風塵社的業務日誌

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ブタ箱物語(18)

2017年02月13日 | ブタ箱物語
12:00前、朝もレクチャーした若い警官がコントロールルームのようなところから出てきて房に近づき、お昼ご飯についての説明が始まった。曰く、食事の間は片手錠とする。食べ残すときは、全部用意する袋に捨てること。決して持ち帰ったり、隣の人にあげてはいけません。常備薬を服用している人にはいまから配布するので、待っていてください。云々かんぬん。
片手錠とはなにかを説明するのを忘れていた。通常、手錠は両手にはめられているのであるけれど、その右手側をはずし、左手に両方の手錠をかけた状態を指す。左利きの人には不条理な話ではあるだろうが、再々述べているように、日本の病理的な管理システムにおいて、そんなことは考慮されないのである。
そこで、警官が何名かで各房を回り、全員を片手錠にしていく。つまり、手錠の鍵は同一なのであるということだ。そのついでに、薬が必要な人には薬を渡している。それが終わって警官が房から出て施錠が終わると、配膳口からビニール袋を配り始めた。そこにはコッペパンが一つと小さいパックに入ったイチゴジャムとマーガリン(給食なんかで出てきそうなもの)が各一個入っていた。それを小生と向かいに座っている人が受け取って、奥に座っている人へと手渡ししていく。飲み物はどうだったのかなあ。プラスチックのカップに注がれたお茶を飲んだのか、牛乳パックが配られたのか、まったく覚えていない。
小生の入っていた房にも、常備薬を必要としている人がいた。その人が、「すみませ~ん。この薬だけじゃないんです」と担当官に申し出ている。どうやら一つ渡し忘れていたようだ。そうそう、薬は、必要とする人の入り口にその袋が吊るされていたのである。留置所から護送担当者が持ってきたのだろう。
しかしなあ、まさにとってつけたような昼飯ではあるけれど、文句のつけようもない。検察庁の待合室で高級料亭の仕出弁当なんてものが出た日には、圧倒的多数の国民から非難の声が轟轟と湧き上がることだろう。そこで気がつけば、逮捕されてからそんなに腹も減らないし、また用便についてこれまで記してきたけれど、実は用便に行くこともなかったのである。
腹は減っていないけれど、この先どんな運命が待ち受けているのかはわからない。食べられるものは食べるにしくはないと、出されたものをむしゃむしゃ食べつくすことにする。パンを腿のうえに置いてジャムやらマーガリンやらを塗ってかぶりつく。そして食べ終わると、最初に受け取ったビニール袋に残骸のゴミを入れて、次の指示を待つことにした。全員の食事が終わったころあいを見計らって、警察官が「各自、ゴミは配膳口から捨てるように」と述べ、そこに袋が設置されていく。小生の目の前なので、すぐにポイッと袋を捨てる。
他の人を見ていると、食べ残している人がけっこう多い(その「けっこう」は数値化できない)。どうしてだろうと理由を考える。単純に、まずいから食えないということなのだろうか。それとも精神的に疲れていて食欲がわかないということなのか。はたまた、何回も検察調べを受けているから、ここでの昼食に飽きているということかもしれない。食事の量としては大したものでもないのに、若い人でもその全部を食べようとしないのだから、それはどういうことなのだろうかとついつい考えてしまったということだ。
一通りの片づけが終われば、また両手にワッパをはめられるわけである。その前にションベンをしておこうと、奥のトイレに行かせてもらった。自分の席にもどればタイミングよく(?)警官が入ってきて両手錠にし直すところである。
食事の片づけが一通り終わると、再び静寂が訪れ、呼び出しのかかった人がいずこかへと連れていかれる。早く小生の番にならないかなあと、苛立ちが募る。するとようやく、「M署6番」と小生の番号が呼ばれたのである。安堵とワクワク感とが湧き上がってきた。担当官が房の入り口を開錠するので、小生は喜んで房から外に出た。そして、腰縄をされてから、勇んで検察官のもとに向かおうとなった。
警察官の誘導にしたがって歩き始めると、小生が座らされていた位置からは見えなかったけれど、コントロールルームと称している一角の先に、取調室に出る扉があった。その両脇に監視部屋のようなものがあり、「M署6番」と小生が従えている警官が声を出す。すると扉が開けられ、目の前に非常に長い廊下が広がった。
そこを左に曲がれと後ろの警官に指示された先には、ドアが開かれ灯りが煌々と点いている部屋がある。そこが検察官の取調部屋のようだ。入ってみるとかなり広い空間である。そのうち、取調べ用に使っているのは1/3くらいのものだろうか。事務机を四つほど並べた島が全部で7個くらいあったように記憶している。「ずっと真っ直ぐに進んで」と後ろにいる警官が指示をする。それにしたがって小生は直進していった。そして、本日小生を担当する検察官の前に座らされることになった。
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