ミャンマー・日本語学校ブログ

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ヤンゴン在住12年の作者がお届けします。

海外の報道姿勢について

2008年05月13日 | サイクロン関係
今日は反政府派に批判されることを覚悟でブログを書くことにする。

今日初めてミャンマーのサイクロン禍に関する記事をネットでざっと読んだ。
全ての記事で「今回のサイクロン被害に対する軍事政権の対応は酷い」という論調になっている。
果てしてそうだろうか。私はそうは思わない。

災害の発生の翌日には実に迅速、機敏に動き「自然災害対策本部」を設置し、テインセイン首相が本部長となった。そして首相自ら陣頭指揮を執り、パテイン市に救援拠点を置き、各被災地にヘリコプターで入り、現地の状況を確認し、自身で救援物資を届けている。
他の大臣たちも総動員で各地域の担当を振り分け自ら援助物資を届けている。
被災後から現在まで連日に渡って、その活動ぶりが国営紙などで報道されている。
日本の首相やアメリカの大統領がここまでやるだろうか。
日本の首相のように、被災から何日か経って、防災服を着て現地に入り、住民とちょっと懇談、励まして終わりというような形(人気取り)だけの活動とは全然違うのだ。

「若い僧侶たちが倒れた大木の撤去作業をしているのに政府は何もしていない。」という写真付きの記事があった。私がこの10日間、実際に町を見て回った経験から言えば、大木の撤去作業をしているのは大量に動員された軍の兵士たちであり、僧侶は一度も見かけなかった。
今日も雨が降る中、全身びしょ濡れになりながら、倒木や枯葉の撤去作業をしていた。

「ミャンマー政府は外国からの援助を拒否しているから酷い」というが、援助物資は全て受け取っている。
断わっているのは各国からの救援隊(=人)だけなのである。
断わる理由は明らかである。
受け入れ態勢が出来ないからだ。救援隊がヤンゴン空港に着いたとして、それからどうするというのだろう。誰が救援隊に応対するのか。誰が各救援隊の担当地域を振り分けるのか。地理が不案内な外国の救援隊を現地まで案内するための要員も必要だし、警備の人をつける必要もある。現地には宿泊施設、トイレ、水、電気などない。
国内がてんやわんやの時に、お客様を応対しているどころではないのだ。

欧米からの援助隊がもしヤンゴンに入ってきたら、「わざわざ救援に来たのだから、だれか現地の状況を説明しろ。車を用意しろ。ガイドをつけろ。警備をつけろ。安全を確保しろ。通信機器を用意しろ.....」など次々と注文してくるに違いない。そんなことできないと断われば「受け入れ態勢がなっていない。救援隊を無視している」ともっと非難してくるに決まっている。
それに、現地の悲惨な状況を外国人にあまり知られたくないという気持ちもあるだろう。
どこの国でも、どんな個人でも知られたくない、触れてほしくない部分はあるのが当然だ。
悲惨な状況が世界に伝われば伝わるほど、「政府は何もやってないじゃないか」と非難されるに決まっている。
結局、何をやっても非難されることになるのだ。

これはミャンマー人特有のプライドの高さに関係がある。
軍政だから外国人を断わっているのではなく、文民政権であってもたぶん断わっていると思う。
ミャンマーの人々は本当に誇り高い人たちだ。この点を理解しないと、この国のことはわからない。

「軍が救援物資を横取りしている。」とか「救援物資が空港に放置されたまま」という記事もあったが、この記事を書いた人は本当に事実を確認して書いているのだろうか。

外国からヤンゴン空港に輸送機で届いた救援物資は膨大な量になり、そこからミャンマー軍の小さなヘリコプターに積み替えるのである。軍のヘリに積み込まれたことを見て「横取り」と言っているのだろうか。
「放置されたまま」というが、一度に大量に届いた荷物を小さなヘリで全部をその日のうちに被災地に届けるのは物理的に絶対に無理なことだ。
ある程度は空港の施設内に留め置かざるを得ないのだ。留め置かれた荷物を見て、「放置されたまま」と言っているのか。何を根拠にして「横取り」とか「放置している」とか言っているのか、明らかにしてほしい。

今回の災害に対して、政府は実に機敏に迅速に、指揮系統もきちんとして一生懸命に対処していると思う。
(少なくとも自分はそう信じる。)

これがもし、文民政権だったら.......と思うとゾッとする。
救援活動は遅遅として進まず、もっともっと酷い状況になっていただろう。

何年前か、アメリカ南部に大被害を与えたハリケーンのときに、アメリカ政府は迅速、効果的に対応しただろうか?
日本からの援助の申し入れを、国内で十分対応できるからと断わったのではなかったか。

ヤンゴン市内の交通網は被災後5日にして完全復旧した。
電気も水道も電話も、市内ではどんどん回復しつつある。
あんなにムチャクチャな状態からこんなに早く復旧しつつあるのは、政府の努力の成果であることは認めなればならない。

私は軍政を擁護しているのではない。
民主化を早く実現してほしいと願っている立場だ。
しかし、日本をはじめ欧米のメディアの偏向報道はあまりに酷いと思う。
「軍政=悪」「軍政=酷い」が先にありきで、この線に沿ってしか記事を書こうとしない。
もっと事実を見て偏見のないフェアーな立場から記事を書いてほしいと思う。

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