ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

小池光「バルサの翼」故郷

2011-08-17 04:55:23 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
父の死後十年 夜のわが卓を歩みてよぎる黄金蟲あり

本日より小池光「バルサの翼」を読む。上記の一首は1977年に詠まれた。私が1974年生まれだから、今から約34年前だ。上記の一首、可能な限り重武装をしてどこからも隙がない。二句の一字空け「歩みてよぎる」の執拗な描写。テーマの重み。作者の意図が強く出ている構成だ。口語短歌では出来る限り意味を薄め、言葉を軽くし、読者それぞれの読みの幅が広い。簡単に言うと「何か分からないが凄い」短歌を目指している。例えば下記の二首。

「はなびら」と点字をなぞる ああ、これは桜の可能性が大きい

真水から引き上げる手がしっかりと私を掴みまた離すのだ

笹井宏之『ひとさらい』

読みが読者に投げられている。私が言いたいのは幅の話だ。小池光の歌も最後の部分は読者に投げられている。
長くなったので本題に。
何故、黄金蟲なのだろう。冒頭の一首だから、これから「黄金蟲」が何を象徴しているのかが分かるはずだ。この段階での黄金蟲のイメージは「甲羅は美しく、飛ぶ姿や歩く姿は滑稽で鈍重」である。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。