ヲノサトル責任編集・渋東ジャーナル 改

音楽家 ヲノサトル のブログ

[回顧] 2015年に観た映画

2016年01月15日 | 映画/映像

さて年も明けたところで、恒例の「2015年に映画館で観た映画」紹介しておきましょう。紹介っていうか、自分自信の備忘録です。以前の備忘録(20122013)なんかも、読むと「あ、そういやこんな映画観たなー」と思い出したりするので、やっぱり書いておくのは大事。


さらば、愛の言葉よ
 ゴダール監督が3D映画を撮ったというから観てみたら…… ピンボケ、近すぎる撮影距離、左右像のズレ(っていうか左右わざと違った画像を重ね合わせる荒技)、手ブレ、粗悪な画質、変なノイズ、生理的に不快な音の強調……、これはもう映画史上最も気持ち悪い3D作品といって過言ではない。なのに全カット途方もなく美しい。これは3Dで観ないと意味がない映画。


アメリカン・スナイパー
 イーストウッド作品で言えば「許されざる者」「父親たちの星条旗」「グラン・トリノ」などの系列。テーマソングなしに沈黙のままで流れるエンドクレジットが、この映画の「重さ」を表している。本編にもいわゆるエンタティメント的な盛り上げBGMは一切無し。不吉な低音や持続する高音といったノイズ=アンビエント的な音響が戦地での不安感を煽る。また帰国した兵士の日常生活に、戦争の記憶がフラッシュバックする様子を音で巧みに表現。そんな「音響映画」なのに一カ所だけ、非常に有名な「映画音楽」が流れる場面があって、実に効果的。


ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密
 ベン・スティラーの一人二役に爆笑、そしてロビン・ウィリアムの勇姿に胸熱。「Magic never ends!」という言葉が忘れられません。


映画ドラえもん/のび太の宇宙英雄記
 息子と観たけど、ごめん。よくおぼえてない。


映画 クレヨンしんちゃん/オラの引越し物語 サボテン大襲撃
 しんちゃんシリーズは毎回、たぶん子供にはわからないだろうなというパロディ要素があって面白いんだけど。今回はアレですね、50~60年代のB級パニックSF映画のパロディ。ホラあるでしょ、ある日とつぜん人喰いアメーバが街を襲うとか、宇宙から謎のエイリアンが襲来するみたいな話。人々が全滅し、残された主人公たちが何とか脱出を試みる…みたいなストーリー。後半は完全にあのパターン。


劇場版 名探偵コナン/業火の向日葵
 息子と観たけど、ごめん。よくおぼえてない。


バードマン/あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
 「バックステージもの」に外れなし、です。ゆら~ ふわ~ と主人公を追いかける長回しのステディカム映像がだんだん癖になってくる。主人公のおっさんが楽屋から出たらオートロックのドアが閉まっちゃって、街路をパンツ一丁でうろつくハメになっちゃう場面が最高。しかもそれが携帯カメラで拡散されちゃって、逆にすごい有名になっちゃうという皮肉な展開が、SNS時代っぽい面白さ。


セッション
 渋東ジャーナル改:『セッション』というスポ根マンガ に詳しく書きました


シェフ/三ツ星フードトラック始めました
 ロードムービー。料理映画。父子関係修復映画。SNSと拡散の時代についての映画。もの作りについての映画。……と、とにかく色々な視点で楽しめる秀作。主人公のシェフがつくる、両面こんがりと焼いたサンドイッチが実に美味しそう。


神々のたそがれ
 観終わって、とにかくぐったり疲れた。泥だらけの汚らしい惑星に降り立ち、主人公=カメラ=「神」の視点で、人々の愚行蛮行をずーっと眺めさせられた気分。画面は終始ぐちゃぐちゃしてて乱雑でイヤーな世界。それだけに視界がパーッと明るく開かれるラストシーンには、得体の知れない爽快さを感じる。


メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮
 前作「メイズ・ランナー」は壁の謎と閉鎖系からの脱出がテーマで、いやおうなく「進撃の巨人」を連想させられた。今回は滅んだ都市、崩れたビル…終末後の世界描写に「マッドマックス怒りのデスロード」と同じ匂いを感じる。ラストでの主人公の「決意」も含めて。これは「3」も観ちゃうな、きっと。


駆込み女と駆出し男
  さすがは原田眞人監督、脚本も演出のテンポ感も最高。主人公の信次郎がとっさの長口舌でやくざを追い払うシーンは、主君を関所越えさせるために弁慶が何も書いてない巻物を読み上げる「勧進帳」の名場面さながら。そして終盤「鯵売り」の正体がわかる場面には号泣してしまった。あと法秀尼がかっこよすぎ!「法秀が申しました」と言う決め台詞、真似したくなります。


マッドマックス/怒りのデス・ロード
 『神々のたそがれ』 の奇習と塵芥と暴力と殺戮を700倍ブーストしてデッドカスタム車に乗せてアクセル踏み切ったみたいな映画。要するに、往年の名画「駅馬車」クライマックスのインディアン襲撃シーン、みたいな追跡アクションが全篇の90%を占めている印象。もちろん火薬と暴力とスピードは700倍にブーストした上で。個人的には「ギター男」最高。


バケモノの子
 なにしろ渋谷の街の描写がリアル!しかもかなりレアな場所が出てきて、渋谷に暮らす当方としては一緒に観てた息子と「あ、ここは…」と何度も顔を見合わせた。渋谷といっても、裏路地にある図書館とか、神社の横の地味な駐車場とか、ロケーションがシブすぎる(笑)。そして内容は「親は、親だから子を育てるのではなく、子と一緒にいるから"親"になれる」「師匠も、弟子を持つことで"師匠"に育つ」という、人間関係と成長についての寓話。


ミニオンズ
 子供向けアニメのようでいて、1968年のロンドンが舞台なので子供には理解不能なネタ満載。要するに「オースティン・パワーズ」ですね、これは。笑った。


ジョン・ウィック
 最初から最後まで撃ち合い殴り合い走りっぱなし。とにかくキアヌ様を眺めるためのムービー。


マイ・インターン
 なにしろデ・ニーロ先生のかっこよさに打ちのめされた。いやもう「先生」と呼ばせてください!紳士になるための名言連発。中でも「男ならハンカチを持て」という台詞には悶死(理由は映画を観てのお楽しみ)。明日から毎日3枚は持って外出します。背景音楽も、ネット企業の若者たちが出てくる場面は今っぽい風合いの音楽、デニーロの場面はジャズやボッサなど古い音楽…とわかりやすく使い分けて「世代差」を演出しているのが洒落ている。


ヴィンセントが教えてくれたこと
 最低すぎるジジイを演じたビル・マーレイが最高!全然ジャンルは違うけど「レスラー」とか「アンヴィル」みたいな、"人生詰んじゃったおっさん"系の映画が好きな方にはぜひお勧めしたい。あと主人公の少年が可愛すぎ。


リトルプリンス/星の王子様と私
 映画が強調する「子供の自由な心=善」「大人のビジネス至上主義=悪」というステレオタイプなメッセージは、ちょっと説教臭かったけど。ペーパークラフトを用いたストップモーション・アニメのアナログな映像が素晴らしく美しかった。


バクマン。
 マンガ家がどうやってデビューするか、どのように編集者と作品を作っていくのか…という「職業もの」バックステージ映画として面白かった。掲載する作品を編集長が「アリ」「ナシ」とビシビシ分別していく編集会議の緊迫感とか。そして特筆すべきはサウンドデザイン。音楽も良いけど、なにしろ効果音のミキシングにものすごく凝っている。「ペンが紙を走る音」に、ここまでこだわった映画がかつてあっただろうか!


アクトレス~女たちの舞台~
 盛りを過ぎた年上女優(ジュリエット・ビノシュ)と、生意気盛りの若手女優(クロエ・モレッツ)の世代間抗争が熾烈。年齢とは、成長とは、円熟とは…と考えさせられます。そして終盤、ビノシュがクロエに助言した時、それまで尊敬してます~(はあと)みたいにビノシュを慕ってたクロエが、手のひらを返すように返答する冷酷な表情と台詞。対するビノシュの表情! 鳥肌モノの名場面です。


ベテラン
 カネの力で悪事やりたい放題のボンボンを庶民がこらしめる、時代劇みたいな勧善懲悪ストーリー。主人公の刑事と、その上司であるチーム長、そして警察トップが、三すくみで「俺は悪をやっつけるために、こんな怪我してきたんだ!」「俺だって!」「俺だって!」と、いい大人のくせしてガキみたいに傷を見せて張り合うシーンが最高。そこからのヒートアップ感がアツい。あと女刑事ミス・ボンの飛び蹴りが最高。


スターウォーズ/フォースの覚醒
 まだ観てない方も多く、ネタバレすると射殺されそうだから詳しく書けないのが残念。まあ一言でいうと、中学校の同窓会に出席してきた気分です。ミレニアム・ファルコン号が画面にバーン!と映っただけで、涙が吹き出してきたもんね。しかし、ダニエル・クレイグやらサイモン・ペグやらも出演していたとは… だからってもう一度見ても絶対わからないと思う、しょうもない役柄だけど。


I LOVE スヌーピー/THE PEANUTS MOVIE
 ピーナッツのあの世界が3DCGアニメになってる時点で、好き嫌いは分かれるだろうけど…。ご存知の通り子供たちの日常を淡々と描くめちゃめちゃ地味な世界観ながら、ファンにはおなじみな「スヌーピーの妄想」(犬小屋の屋根を飛行機に見立てて第二次大戦のパイロットになり切る)部分を航空アクションとして派手に描いたあたりに、なんとかして映画的に盛り上げようという制作者たちの努力が感じられます。しかし何をやってもダメで自分を卑下し続けるチャーリー・ブラウンって「ドラえもんのいないのび太」みたいだよね。


007/スペクター
"Q"が海外出張して敵に追われたりまでする大活躍で、ファンとしては嬉しい限り。列車内での格闘アクションは「ロシアより愛をこめて」以来のシリーズお約束パターンで愉しいんだけど、車内のドアとか壁とかが、ボンドや敵がぶち当たるたびにガンガン壊れすぎで笑った。安普請にもほどがある!ドリフのコントか!



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