今日は休診日だったけれども、昨日夕方にホームクリニックNのT先生から紹介された患者さん宅へ往診に行った。
T先生はぼくの中学時代からの同窓生で、クラスは同じになることは一度もなかったけれども時々ゲームを一緒にした覚えがある。彼も僕も親が産婦人科医だったのだけれども、彼は医学部へ進み僕は商学部へ進んだ。30年近い時を隔てて別の道を歩んできた二人がいま同じ患者さんを診ているのはなんとも不思議な縁としか言いようがない。2年前に腹水の患者さんを往診して、その後ご家族の里芋パスタのお手当の甲斐があって患者さんの腹水が引いたのをT先生が診てからのご縁だ。
今日の患者さんは大腸がんアドバンスで腹水が少し溜まりだしているのだけれども、足にむくみも来ていないし、どこも痛くないという比較的いい状態なんだけれども、精神的に落ち込んでいらしている。なるべく薬を飲みたくない、手術、抗がん剤は怖いというので西洋医学では受けてこなかった、という方。
びわの葉の温灸で腹水が治ると期待されていたので、そうではなくて生姜湿布、里芋パスタという手当が腹水を徐々に減らしてくれること、びわの葉温灸は体を温めて血行などを改善することでがんが育ちにくい体質に変えていくことなどを説いてからお手当を始めた。
生姜湿布、里芋パスタをしたのち、横向きになってもらって背中にびわの葉温灸をする。気持ちよかったようでしばらくするうちに傾眠されてしまった。ので静かに片付けと精算をしてそっとお宅を辞した。中村橋の駅へ向かう中杉通りを歩いていると小雨模様だった空は明るく抜け上がり、夕方の西の空が赤く染まっていた。大鍋を抱えているうえに雨のため長尺の傘も持っていて歩くのに難儀なことこの上なかったけれども、中村橋の駅では渋谷行きの副都心線急行が来ていたし、東急東横線でも座れたので帰りは楽チンで助かった。