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「アベノミクス前」に逆戻りしてしまった日本株相場

2016-03-30 06:37:27 | Weblog
 「アベノミクス前の感じに戻った」。そう口にする市場参加者が増えている。2012年11月までの相場なわけで、もう3年4カ月も前の話だ。自分が当時残していた場況の備忘録を振り返ると、「こう着」「薄商い(閑散)」「閉塞感」といったワードが多く、「目立った材料のないことが材料」といったフレーズも残していた。確かにそんな感じである、最近の日本株市場。

 データでみても、先週の東証1部の売買代金は目立って少なかったといえる。週間(4営業日)の売買代金合計が7兆7934億円。単純に1日当たりで計算した場合「1兆9483億円」と、2兆円を下回っていた。週間ベースでは今年最低である。

 「グッドフライデー」で海外マーケットの休場が目立った先週末25日には、日経平均株価先物の売買枚数(2万5462枚)が今年最低だった。同日の先物の上下値幅も150円と今年に入って最も小さかった。

 確かに、“アベノミクス前”の感じである。仮に、「アベノミクス前」を2012年の1月~10月末までと定義する。同期間における閑散ぶりをまずはデータでご覧いただきたい。

 “アベノミクス後”から相場を見始めた投資家からすれば「当時のほうがはるかに閑散やないか」という印象を持たれることだろう。売買代金の1日当たり平均は1兆円そこそこで、最低の日は6141億円。日経平均の上下値幅にしても平均90円で、最小は32円……。今では考えられない次元だったのである。

 ただ、この期間の日経平均は、今よりずいぶんと安かった。この期間の日経平均終値を平均すると「9041円」。先週末終値の「17002円」と比べて8000円も安いのである。当時と今を比較し、大まかになるが、株価が2倍強になっていることを前提に見直してみたい。

 株価の絶対値が2倍だとすれば、売買代金は当時の2倍になってもおかしくない(ただし、同じ売買頻度であれば)。上下値幅もしかり。一方、先週の1日当たり売買代金「1兆9483億円」は、半分にすれば1兆円割れとなる。先週末の日経平均(現物)の上下値幅136円も、半分にすれば70円弱。たしかに“アベノミクス前”仕様にモデルチェンジしているような印象だ。

 特に最近は、消費再増税の再延期、10兆円を超えるような財政出動(経済対策)への期待感も醸成されつつある。こういう話がアベノミクス開始から3年以上も経過したのに議論されていること自体、アベノミクス前の暗いムードの「デジャブ」といえる。「保育園落ちた」ブログの後押しもあり、待機児童の解消が経済対策の柱になるといわれている。これも「デジャブ」だ。

(※続く)

■ 気づいた「チェンジ」は当時の政権政党の党名ぐらい

 アベノミクスという言葉が流行語になるほど気勢が上がっていた13年4月。ちょうど3年前だが、安倍首相は6月にまとめる成長戦略の第1弾を表明。そのとき、「3本の矢」とか言っていた成長戦略の先鋒として挙げたのが、待機児童問題の解消だったことを忘れている投資家も多いのではないか? 向こう2年間を「緊急集中取り組み期間」と位置づけて同期間に20万人分、17年度までの5年間で40万人分の保育の受け皿を確保すると……。まさに「デジャブ」……まさに“アベノミクス前”である。

 08年に政治をテーマにした木村拓哉さん主演の「CHANGE(チェンジ)」というドラマが放映されていた。翌09年1月には、米国のトップになった現在のオバマ大統領が演説で語った「Change(チェンジ)」というフレーズに米国も熱狂していた。そういう意味では、12年12月の衆院総選挙は政権チェンジ。だから、「アベノミクス相場」が大相場になったわけだ。

 それと比べて今はどうだろう? アベノミクスをやり直すという感じではあるが、何か胸躍るようなチェンジはあるのだろうか? 消費税にしたって8%が8%のままに据え置かれるかどうかの話。ふだんの生活で、レジに商品を持っていけば搾り取られる消費税なるものの金額は「ノーチェンジ」である。市場関係者が「再延期なら日本株買われます!」と喧伝するが、8%で悪化した実体経済が、8%のままの状態が続くことで回復するという仕組みがさっぱりわからない(消費税を5%に戻すなら大いなるチェンジだが……)。

 チェンジなき“アベノミクス前”相場といった雰囲気漂う株式市場。アンテナが立っていないのかもしれないが、今のところ自分の気づいた「チェンジ」は“アベノミクス前”に政権運営していた旧民主党の党名ぐらいである。

 (おしまい)

結局元の木阿弥?

と言ってもそれでも民主党政権下よりもましだったようなき

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