明日の風

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高尾紳路・新名人

2006-11-05 11:54:00 | 囲碁・将棋
囲碁名人戦は、4勝2敗で、挑戦者・高尾紳路本因坊の名人奪取で決着した。高尾は、藤沢秀行名誉棋聖のまな弟子で、張栩王座・碁聖、山下敬吾棋聖、羽根直樹NHK杯とともに、若手四天王と呼ばれていたが、タイトルに関しては3人の後塵を拝してきた。しかし、昨年の本因坊戦で予想を覆し張本因坊(当時)を圧倒して(4勝1敗)初タイトルに就いたと思ったら、やはり初参加の名人戦リーグでも挑戦権を獲得し、あっという間に棋界の頂点に登りつめた。張に次いで、史上6人目の名人・本因坊である。(囲碁界では、歴史あるこの2つのタイトルを重視する。棋聖を加えて3大タイトルということも多い)
手に汗握る熱戦の連続だったが、第2局が高尾らしい碁だった。実利で先行する張にじっくり付いていく。あまり何もしない高尾に、検討陣からは「形勢判断を誤って楽観しているのでは」の声も。しかし、形勢判断を間違っていたのは検討陣のほうだった。中盤以降は手厚さにものを言わせて寄り付き完勝。高尾が勝った4局中、ただ1局数えずに張が投げて終わっている。
国内無敵と言われる張だが、どうも高尾にだけは分が悪い。今回の名人戦でも、名人戦史上最長手数(364手)の第4局が分水嶺だった。劣勢だった碁を高尾の小さなミスに付け込んではっきり勝ちになっていたのに、目算違いと思われるヨセの凡ミスで痛恨の半目負け(高尾も目算違いしていて、自分が半目負けと思っていた)。ここで2勝2敗に追いついていれば流れは変わっていたかもしれない。
碁打ちは、プロ・アマ含めて、実利派と厚み派に分かれる。目前の現金と将来の可能性のどちらを重視するかだ。高尾は、藤沢の弟子であることからも推測できるように、厚み派である。これまで、囲碁界の第1人者はおおむね実利派が占めてきた。坂田栄男、林海峯、石田芳夫、趙治勲、そして張と、名人・本因坊は、高尾以外みな実利派である。
これは素人の暴言ととられるかもしれないが、厚み派の代表格でアマの人気も高い藤沢や、大竹英雄名誉碁聖、武宮正樹九段らは、良い碁が打てれば勝敗は二の次と考えている気配があって、勝つのはあまり上手ではなかった。その点、高尾は、厚み派でありながら勝つのも上手という希有な存在に思える。
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