風塵社的業務日誌

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風塵社的謹賀新年2017

2017年01月04日 | 出版
新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。とはいえ、目出度さも最底辺なりおらが春、というわけで、内心ではさほどめでたくもないところです。

さて、新年を迎えたからといって、なにかいいことが始まるわけでもない。昨年なかなか進まなかった作業はそのままになっているし、お金の問題も相変わらず頭が痛い。それでも、仕事を離れて数日ボケーとしていたら、ウツ状態がいささか緩和されてきたようにも感じる。
そこで正月のある日、新年のあいさつでもしておこうと、名古屋の兄の家に電話をしてみた。三番目のガキが大学受験を迎えているのではないだろうか。そのお母さんが電話に出たので、新年のあいさつもそこそこに三番目の様子をたずねてみる。
「それがねえ、11月までサッカーやっていて、受験勉強なんて全然してないのよ」
「相変わらずおバカですねえ。それでも一応は受験するの?」
「本人は大学に行きたいって言っているんだけど、これじゃあどこも無理よ」
「そりゃ、しょうがないね。一番目のガキは就職決まったの?」
「実は帰省していて、さっきまでうちにいたの。それで、いま車の免許を取るために合宿していて、ちょうどバスで仙台に戻っていったところ」
「仙台? 横浜じゃなくて?」
「そう、仙台。そこの合宿所がお安かったんじゃないかな」
「へー。それで就職は?」
「神奈川県の教員に採用されたの」
「じゃあ、体育の教員にでもなるの?」
「そうそう。中学の体育の先生。それで、あわてて免許を取りにいっているところなの」
「ふーん」
しかしなあ、よりによって学校の教員か。おじさんのきらいな職種の一つに就きやがるものだ。ついでなので、日教組にでも入ってもらいたい。それにしても、なんで教員になんかなりたいのだろうか。おじさん的には理解不能。
「二番目は真面目に学校通っているの?」
「真面目かどうかはわからないけど、通ってはいるよ。毎日遊び呆けているんじゃないかなあ」
「四番目はどうなの?」
「毎日楽しく中学には行っているけど、勉強は全然しないよねえ」
お母さんの悩みは尽きない。
「それで三番目は?」
「そこにいまいるから、ちょっと替わるね」
ということで、マヌケな三番目と話をする。兄の家庭にはできの悪いガキが四人おり、三番目以外は全員女の子。おかげでこの三番目は、幼いときから肩身の狭い思いをさせられている。
「おまえは全然勉強していないらしいが、受験はどうするんだ」
「うーん、国公立を受けたいと思っているんだけど」
「受けるたって、おまえはオツムを使うより、体を使うほうが楽しいだろ」
「そうなんだけどねえ」
「じゃあ、おじさんがどっかの建築現場を探してやるぞ」
「えー、それはなあ」
「えーって、おまえなあ、大学には勉強しに行くんだぞ」
「そうだけど」
「そんなもの、おまえの性分に合わないだろ。だったら、いまから働けばいいじゃないか」
「そうなんだけど、そうすると生涯賃金がさあ」
なにが生涯賃金だ。しゃらくせえことをぬかすガキである。こちとらの生涯賃金なんざ数百万くらいのものだ。
「それでまあ大学に行くとして、学部はどこに行きたいんだ?」
「スポーツ科学部とかに行きたい」
「なんだそりゃ? そんな学問分野があるのか?」
「いまはそういう学部もあるんだよ」
「ふーん。そこで整体師とか鍼灸師とかにでもなるのか?」
「そういう資格を取ることもできると思うよ」
「おまえは手先が器用なのか?」
「いや、不器用」
「じゃあ、だめだろう。それよりも飯場だな。それがいやなら、料理人でも目指せ。おまえが東京に店を開いたら、おじさんが毎日食いに行ってやるぞ」
「そっちもきつそうじゃない。だいたい、おじさんに来られたら迷惑だし。どうせお金払わないでしょ」
なんだか根性のないガキだなあ。だけど、ガキなんてそんなものである。
「いまはセンター試験っていうんだっけ? あれ、おまえは受けるつもりなの?」
「そうだよ」
「昔は共通一次っていってたんだけど、そのときは1000点満点で、おまえのおやじは1浪したあとは900点以上取っていたんじゃないかな」
「いやあ、あの人は頭のできがちがうもん」
「できがちがうって、おまえはそいつのガキだろ。おじさんだって浪人したら800点以上は取れたぞ。一回浪人して集中して受験勉強すれば、そのくらいは取れるようになれる」
「だって、おじさんだって福岡じゃない」
「アホ。あそこはバカじゃないと入れない大学なの。だいたいおまえな、福岡県の県庁所在地って何市にあるか知ってるか?」
「エーッ?」
「愛知県の県庁所在地は名古屋市だろ。福岡県はどこにあるかわかるか? 小学生の問題だろ」
「エー、どこだろ。福岡市なんてないよねえ」
「そんな市なんあるわけなかやろ。博多市に決まっとろうもん」
小生の薫陶を受けて、こうして三番目は浪人することが決まったのである。

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