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映画:「No Maps」Film部門 プログラムN-A

今年で11回目を迎える札幌国際短編映画祭が,音楽,インタラクティブ部門という二つのジャンルと融合し,新たに「No Maps」というイベントの一部門として,装いも新たに開催されている。
ただ「新たな装い」と言っても,短編映画祭自体はフィルムメーカー,インターナショナル,ファミリー,国内等のコンペに北海道セレクションや招待作品と,例年通りの陣容で,1プログラムの上映は概ね5〜6作品。上映終了後に起こる拍手の大きさで,ウケたかどうかが明確に分かる上,プログラムごとの投票も行われ,観客も映画祭に参加しているという気分が味わえるのもいつも通り。
今日は国内作品のAプログラムを観た。

1 10ミニッツ 監督:長澤雅彦
下松市制作のヒューマン・ストーリー。下松市に住む女子高校生が,親友とのインターネット・ラジオ番組の制作を通して,会ったことのない父親の愛情を受けながら成長していく物語。原作者が演じた声優と瑞々しい若者の交流を,顔を合わせないという制約の下で,リズミカルに紡ぐ作劇が実に巧み。父親の死で不登校になった男の子のエピソードが,やや未消化に終わったことが惜しまれるが,ドラマとしての完成度は高い。

2 ゴーストトラックス 監督:ジェローム・ブルベス
CGにより都会の廃墟を幻想的に描いた一遍。短編映画部門より,インタラクティブ部門の方が相応しかったのでは。

3 戦争のつくりかた 監督:NOddiN
上映前に制作スタッフの方によるステージ挨拶があった。戦争にコミットする可能性が高まった今の日本の状況を描いた絵本を,複数のクリエイターが集まってアニメーションにした作品。志は高く,絵もアニメーターの熱い気持ちがほとばしる力作。ただ,メッセージを映像作品に変換して届ける際に必要な,ストーリーテリングと物語としての余白のようなものが少なく,メッセージが観客の心に届く前に,思いの熱によって火傷してしまう可能性あり。

4 テイク8 監督:上田慎一郎
気弱な自主映画の監督と強気な女優のフィアンセ,女優の父親という三者による抱腹絶倒のコメディ。隣にいた外国人女性二人組(全作品英語字幕入り)は「ギャハハハ」と腹を抱えて笑っていた。脚本は技巧的で,3人の俳優の演技も申し分なかった。しかしクライマックスで,それまで演じていた花婿役の俳優とは似ても似つかない監督が,意を決して代役を務めるという展開は,どう見ても無理がある。この短い時間でほろっとさせるコメディに挑戦する意気込みは半ばまで成功していただけに,画竜点睛を欠いたという印象だった。

5 みつあみの神様 監督:板津匡覧
「わたしを離さないで」とタルコフスキーの「サクリファイス」を足したような物語。放射能らしきものに汚染された世界に住む少女と,そことは隔絶された世界とを往き来する少年との交流が,言葉を話す道具のダイアローグによって語られていく。細かい設定は最後まで説明されないが,全編に横溢する終末的な雰囲気が実に魅力的。青葉市子の音楽もマッチして,私の一票はこの作品に。
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