アニャンゴはルオー族の名前です。朝に生まれた女児に付けられる名前。
日本人ミュージシャン・アニャンゴはルオー族の伝統楽器ニャティティ奏者。日本語とスワヒリ語を交え、元気の良い歌声を聞かせてくれます。
ニャティティは音階を変えられない楽器なのでワン・コードで最後まで歌い切っていますが、その辺に日本語で歌っていながらもアフリカっぽさが強く出ていて新鮮に感じます。
ここで歌われているマタトゥはケニヤを走る乗り合いバス。ワゴン車を改造して座席を増やし、15人くらい乗れるようにしたものが多く使われています。
1台のマタトゥは運転手・料金係・客引きの三人一組で運営されることが多く、そのため「三人組」を表すスワヒリ語・マタトゥと呼ばれています。
市内の移動に使われるものと、幹線道路を走って主要都市を結ぶものがありますが、アニャンゴが歌っているのはナイロビから地方都市に向かう長距離タイプの方。
若い頃、ナイロビでの用事を済ませて、当時住んでいた街・キスムに帰る手段はたいていマタトゥでありました。
ナイロビ下町の発着所には客を待つマタトゥがずらりと並んでいます。先を急ぐ旅であれば、できるだけ満席に近いものを選ぶ必要があります。各車とも出発時間は決まっておらず、満席にならないと発車しないんです。ですから車内ガラガラのクルマを「これは空いてていいやぁ」なんて安易に選んでしまうと、出発するまで何時間も待つ羽目になったりします。
かといって、数名の先客がいるクルマを選んでも、そのヒトタチは実はマタトゥの客引きが小銭で雇ったサクラである場合もあり、その見極めには熟練の目を要します。
満車になったらようやく出発。料金係が乗車賃を集めます。この時、「ちゃんと目的地に到着するまで払わない」なんてワガママ言うと首根っこ掴まれて降ろされます。出発時に、長距離を走行するに足る燃料を買う必要があるので、料金先払いは常識なんです。すでに払い終えた他の乗客から「早く払えよバカ日本人」などと言われてしまうと、車内の雰囲気が悪化して数時間の旅が後味悪いものになるので、さっさと払いましょう。
走り始めると、車窓の景色は慣れないヒトにとっては一種のホラー映画でありましょう。運転状況をヒトコトで表せば「オトコ度胸の一発勝負」というカンジ。ガンガン飛ばします。低スピードで前を行くクルマを追い抜く時も、対向車線にはあまり注意を払いません。イチかバチかの「だろう運転」。
助手席は眺めが良いので、他の席よりちょっと高めの別料金が要求されますが、「こんな怖い思いをするとわかっていれば、わざわざ高い金払ってまで助手席に固執しなかったのに…」と後悔する外国人客は数多くいるようです。
途中の街・ナクルで短時間のオピッコ・タイムを取る以外はずっと走りっぱなしで、♪目指せー、キスム・タウン! ケリチョの丘陵地帯を抜けてカノ平野に入ると、キスムはもうすぐ。ほんの数日間の留守のあとでも、馴染みの街に戻るのはとても気分の良いものでありました。
その馴染み深い「キスム」の名をスワヒリ語でも英語でもない、母国語で明るくポジティブに歌われるのを聴くと、なんだかものすごく嬉しい。
そういえばオトキさんとディスコのハシゴしたっけね。
ビデオに出てくる風景、あの頃とほとんど変わらない。グレートリフトバレーの風景とか、国道沿いで売ってる羊の毛皮とか。
私がいるうちに遊びに来れば?
リンク、お願いします。
もう、ファイトの塊のようであり、超自然体。
ニャティティ習いたさ一心で、ここまで飛び込んでいける人はなかなかいないよ。
その経験があって、あの歌や演奏があるんだと、改めて感慨深く動画見ました。
機会を探して私も読んでみます。
アサンテ。