風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

パンツを見ない

2017年05月20日 | 出版
ある日本郷で、会社に向かってトボトボ歩いていると、前を歩いているネーチャンの姿がどことなくおかしい。最初は、ミニのスカートのうえにエプロンでもしているのかなと思ったが、どうやらそうではなさそうだ。うすそうな生地のロングのスカートをはいているのだけれど、お尻のあたりだけスカートが内側に巻き込まれていて、もう少しでパンツが見えそうである。そのため、いささかヴォリュームのある太ももがかなり上の方までむき出しになっているのだ。
「どれどれ、けふのパンツは何色ですか?」とのぞき込んでもいいんだけれど、立派なお尻にはあまり食欲がわかない。そのうえ、痴漢だ、セクハラだとあらぬ疑いをかけられるのもいやなので、反対側の歩道に移動することにした。しかし、そういうときは紳士として「お嬢さん、スカートがめくれていますよ」と声をかけるべきなのだろうか。いやいや、平手打ちを食らうのがオチに決まっている。
そこで、反対側の歩道からその女性を追い越して社に向かっていると、「イヤッ!」という声が聞こえてきた。おそらくはその彼女がスカートの状態に気がついたのだろう。よかった、痴漢と間違えられなくて。最近ニュースを見ていると、電車内で痴漢の嫌疑をかけられてレール上を走って逃げて死んじゃう人もいるから、我が身を危険にさらしそうなことはなるべく避けた方がいいだろう。
その日の昼飯時、定番の風塵社的蕎麦味噌汁を作る気力もなく(食材もなく)、隣りのコンビニでおにぎりなどを買ってきて食べることにする。自分のなかでその理由はよくわからないが、昔とちがってコンビニメシはそこそこ美味しくなってきているというのに、なぜかコンビニメシが好きではない。どことなくわびしさを覚えてしまう。
ひとりでメシを食べているのはヒマなのでYouTubeを見たら、『その男、凶暴につき』がアップされているではないか。わびしいごはんを食べつつ暴力映画を観れば、小生内部の陰惨度指数がかなり高まっていくのは禁じえない。ところがその後、午後の仕事が山積というのに、陰惨な気持ちで『その男~』を最後までついつい観てしまった。いやあ、いま観るとこれがなかなか面白いのだ。やめられない。
昔、いつ、どこで(映画館なのか、ビデオなのか)この作品を観たのかも忘れているけれど、そのときの印象があまりよくなかったことだけは覚えている。要するに、映画を鑑賞してもそれを自分なりに理解する能力は低いし、暴力映画は好きなのにいやだという奇妙なアンビヴァレントにあるからだろう。そして、こんなことを記すとファンの憤激を買いそうだけれど、北野作品はどこか内輪受け的な印象があり、あまり好きになれなかったのだ。
それはともかく、まず『その男~』は流れている音楽が心地よい。ネットで引いたらサティも使っているようであるけれど、メインテーマはだれの作曲なのだろうか。サントラがほしいなあと思ってしまった。次に、物語の前半に登場する売人のお客さんであるヒモっぽい男性は、なんという俳優さんなのだろうか(主人公に車で2回轢かれる役の人)。はだしで演技しているから、おそらく、足の裏はかなりの傷を負ったことだろう。そして、警察署内でもタバコをバカスカ吸っているのには、その時代のおおらかさを感じてしまった。おそらくいまは、全部の警察署が全面禁煙であることだろう。
たけしも、白竜も岸部一徳もまだみんなまだ若いし、それだけに凄味満点。川上麻衣子の存在と最後の撃ち合いはあんまり面白くはないけれど、署内でたけしが白竜を拷問する場面は迫力がある。ただし、主人公が被疑者の口のなかに拳銃を突っ込んでからいろいろともみ合いになり、はからずも同僚の肩を撃ってしまう設定には、北野武監督の演出の未熟さを感じてしまった。
『その男~』に対してこうした辛口のコメントをし始めたら、それこそ尽きないことだろう。そしてもしかしたら、過去にこの映画を観たとき、北野武監督という前情報(つまりは芸人風情がという偏見)からそういう木を見て森を見ず的な姿勢で鑑賞したから、この映画の面白さを味わえなかったのかもしれない。そこで今回YouTubeで観ていて感じたのだけれど、細部における素人くささなんてのはこの際どうでもよろしい映画なのだ。本質は、死ぬこと(つまりは生きることの裏返し)の醍醐味を描く娯楽暴力映画であり、その面において訴求力を持った作品であるということである。
こうして、『その男~』を終わりまで観てしまう。ネットでこういう作品をただで観られるとはいい時代になったものである。と思う反面、書籍もただとなったら、わが業界は壊滅してしまう。ということで、弊社の刊行物を電子書籍化するつもりはない。しかしそんな大上段に振りかざした話の前に、なすべき仕事を終わらせないといけないのだ。早く終わらせて、別の北野作品を検索してみることにしよう。『OUTRAGE』の続編も公開になるという話だし、そのうち観にいこうかなとも思った。
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