日本人よ、目を覚ませ! 価格:¥ 1,365(税込) 発売日:2011-02-21 |
オリジナルパーツで新品以上の特性、音質のMINTモジュールがポリシーなので「奇跡のモジュール」を求めて輸入する際には可能な限り多くのモジュールを購入して、状態のあまり芳しくないものはオリジナルと比べるための素材として徹底的にオーバーホールやリキャップを施したり、ラッキング方法やPSU等を色々試したり比較作業をしていると中には明らかに別格のマッチングペアを発見したものですが、30~50年も経過した現在では、そういった奇跡のモジュールは皆無となってきました。
扱ってきたドイツ物での印象ですが、'50~'60年代の機材に比べ'80年代以降に製造された機材のパーツ劣化(特に電解)は著しいように感じます。中でも東独RFZ V781やRFT NV810/2等は今年に入って交換タイマーが作動したかのように立て続けに交換を余儀なくされていますが、ポイントを押さえたRecapをして、電源、アースライン等のケーブルを引き直しをすればオリジナルの雰囲気を継承しつつ目が覚めたようにアンプのグレードが昇格し、実際の録音現場でも重宝するような「眠くない」アンプへと生まれ変わるケースも少なくありません。
ポリシーを満たすMINT品の入手が困難となった現在、経年劣化で不具合が出た機材を修理する際に、ただ故障箇所を直すのではなく前述のようなファインチューニングも視野に入れた作業を2つ目の柱に据えようと思います。
'70年代のディスクリートモジュールでは、短絡すると直ちに大きな故障に発展する箇所のcapも容赦なくタンタルが使用されている事が多かったのですが、'80年代になって全てが電解capに変わっている事も多く、いくつかのポイントをタンタルに変更する事でアンプのランクが明らかに上がるモジュールも存在します。
'80年代以降の機材に比べると恐ろしい程超寿命のV76の電解capですが、音声系のcapはそのままで平滑capのみの交換でも驚く程フレッシュな表情に生まれ変わり、平滑cap交換の際に少しだけレイアウトをアレンジして1ヶ所のみ電解をフィルムに変えるだけでV76/80がまるでV76sのように変化します。
「奇跡のモジュール」も魅力的ですが、ファインチューンされたビンテージモジュールもそれに負けず劣らず魅力的ですので、オリジナル派の方も是非お試し頂ければと思います。