風塵社的業務日誌

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芝大門へ

2017年01月05日 | 出版
昨年のクソオリンピックの報道があまりにうるさくて、朝のニュースを見るのがいやになってしまった。そのため、7:30からテレ東の『歴史の道 歩き旅』を毎朝見るようになってしまったのである。朝っぱら、こういう気の抜けた食レポ番組を見ていると頭が悪くなりそうだけど、精神的にはよろしい。しかし、こうやって報道に文句をつけるのならば最初からテレビを見なければいいのだけれど、『歴史の道~』がクセになっていて夫婦二人でついつい見てしまうのである。
そして、おそらくはこの番組だったと思うけれど(熱心に見ているわけではないので、記憶ちがいの可能性大)、芝大門のおそば屋さんが登場し、そば寿司なるものをリポーターの俳優さん(だれだったか忘れちゃった)が食べていた。それで、どんなものか一度食べてみようとなっていたわけだ。
そこは以前も入ったことのあるお店だけど、そのときは通り一遍にザルそばを食べただけである。信州人がそば屋に入れば、ザルそばを頼んでしまうのはしょうがないだろう。ところがお勘定台にいたおじさんが妻にはウケたらしく、妻は以前からまた行きたいとのたまっていたところでもあった。ザルそばもおいしかった記憶がある。
そこで年末の30日、弊社も妻の勤め先も仕事納めである。早上がりの妻と日本橋で落ち合い、芝大門に向かう。地下鉄の出口を上がれば、すぐ目の前に目指すおそば屋さんがある。入るとそれほど広くはない1階にはまばらにお客さんが入っている。
小生は日本酒の熱燗とくだんのそば寿司を頼み、酒で1年の疲れを癒すことになる。小生らの通された席と仕切りをはさんで、五十台後半の金融屋さんらしき二人組が鍋を食べながら酒を飲んでいる。そこに遅れてまた二人が合流し、計四人でのささやかな宴会を楽しみ始めた。
金融屋さんって独特のしゃべり方をするから、話し方でなんとなくそうじゃないのかなと想像してしまう。うまく説明できないのだけれど、語尾は妙に改まっているのだけれど、そこに至るまではわりとぞんざいな口調だという印象である。妻に「お隣さんは銀行?」と小声で聞くと、「おそらく、そう」という返事だ。
仕事納めのあとなので、金融屋さんもずいぶんリラックスしているようだ。お酒も入ってきて、声も大きくなってくる。こちらはチビチビお銚子を舐めているところなので、いやでも彼らの話が耳に入ってくる。内輪の暴露話も聞けそうだ。そうなると、こちらの耳はダンボ状態。妻の話すくだらねえ会社のグチなどどうでもいい。
そば寿司なるものは、助六のシャリの部分がそばになっているもので、なかなか美味しい。小生は偏食が激しくていなり寿司はあまり好きじゃなかったのだけど、このお店のそばいなり寿司は甘すぎずして、小生にも美味しく感じられる。お燗にもよく合う。我が家でも作れそうなものだけど、そばにマッチングするお酢の開発には苦労があったことだろう。
そして、隣りの金融屋さんからの声はますます大きくなる。彼らの所属する銀行のあるお偉いさんが、日銀の黒田総裁を批判したそうだ。するとその人、神保町の書店で万引きで捕まっちゃったそうな。しかも明らかな濡れ衣ですぐに釈放されたらしいけれど、「批判しただけでそんな目にあうんだから、○○さんも大変だったよねえ」なんて話している。小泉政権時にその種の噂話はよく聞いたものだけれど、決して都市伝説ではないのかもしれないと考えてしまう。
彼らはそこから黒田批判へと移る。「黒田さんは最初短期金利の引き下げを主張していたのに、それをいつのまにか長期金利の引き下げに話をすり替えちゃったでしょ。あれはひどいよね」。おいおい、金融屋さんに批判されている日銀・黒田なり、アベノミクスなり、日本の経済は大丈夫なのか?株価の瞬間的な上下ではなく、国民経済の根底を破壊しているのではあるまいな。
さらには、2000だか3000だかの話をしている(単位が万なのか億なのかは不明)。いいよなあ、こういう連中って。結局、てめえの手持ち資金で勝負しているわけではなく、会社の金をどう回して利益を出すかという話なのだから、1円の重みが小生とはちがってくる。こちらの体感としては景気の悪いことこのうえないのに、資金運用の世界では利益を出す余地がたっぷりあるということなのだろうか。
そして、「マイナンバー制度に合わせてカードのシステムを換えましょうと提案しているのに、上がOKを出さない」と上役の悪口を言い始めた。聞いているこちらの気分は、「うるせえ、バカ野郎!」てなものだ。あんな課税システムに銀行カードを連動されてしまったら、世の中、息苦しくなるだけだ。てめえらの利益のために世の中があるわけじゃないぞ、ということだ。その上司の卓見に感謝しつつも、近い将来に預金通帳とマイナンバーが一体化する社会が到来するのだろうと、暗澹たる気分になってきた。なんとも世知辛い歳の瀬の一こまであった。

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