「しょうがね~な~ これからマツタケ採りに行くか?」
事ある毎に「ツカちゃん、マツタケ採りに連れて行って頂戴!」としつこく催促するオイラに根負けしたのか、マツタケ採りの名人"ツカちゃん"は、本日ようやくオイラをマツタケ採りに連れて行く決心をしたのであった。
オイラの高校の先輩であり鯉釣り仲間でもある"ツカちゃん"は、キノコ採りにも精通していて、多い年には4~50本ものマツタケを採るというマツタケ採りの達人でもある。
「まだ時期が早いので採れるかどうかは保障しね~ぞ」と念を押されつつ、永年の念願叶ったオイラは、"ツカちゃん"の秘密のマツタケ山へと勇んで出かけて行くのであった。
マツタケ山へと続く林道は、雨上がり間もないためぬかるんでいて、一歩運転を間違えると谷底へと転がり落ちるようで怖い。
軽トラック1台がようやく通れるほど狭い林道の中腹辺りでは、がけ崩れの跡が何箇所もあり、その所々には大小の岩が道を塞ぐように散らばっている。
「ところでツカちゃん、この辺はクマが出る?」
「あ~出る、出るなんてもんじゃね~ぞ、これから行く場所は近くにクマの巣がある」
恐ろしいことを平然と言ってのけた、水先案内人のツカちゃんでありました。
マツタケが出るとされる松林
「いいか、こういう松があるこの辺や、下草が生えているあの辺がマツタケの出る場所だ」
「へ~そうなんだ~なるほど~」
ツカちゃんからマツタケ採りのレクチャーを一通り受けると、早速マツタケを探すことにする。眼を皿のようにして探すも、マツタケなどそうそう簡単に見つかるものではない。ない、無い、ナイ・・・何にもな~い!
「オ~イッ、ツカちゃ~ん」
「どうした~」
オイラがいる場所から少し離れた下の方からツカちゃんの声が聞こえる。
「オ~イッ、ツカちゃ~ん」
「オメ~もうるせ~な~もう少し静かに出来ね~のかっ!?」
うるさく騒ぐオイラをツカちゃんがたしなめるが、騒いでいないと熊の恐怖に耐えられないオイラであった。
マツタケが出る所に必ず在るとされる植物
綺麗な植物が咲いている。「この花何の花?」とツカちゃんに尋ねると、「この植物が在る場所には必ずマツタケが出る」
ツカちゃんは自信のある顔でキッパリと言い放った。
「へ~ホンマかいな~?」
ちょっと信じられないオイラでした。だって必ずというからにはマツタケが在っても良い筈なのにさ、マツタケなんて何処にも無いもんね「ヘ~ン」だ。
山の中をウロウロすること1時間、「だめだな~やっぱり時期が早いようだ」ツカちゃんはため息混じりの声で呟いた。
いつもの時期なら、9月の中旬にはマツタケがでるそうだが、今年はどうやら遅れているようである。
と言う訳で、本日はこれにてマツタケ狩りは撤収ということに相成りました。でもマツタケ採りのノウハウを教えて貰ったので、「マッ、いっかっ」
野生のツキノワグマ 麻酔が効いているとはいえこの迫力!
「帰りはさっき来た道と違う道を帰るか?」ツカちゃんはそう言うと、先程来た道の逆方向を指差した。
先程の林道も道が荒れていたが、帰りの道は更に荒れていて、岩盤の上に道ができているようである。おまけに、無数に転がっている小石はその先が尖っていて、油断すればパンクしそうな気がしてちょっと不気味。
「こんな熊の巣のあるような場所でパンクなんて洒落にもならん!第一携帯電話も圏外なんて冗談じゃない!」
林道を下ること約30分、人家に近い道路でガーデントラクターに乗った爺さんに出会った。会釈をして通り過ぎようとすると、その爺さんがオイデオイデをしている。
「ンッ?何の用だ?」といぶかしがるオイラ達にその爺さんは言った。「オメさんオメさん、この下の集落でクマがワナに入ったっていうわい」
「そりゃ~是非野生のクマを見に行くべ」てな訳で、教えて貰ったその場所に直行すると、猟友会やら消防団などが大勢集まって大騒ぎをしていた。
麻酔銃で眠らされたクマは、息も絶え絶えに軽トラックに敷かれたブルーシートの上で伸びている。
眠っているって~のに、この圧倒的な迫力は何!これでも小さい方なんだって!こんなのに山の中で出会ったら、一体どうなっちゃうの?きっと小心者のオイラは、その場でクマにエイッとやられる前にションベンを漏らして失神してしまうかも?
こんな爪にやられた日にゃアナタ、ひとたまりもないわな!
見てみて!この恐ろしい爪!こんなのにガツンとやられたら人間の頭なんか吹っ飛んでしまうんでないの?
クマは、クマ用の頑丈なワナではなくサル用のワナに入っていたらしく、暴れでもしたら簡単に壊されてしまう可能性があり、一時は相当キケンな状態であったそうだ。
そのため、この近くの人家には「危ないので見に行かないように」と有線放送が流されたという。
結局このクマは、この後射殺されることなくお灸をすえられ、再び山に返されるという。クマさん、良かったね~命が助かって!もう二度と里に下りてくるんじゃないよ!
餌が少ないため里に下りてくるのは分かるんだけどさ、怖いクマではあるが食べる物が無いなんて・・・気の毒で何か悲しいな~
人気blogランキングへ