研究内容

野生動物学研究室の研究内容を紹介します。

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一覧

2012年06月30日 | 遠隔地
遠隔地
 金華山
 岩手県のシカ
 牡鹿半島
 アファンの森
 嬬恋
 浅間山
 八ヶ岳
 乙女高原
 奥多摩
 3つの高山のシカの食性比較


近郊
 日の出処分場
 農地を利用するサル問題
 動物園の動物
 町田里山

 その他これまでにおこなった調査
 

赤丸:現在調査中, 青丸:これまでに調査した場所

 動物園の動物

海外
 モンゴル 放牧と草原の生物多様性
 モンゴル ガゼル


以下工事中
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金華山のシカ

2012年06月17日 | 遠隔地
 高槻は1980年代から金華山のシカと植生の関係を研究してきました。それに関連して群落構造、シカの食性を調べる一方、シカ個体群の動態を追跡しています。一方、南はシカの個体識別に基づく個体間の行動と繁殖成功についての研究を展開してきました。この20年ほどは共同で調査をしてきました。南はとくに繁殖期のオスの行動や個体間関係、樋口はおもにメスの繁殖や育児に関連した研究をしています。H24年の4年生の安田さんはこれまで得られた授乳行動のデータを解析しています。
 毎年3月には麻布大学を中心に他大学などの協力を得てシカの合同調査(個体数調査と生け捕りによる個体別調査)をしています。
 また多くの人の協力を得てシカの死体を発見し、頭骨標本を回収していますが、一部の個体は識別され、メスは出産履歴もわかっています。これまでの調査で、歯に形成される年輪幅と出産歴には強い相関があることがわかっています。サンプルも増えたので、これを含めシカの歯の読み取りをH24年の修士1年の山田佳美さんがおこないます。また4年生の大貫彩絵さんは角を計測して、本土のシカの角と比較しています。







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岩手県のシカ

2012年06月17日 | 遠隔地
 高槻は東北大学にいた時代に岩手県の五葉山でシカの調査をおこないました。これは学生時代からおこなってきた金華山のシカが、島に閉じ込められ高密度で暮らしていることとの比較として始めたものです。その成果は「北に生きるシカたち」(1992, どうぶつ社)に書きました。ここではシカの個体数管理の必要性を説きましたが、その根本にあるのは自然界のバランスが必要であるということでした。当時は今のようにシカが全国的に広がるということはなかったので、シカ個体数管理ということを曲解する人もありました。また行政は「数を減らせばいい」という表層的な理解でとらえることが多く、真意が伝わらないこともあります。
 この調査で高槻が明らかにしたことは、それまでよくわかっていなかったシカの基本的な性質、成長曲線とか妊娠率、食性、群落への影響、季節移動などをひとつひとつ確認したことです。いずれも金華山のシカとは大きく違い、驚きました。
 H24年の4年生の大貫彩絵さんは五葉山のシカの角を「標準」とした場合、金華山のシカの角はどう違うかを調べています。同じ学年の戸田美樹さんは、長い間保護区であった五葉山周辺のシカと増加して分布を拡大しつつあるシカとで食性や妊娠率などがどう違うかを調べています。


雪の中を歩くシカ


ミヤコザサを食べるシカ ミヤコザサはこのシカ集団の主食といってよい
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牡鹿半島のシカと植生

2012年06月17日 | 遠隔地
 金華山にはたくさんのシカがいても、「牡鹿」と名のつく対岸の牡鹿半島にはシカはあまりいませんでした。高槻が1980年代にモミ林の調査をしていますが、シカの痕跡はほとんどありませんでした。ところが1990年代の終わりの頃から徐々に影響がみえるようになり2005年以降は非常に強い影響を受け、植物も減少してきました。宮城県はこのことを重視して2007年から麻布大学と調査を始めました。シカの大きさは金華山よりはかなり大きいですが、岩手県のシカほどは大きくありません。遺伝的にもどちらとも大きく違うことがわかりました。懸命の個体数調整の努力にもかかわらず、半島全域に生息が拡大し、今後半島から本土に広がることが懸念されています。


駆除されたシカを計測する


シカ糞塊密度調査


シカに食べられたスズタケ
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アファンの森  

2012年06月17日 | 遠隔地
 2009年から長野県北部の黒姫にあるアファンの森で生き物調査を始めました。この「森」は雑木林で、1980年代には手入れがされなくなって荒廃していたそうですが、C.W.ニコルさんが買い取って松木さんという地元のおじいさんと適材適木、森林は明るくという方針で管理をしてきたか、たくさんの生き物が「戻って来た」とされています。ただ、そのことは直感的に語られてきたことで、科学的に調べられたわけではありません。私たちが調査を申し出たところ、アファンの森財団はむしろ歓迎ということで、それ以来、毎月のように調査に行っています。
 はじめにセンサーカメラで哺乳類の調査をし、カモシカとサルを除けば、本州の中大型哺乳類がひととおりいることがわかり、驚きました。


よく管理された落葉広葉樹林


スギ林においたセンサーカメラ


調査が終わって記念撮影。2011.7.10

H22年度に4年生だった嶋本祐子さんと野口なつ子さんは異なる管理の森林における訪花昆虫を調べて、草地>落葉広葉樹林>人工林の順で少なくなることを示しました。嶋本さんは大学院進学をして、その調査を継続発展させています。

  
ヒレアザミとスジグロシロチョウ  ヒメジョオンとアオハナムグリ

H23年に入室した佐野朝実さんはフクロウの餌としてのネズミを、池田由香さんは糞虫と死体分解昆虫を、やはり3群落の比較で調べています。


ネズミを捕獲するためのシャーマントラップ


糞虫トラップ


昆虫トラップ。この中に寿司粉末を入れ、ネットをかぶせる。

H24年に入室した笹尾美友紀さんはマムシグサの生活史を訪花昆虫に注目して調べています。萩原もえかさんはオニグルミとリス、ネズミの関係に、小森康之君はネズミの比較生態に挑戦しています。
 全体の精神はありふれた生きものが森林の管理の中でみせる多様な生き方と、そのつながりをきちんとデータで示したいということです。


ひとつの枝の束の下からこんなにたくさんのクルミがみつかった。2012.4.29


リスやネズミの食べ跡のクルミをもつ加古さん

ネズミに食べられたクルミ


リスに食べられたクルミ

12.5.23
マムシグサの花


マムシグサを計測する笹尾さんと記録を手伝う鈴木さん 2012.6.17
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嬬恋

2012年06月17日 | 遠隔地
 浅間山の北側の山麓には広大なキャベツ畑が広がっています。ここでニホンカモシカやイノシシ、ニホンジカなどによる農業被害が発生し、その額は群馬県内で最大です。おもにニホンカモシカが被害を出していると考えられ、駆除も行われています。H24年、4年生の原渚さんはキャベツに被害を出している動物の特定と被害発生のメカニズムについてセンサーカメラを使って調べています。今後は発信器を装着し、浅間山の山中のカモシカなどと比べながら、被害対策とカモシカの保全策についても検討します。3年生の朝倉君は食物となる植物の供給量を調べています。

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浅間山

2012年06月17日 | 遠隔地
南は軽井沢をベースに長年、野生動物の調査をしてきた実績があるので、麻布大学に来てからも調査を展開しています。浅間山にシカが侵入して増加しつつあるので、その実態把握をしてきました。また浅間山の麓でカモシカの調査を始めました。H24年の4年生の高田隼人君は3年生のときからここのカモシカの調査にとりくみ、個体識別をして観察してます。最近は2頭のオスを生け捕りをして電波発信器を装着し、追跡をしています。これまで言われて来たオス同士は排他的ということが必ずしもいえないことがわかってきました。よい調査地なので、3年生とチームを組んで多面的な取り組みをしています。遠藤嘉甫君はカモシカと同所的なほかの草食獣の食性を比較しようとしています。千葉琴美さんは群落利用を調べる予定です。朝倉源希君は食性と群落利用に関連する資源量の測定をしています。こうしてひとつの調査地を複数の学生が分担して分厚い調査をすることはとてもよい形だと思います。


カモシカの観察をする田君


捕獲して電波発信器を装着したカモシカ
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八ヶ岳

2012年06月17日 | 遠隔地
 2008年くらいから八ヶ岳で野生動物の調査を始めました。ここでもシカが増えているので、牧場と周辺の森林で糞密度を調べたら、牧場で多いことがわかりました。また食物としても牧草がよく食べられていました。2009年の4年生だった小林謙斗君はシカとカモシカの食性比較をし、厳密な意味で同所的な2種がシカはササに依存的だが、カモシカは木本類を主体とする食性であること、カモシカの糞のほうがタンパク質含有率が高いことなどを示しました。亜高山帯にヤマネ用の巣箱を置いたところ高率で利用されました。最近はアファンの森や乙女高原での調査も活発になったので、八ヶ岳は少し手薄になっていますが、今年(2012年)は地元の八ヶ岳自然クラブ協力を得てフクロウの食べ物を調べることになりました。


野辺山からみた八ヶ岳


シカとカモシカの植生の比較(Kobayashi and Takatsuki 2011より)


ヤマネ巣箱かけ. 2012.5.26
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乙女高原

2012年06月17日 | 遠隔地
 山梨県の東部、塩山に乙女高原という草原があることは知っていました。ご多分にもれずここでもシカが増えています。シカにどう立ち向かえばよいかということで講演を頼まれたのが2010年の12月でした。依頼したのは地元で自然教育をしておられる植原先生で、お話を聞いて問題はややこしいことがわかりました。もともとこの草原はスキー場にするために森林を伐採してできたものですが、経営がむずかしく閉鎖になりました。しかし草原に咲き乱れる美しい花は市民に愛されてきました。そこで森林にならないよう毎年草刈りがおこなわれて草原が維持されてきました。ここまではいいのですが、シカが入ってはいけないというのは、正当化がむずかしいことです。人は植生遷移が進まないように「不自然」なことをしている。これが許されるのに、なぜ自然の一員であるシカが草を食べることが許されないのか。そういうことも含めて人が生態系を保全するとはどういうことなのかの意味を考えたいと思います。2011年には3年生の高橋君が柵内外の植物の草丈を測定しました。2012年は3年生の加古さんが加わって訪花昆虫の調査をします。


柵内で調査する加古さんと高橋君


ミズナラ林でシカの糞塊密度を調べる


シカ排除の「方形枠」を作る。2012.5.19
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3つの高山帯のシカの食性

2012年06月17日 | 遠隔地
H24年度4年生の鏡内和敬君は登山が得手なので、南アルプス、八ヶ岳、浅間山の3カ所で、山地帯、亜高山帯、高山帯という異なる植生帯でシカの食性比較をしています。シカがこれまで知られていなかった高山帯にまで進出し、影響をおよぼしていることを懸念し、対策に役立つために、実態を記述しようとしています。
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奥多摩のシカの影響

2012年06月16日 | 近郊
 高槻は1997年くらいから東京都のシカ管理の委員をしてきました。当初はシカ問題があまり深刻でないどころか、オスは狩猟禁止措置がとられていました。すでに奥多摩の一部ではシカの被害が問題になっていましたが、現状把握が十分でない東京都は個体数管理には消極的でした。しかし山を歩いた印象はシカの影響が相当強いというものでした。直感的に感じたことは、1)地形がきわめて急峻である、2)人工林が多いということでした。そのためシカの生息密度が低くても、「受け皿」が小さいために、土地、したがってそこに生える植物への影響は強いものとなります。実際に年々植物が貧弱になり、とくにスズタケが枯れて行きました。その結果、起きたことは表土の流失です。
 2011年に修士課程の山田穂高君が奥多摩に8年前に設置された柵の内外を比較し、柵の外では1)植物が貧弱、2)最高温度が上昇、3)乾燥、4)表土流失が多い、5)オサムシなどが少ない、6)糞虫やシデムシが多い、などの結果を示しました。


シカを排除した柵のようす. 2011.5.16


柵外のようす. 目立つ緑はシカの食べないオオバアサガラとイケマくらい.


柵外でめだつイケマ


柵内のプロット


柵外のプロット
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日の出処分場

2012年06月16日 | 近郊
 東京西部に日ノ出町という町があり、そこにゴミ処分場あります。正確には谷戸沢廃棄物広域処分場といいます。丘陵地に穴をほって廃棄物を入れ、1998年に土をかぶせました。高槻はここの生物についての調査の委員をしています。東京で出たゴミは東京で処分するというのは不都合を地方に押し付けないという意味で正しい姿勢です。またそれを駐車場のような施設にしないで、もともとの自然に近い状態に戻そうとする試みがおこなわれていることも評価できることです。初めの頃は園芸植物を植えた「花園」がありましたが、高槻は委員長として「ただのススキ群落をもどして下さい」とお願いしました。その方法は「何もしないこと」です。その結果、数年でみごとなススキ群落が復活しました。そしてノウサギやカヤネズミも暮らすようになりました。もちろんタヌキ、キツネ、アナグマなどもいます。H22年度の4年生だった奥津憲人君はノウサギとカヤネズミの群落選択と食性を調べました。ノウサギはススキ群落と牧草地の両方を使いましたが、カヤネズミはススキ群落だけでした。またカヤネズミは花や昆虫を食べていることもわかりました。同じ学年の坂本有加さんはタヌキが種子散布という機能を果たしているかどうかを調べました。そしてこれまでの日本でのタヌキが食べていたと記録された種子を大幅に更新しました。それだけでなく世界の食肉目の記録でもこれほどの多数、多種が検出されたことはありません。またソーセージに番号付きのマーカーを入れて貯め糞場で回収しました。H24年には4年生の小山めぐみさんが人工巣を利用するヤマガラとシジュウカラの育雛行動をビデオ録画をして解析しています。3年生の鈴木里菜さんは坂本さんのタヌキを、山尾佳奈子さんは奥津君のカヤネズミ調査を引き継いでいます。


処分場に戻って来たススキ群落


カヤネズミの球巣を調べる奥津君 2009.9.15


処分場でみつかったタヌキの貯め糞


タヌキの糞から回収されたラベル


巣箱をチェックする小山さん
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農地を利用するサル問題

2012年06月16日 | 近郊
H24年、修士2年の海老原寛君は神奈川県のサル群のひとつに注目して、農地に依存的な群れと自然状態に近い群れの群落選択を比較しています。その背景には、人間が森林を伐採するなどしてサルの生息地を撹乱した上に、農地があってそこに人出があまりなくなったり、作物を放置したりすることでサルが農地に出て来たら、「猿害」といって駆除するのは理不尽であろうという考えがあります。しかし声高に「駆除反対」というのではなく、なぜサルが農地に出るかを生態学的に説明できれば、それに基づいて農地に出なくすることのヒントが得られるだろうと考えました。発信器のついたサルの位置を追跡しながらデータをとっています。


サルの位置を調べる海老原君 2010.7.21 神奈川県宮ケ瀬
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町田里山

2012年06月16日 | 近郊
 麻布大学の近くに図師小野路歴史環境保全地域があります。多摩丘陵の一部で、市街地の中にすばらしい里山が残っており、伝統的な水田耕作がおこなわれています。H21年度の卒業生の伊澤整君と倉田直幸はここで群落ごとに生息する動物がどう違うかを調べました。伊澤君はセンサーカメラで哺乳類を調べ、倉田君はピットフォールトラップ(コップを地面に埋めて歩いてくる甲虫を捕獲する方法)で地上徘徊性甲虫を調べました。スギ林、コナラ林、畦で比較したところ、哺乳類では違いが小さいのに対して、甲虫では大きな違いがありました。このことは里山の多様な群落を、行動圏の広い哺乳類は「またにかける」ように使うが、飛翔力の乏しい甲虫は狭い範囲で生きていることを示唆します。同学年の落合希さんはベリーの種子散布を調べました。H22年度の4年生である八木愛さん(現在修士2年)は田圃と雑木林の接した場所でヤマアカガエルとトウキョウダルマガエルという2種のカエルの食性を比較しています。


図師の田圃(神明谷戸) 2012.6.28


田植えの準備をする人たち 2010.5.16


調査をする学生たち
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動物園の動物  

2012年06月16日 | 近郊
絶滅に瀕した動物を守るためになんとか調査をしたいが、そもそも絶滅危惧種なのだから簡単に調査はできるはずがない。そういう場合、動物園の動物を調査することで訳に立てる可能性があります。H22年の4年生の野口なつ子さん、H23年の4年生の山本詩織さんはそれぞれインドサイとマレーバクで調査をしました。そのときの目的はこれらの動物が自然界で種子散布の役割を果たしていることを示したいということにありました。ただ数が少ないからとか、大きいから、かわいいから保護したいというのではなく、生態学的にこういう働きをしているから守る価値があるというほうが意義深いと考えたからです。このことは高槻の共同研究者であるアイムサ・カンポス=アルセイスさんがアジアゾウで示したことに影響されたものです。


実験用の餌を食べるインドサイのター(名前)


マレーバク


多摩動物公園でインドサイの採食実験をする野口なつ子さん


マレーシアのノッチンガム大学のアイムサ・カンポス・アルセイスさんはアジアソウの保全研究をしています。高槻は2012年に現地を訪問し、ゾウにGPSを装着するのに立ち会いました。


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