この日はタッチライン際の位置取りで「エッジ」としてしばしばボールを前に運んだ橋本。本来、この位置で仕事をするはずの選手が約2名がベンチにもいない状況だが、アタックのオプションを増やす意図があったのかも知れない。



しかし、法政の追い上げムードも束の間。あくまでもFWに拘る日大は36分、40分と立て続けにFW主体で攻め込み2連続トライ。24-7と日大が圧勝ムード保持しながら前半が終了した。日大の意図は明確。強力なスクラムとLO孫を軸にしたラインアウトによる安定したセットプレーからボール支配率を高めて確実に得点を積み重ねる手堅いラグビー。対する法政はボールをsぴーディかつワイドに動かして突破をはかる伝統のスタイル。ただ、上でも書いたように日大は遅効になってしまう分、テンポよくボールを前に運ぶことが出来ていない。逆に法政もSH根塚がブレイクダウン周辺に開いた日大ディフェンスの孔を突いてウラに抜けた場面を除き、なかなか日大の組織ディフェンスの壁を打ち破れない。グランドに立ちこめたモヤモヤムードを払拭できない前半戦の両チームの戦いぶりだった。

◆後半の戦い/法政の大逆襲でもつれた後半もモヤモヤは払拭できず

試合開始時は好天の日大稲城グランドだったが、その後の試合展開を予見するかのようにだんだん雲行きが怪しくなってきた。雷の音も聞こえて雨もぱらつき始める。前半は風下に立っていたはずの法政だが、後半に入ると風は止まり、そして風向きはむしろ日大が追い風を受ける形に。「後半は風上だったはずなのに...」の法政ファンのぼやき節も出る中で後半の戦いが始まった。開始早々に日大が自陣で反則を犯す。法政は間髪入れずにSH根塚がタップキックから右サイドを駆け上がる。日大は正に忍者走法と形容したくなるような根塚のランに翻弄され、タックルに入れないままゴールラインへの到達を許してしまう。GK成功で14-24と法政のビハインドは10点に縮まり、ここで日大の圧勝ムードにピリオドが打たれた。

リスタートのキックオフでまたしても日大は「初期消火」に失敗してビッグゲインを許す。今度の主役は1番を付けた左PRの黒田で、法政ファンのやんやの喝采の中で日大陣の22mライン手前までボールを運ぶ。法政はここからゴールを目指してキックで攻めるが惜しくもドロップアウト。しかし、日大はリスタートのドロップキックに対する法政のカウンターアタックを止められない。ややスクランブル気味とも言える法政のアタックに日大はディフェンスがついて行けず連続トライを許す。GK成功で21-24と法政は遂に逆転圏の3点まで点差を縮めた。



日大は2分に左PRも交代したためか、頼みのスクラムも押せなくなり一転してピンチに陥る。そして14分、法政は日大が自陣10m付近で犯した反則を起点として、またしてもタップキックからの速攻で根塚にトライを許す。GKは失敗するものの26-24と法政は遂に逆転に成功。前半は元気いっぱいだった日大サイドも声を失うような状況。しかし、大学生の試合は判らない。日大は後半8分にSHを濱端に変えたことが功を奏したのが、アタックのテンポが良くなり逆襲開始。中盤戦にさしかかったあたりからは法政が自陣で我慢の時間帯となる。だが、日大は法政陣22m内でのラインアウトのチャンスも活かせず攻めきれない。

しかし、まだ日大にはツキが残っていた。22分、日大はHWL付近でターンオーバーに成功した後、キックで攻める。インゴール付近で法政選手がボールに追い付いたかに見えた。しかしながらボールを後ろに弾いてしまい、追走していた日大のNo.8西野がグラウンディングに成功。GKは外れるが29-26と日大が再逆転に成功する。再び日大サイドから聞こえてくる声が大きくなったがそれも束の間。リスタートのキックオフで日大にノックオンの痛いミスが出る。法政は日大陣10m/22m左のスクラムから右サイドに展開し、後半9分にSO時崎に替わって投入されたジョーンズ安人竜(アンドリュー)がスルスルと日大のディフェンダーをかわして約40m前進。ラストパスが斉藤に渡り、GK成功で33-29と法政が再度ゲームをひっくり返す。



残り時間が10分あまりとなったところで法政のリードは僅かに4点。リスタートのキックオフから法政はカウンターアタックで攻め上がるものの、ゴール目前で惜しくもノックオンを犯す。33分には逆に日大がオープンに展開して右側にオーバーラップを作り、オープンスペースに絶妙のロングパスを送る。受け手の前には誰もいない状態だったが、このパスがスローフォワードと判定されて法政は事なきを得る。その後も両チームが最後の力を振り絞って攻撃を仕掛けるものの、あと一歩が越えられずに試合終了となった。

試合は終わってみれば4点差の拮抗した戦い。しかも後半は逆転に次ぐ逆転のシーソーゲームになった。一時遠方で雷鳴が轟いたような天候もすっかり回復し、試合開始時の青空が戻ってきている。しかし、なぜか手に汗握る大接戦という感じがしなかったことが不思議で、モヤモヤした感覚だけが残った。コントロールされたというよりはハプニングが支配した部分が多いゲームだったし、両チームともに意図したことがどれだけ出来ていたかは疑問。冒頭で書いたように、この2チームは元来リーグ戦Gをリードしていく立場にあったため、ここ(Cグループ)にいてはいけないチームではないだろうか?という私感からそんな感覚が生まれたのかも知れない。

◆春季大会の意義について考える

春季大会も今年で6回目を数える。AからCまでの3つのグループに分かれて戦うシステムだが、順位が秋のシーズンに持ち越されるわけではない。公式戦でありながら公式戦ではないような微妙な状態は続いている。しかし、実はこの春季大会のランク分けはチーム間の格差を拡げかねない恐ろしいシステムではないかと思い始めている。強豪チームと戦うことで見えてくるべきもの(チームの課題)が、春の段階では明確にならないまま秋まで積み残しになる危険性があるという意味で。

当初はチーム関係者にとって煙たがられた感もあった春季大会。だが、この大会ができたことをプラスに捉えて通年でのチーム作りに取り組むチームが少しずつ増えてきていることも確か。関東のリーグ戦Gでは2強の東海大、流経大はいつでも15人のチームで試合ができる体制が出来上がっているし、強豪チームへの復帰が秒読みに入った関東学院は従来から通年指向だったと思う。大東大や拓大も複数年を意識したチーム作りをおそらくしている。

春季大会が始まる前は、大学ラグビーの場合はまず身体を作ってからチーム作りに励むというチームが多かったと思う。しかし、現在は少しでも多く選手にゲームを経験させ、足りない部分の自覚のもとで身体を作っていくという考え方に変わってきているのではないだろうか。もうひとつ。通年指向でチームを作ることに役立っているのが戦術への理解が進んでいること。どのように戦うか、戦いたいかを選手個々が年間を通して意識し続けることで効率よくチームを作ることができる。強豪チームの選手は体力面だけでなく知力面でも猛練習をすることが要求される。

基本的な準備が整った状態で春を迎えるのか、それとも春の段階では(秋に向けての)準備で終わってしまうのか。そういった取り組みの違いが今後ますますチーム間の格差を拡げていくように思われる。スーパーラグビーが身近なものとなった今、そこで戦うことを夢見る選手達も増えているはず。伝統の名の下に古い体質を引きずってきた感がある大学ラグビーも改革に向けて待ったなしの状態になっている。

ラグビーマガジン 2017年 06 月号 [雑誌]
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