極楽のぶ

~酔生夢想~
中途失明を越えて

極楽のぶと『詩仙堂』(終)

2017年06月17日 | アート
 「隷書体」で盛り上がった我が家のひとときから、今回の「詩仙堂」シリーズは始まった。

 折も折、旧友のARA君が、終(つい)の棲家に詩仙堂界隈を選んだという報がはいる。タイミングよく思い、わざわざ仲間うち相手に、愛読要請したシリーズでもあった(極楽としては、これは珍しい)

 ところが、みんな知らないだろう?「隷書体」で始めたものの、存外、世間ではよく知られていることがわかった。 極楽ひとりの無知が「イタイ!」(笑)。穴があったら入りたい。

 極楽は少数Friendsながら、closedなFBに参加している、その旧友からコメントがあり、NANA君は、奥様のご尊父が「書家」で、隷書体を得意としている、また、同OKA君は少年期から天才棋士だったが(残念ながら藤井君ではありません笑)、今もアマ棋士界の雄だそうで、さすがmy将棋駒(数セットあるらしい・自作らしい!びっくりだ)に隷書体版を好んで用いるそうだ、また同旧友TOMO女史は、高校時、和田っちに、隷書体とともに、いくつか他の書体も教わった記憶があるといい、最後には同盟友NABE君は、和田っちの書道部に草鞋を脱いだそうである。隷書体、あ~あれね!らしいのだ。知らぬは我ばかりなり? 「詩仙堂」には別名凹凸があったが、凹の辺りに、入って隠れてしまいたい。案外、気持ちが良さそうだ(笑)
 ずるいのは、「うちのかみさん」である。→

「そういえばさぁ、ハンコ屋さんの、グルグル回る奴に隷書体コーナーがあったわよ、確か・・」 などと言う始末。し、知らねぇって言ってたじゃん!笑

 本編の残照になるが、石川丈山は、なんと、1672年まで生き、89歳で逝去した。詩仙堂には30余年暮らしたことになる。
 この際、あれこれ調べていて、驚いたことがある。丈山は、詩仙堂創建の58歳ころから、視力障碍を患い始めたのだそうだ。 宣如に頼まれた渉成園の設計も、見えづらい作業に苦労したのだろう、完成まで12年も掛かってしまっている。
 宣如は、辛抱強く完成を待ったが、56歳で亡くなるまで、渉成園には5年ほどしか棲めなかった。

 丈山の詩仙堂生活30年が、失明との闘いだったことは意外だ。今回のシリーズ探索で初めて知った。
 愕然としたが、あの日、冷たい畳の上で、極楽に語り掛けてくれた「三十六詩仙」の優しく潔い「隷書体」は、光を失いつつあった丈山と、私、極楽との、同じ業を背負った秘密のチャネリングだったのかもしれない・・
 丈山の書を絶賛した林羅山は、丈山の失明を知っていたに違いない。絶賛には「驚嘆と感動」も加算されたことだろう。

 以下、最後の話題である。

 我が家が隷書体で盛り上がった夜、ビデオしてあったNHK-BS「英雄たちの選択」を、いつものように、何気なく見た。
 
 それは、3月の特別シリーズで、いつもと同じ構成ながら、特に『昭和の選択』とサブタイトルされていた。

 皆さん、司会の歴史家、磯田道史氏の史観は、現代日本にとっての至宝です。バブル期の司馬遼太郎を凌ぐ人であると思います。
 歴史に興味ない人も、現代、未来には責任があります。ぜひ、本番組を録画視聴されることを勧めます。あの傲慢なる会長が君臨し、萎縮報道が蔓延した時代にあって、唯一、一歩も引かず、論点がぶれなかった番組でもあります。
 
 で、その「昭和の選択」は凄かった。
 偶然にも、日本が世界に誇る書家「井上有一氏」を紹介する回だった。隷書体ではなかったが、あまりの同時話題性にびっくり、だが、井上氏のお名前は聞いたことがなかった。よく電源オフしないで見続けたと思う。何かの力に違いない。

 「書」によって言論を尽くし、硯から芸術哲学を起こし、世界に向かってモノ申す、そんなことができるのか? 書の可能性はそこまでゆくものか!、深く染みた。

 井上氏の書風は、かみさんの解説を聞かねばならないが、かみさんの表現力は、・・いまひとつ・・ゆえ、想像するしかなかった、が、いきさつを聞けば返って凄みが増す気持ちがした。

 井上先生は、戦前、一介の国民学校、書道科教師、愛国と教育勅語、熱烈歓迎の教師だった。
 一変するのは、東京大空襲、「防空法」というトンデモ法があり、国民は焦土と化す都下から「逃げてはいけない」、老若男女、防火活動に愛国的協力をせねば、罰せられる、というのだ。 そうして教え子たちが焼け焦げていった。 

 戦後、頭から離れぬその「地獄絵図」を、水墨画ではなく、自らの世界「書」へ、泣き叫び、悶え死ぬような書体を使って具現してみせた。

 そうして、一介の書道教師の名は世界に刻まれた。
米国のグッテンハイム美術館やスミソニアン博物館でも披露されたそうだから、世界に飛躍する皆さんなら、きっと目にしているだろう。
 その、怒りと嘆きの書を・・晴眼の読者たちは見ることができるはずだ

 ここで極楽がどう書いても伝わらないので、三つほど、関連サイトをリンクしておこう。

1)「昭和の選択」東京大空襲が生んだ悲劇の傑作「噫横川国民学校」

2)同番組を見た某ブロガーの感想サイト

3)同番組を紹介する another サイト

以上のどこかから、きっと、その書体そのものを見られるはずです!! うらやましい!

 もう、既に「詩仙堂の話」でも、「隷書体の話」でもなくなっています。
 ちょうど、このシリーズ連載中、
「テロ等準備罪」という「共謀罪=平成版治安維持法」が強行採決されました。
 読者には興味ない人も多いでしょう。が、施行後は、当ブログのようなちっぽけな言論サイトも、AIによって簡単に単語検索され、立派に「監視対象」になります。公のほうに監視する気がないとしても、データとして上がるのです。

 秘密保護法、安全保障法制、テロ等準備罪、次々と強行採決されてきたこの数年、「決められない政治」が嫌だからと、「身内供与ながら何でも決めてしまう政治」の方を、私たちの大半は支持してきました。無批判に、あるいは批判する人たちを憎み、妬み、「太いものに巻かれる上手」が好まれてきました。

 今、「水晶の夜」(ナチス)に向かって突き進む国家権力の曲がり角に立ちながら、かつて、平安のために死力を尽くし、視力を失ってまで、時代を支えた「詩仙堂」と石川丈山を扱う偶然を得たこと、極楽は、秘かにも、一庶民ブロガーとして、誇りに思っています。
 そして、愛読者みなさんは、既にアクセス歴が共謀罪の理由に、いつでもなるのです。そんな時代に、私たちは65歳になろうとしています。

お・し・ま・い
今回も、ご愛読、たいへんありがとうございました。しばらく休憩です・・
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