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ミステリーで心理学(6)

2009-06-06 | 応用心理

「動機」と「欲求-圧力理論」
 先月のブログ〔2009年5月)の「ミステリーで心理学シリーズ」で最初に取り上げました「動機」はミステリーにおいて重要なキーワード・・「手口」「アリバイ」「トリック」等の中でも最も重要な条件であると思います。そこで今回再度“動機”を取り上げてみます。
 動機の研究はミステリー、心理学、社会学を結ぶものでもあります。犯人の動機を分析するのにマレー(1938)の「欲求ー圧力理論」での社会的動機リストが役に立ちます。マレーの「欲求-圧力理論」とは、人が持つ欲求とそれに対して加えられる環境からの圧力との関係から、人格を捉える理論です。つまり、人の欲求に対して、彼を取り巻く環境条件はその条件の許しえる範囲内で「彼の行動を要請する」という考えです。この理論を人(犯人)の“動機”に当てはめてみると、“犯人の欲求(目的)”は、①「外的事象への欲求」②「対人的欲求」③「圧力排除の欲求」の3つに分けられます。そして“犯人への圧力(犯人の欲求を妨げたり促進させる作用のある圧力)”は、①「人的圧力(誰かによるストレス)」②「環境的圧力(物理的、社会的ストレス)③「内的圧力(本人の内的ストレス)」があり、これらを分析すると犯人の犯行動機の分析がし易くなると思われます。また「犯人の感情の分析(快・不快・評価感情・身体感情~痛いなど)」も必要です。
 なにはともあれ、
マレーの「社会的動機リスト」に照らし合わせると一方の“犯人の動機解明”に役立つのです。その社会的動機リストの代表的な項目は「屈辱・達成・親和・攻撃・自律・中和・恭順・敬服・防衛・支配・顕示・障害回避・屈辱回避・養護・秩序・遊戯・拒絶・感性・性・救援・理解」などです。ミステリーを読むとき、社会事件を考えるときこれに照らし合わせることを、是非お試しあれ!

 参考文献 :本明 寛 1992「心の研究」 社会思想社  野口京子 1996 「性格心理学」 明星大学出版部



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