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映画「ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK」:ツアーが結んだ絆

メンバーがインタビューに対して「全員一致で決めていた」と語る言葉が印象的だ。アルバムとしてはこの作品で描かれる終盤から,ライヴ演奏を行わなくなっていた解散までの時期に作られた作品群の実験精神や充実度が際立っていた一方で,音楽自体の瑞々しさという点では,まさに4人が手を取り合ってオーディエンスに向かって突き進んでいたツアーの時代「THE TOURING YEARS」に分があるということに改めて気付かされる。最新技術によって演奏がクリアになった分,もの凄い音圧で迫ってくるファンの絶叫こそが,その何よりの証明になっている。

「フロスト×ニクソン」「ラッシュ/プライドと友情」と監督人生後期のピークを迎えているように見えるロン・ハワードが,彼の鋭い編集感覚を発揮できる題材に巡り会えたのは,彼にとっても世界中のビートルズファンにとっても実に幸運だったと言える。膨大な映像を前にして彼が取ったのは,実話の映画化である「ラッシュ/プライドと友情」の時と同様に,愛情と尊敬の念を持って題材に接近しつつも,接触する寸前で視点を離して俯瞰する,というアティテュードだった。決してぽっと出ではなく,ハンブルクでの下積みが音楽的なアイデアを形にするための演奏力を養い,ブームを他人事のように感じつつ,その熱狂の中心にいるという事実を反芻して楽しんでいた一方で,次第にプレッシャーに押し潰されそうになっていく彼らの姿が,克明に,しかもシンパシーを持って描かれていく。
特に,出演映画2作を監督したリチャード・レスターがインタビューに応じて,撮影中の彼らの実態を話すシーンは,同業者ロンならではのグッジョブだった。

ブライアン・エプスタインがゲイリー・シニーズにそっくりだったことや,「ビートルズはキリストよりも有名」発言に関するジョンの釈明インタビュー,来日時にホテルから出なかったのは右翼対策だった、等々,マニアという訳ではなかった私にとっては新たな発見も数多く,あっという間の140分だった。
リンゴが入ってバンドの演奏が飛躍的に向上した,という発言が,「レノン・マカートニー」のソングライティングばかりに集中する賞賛の声を,4ピースのバンドだからこそなし得たマジックだった,という方向に少しだけ修正する役割を担うかもしれない,という気持ちを込めて,★ひとつおまけ。
★★★★
(★★★★★が最高)
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