プレキシガラスのこと

　プレキシガラス（PLEXIGLAS）とは、通常のガラス（シリカガラス）でなく、樹脂を使用したガラスのことです。最近はあまりこの名で呼ばれることはなくなった様に感じますが、昔のスポーツカーにおいて、フロントガラス以外の左右サイドウインドウとかリヤウインドウなどに使用されていて、乗っているエンスーを自称するオーナーは、「プレキシなんですよ～」とやや自慢そうに説明したものです。

　さて、このプレキシガラスの樹脂ですが、一般的にアクリル樹脂が使用されていると思って間違いないでしょう。その利用目的ですが、通常のシリカガラスに比べ軽く軽量化にできることと、曲面形状に加工しやすいといったこともあったのだと想像しています。

　例えば、写真はゼロ戦のキャノピー部分を写したものですが、左右のサイドウインドウは平なシリカガラスでしょうが、天井部分の曲面はプレキシガラス（アクリル製）なのでしょう。

　このアクリル樹脂ですが、非常に透明度が高く比較的表面硬度も高く、通常ガラスの代用品として利用されてきたのですが、最近のクルマでは透明部分に使われることは少なくなっています。現在のクルマに利用されているアクリル樹脂は、色付けされた半透明部分、具体的にはテールランプレンズとかフラッシャーランプレンズなどが代表的な製品です。

　それでは、現代のクルマにおける純透明部分としてヘッドライトレンズや、ジェット戦闘機のキャノピーの材質は何が採用されているのでしょうか。これらには、ポリカーボネイトというアクリルより比強度の優れた樹脂が使用されていることがほとんどだと思います。なお、ポリカーボネイトは比強度は高いといえ、表面硬度は通常ガラスに比べれば低く、耐キズキズ付き性、耐候性を向上させるため、コーティング処理（クリア塗装）が施されて利用されていることがほとんどです。