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月々の活動のまとめ。

タイトル。

2009-12-09 17:00:00 | インポート

作品には「タイトル」がつきものです。
人によっては「無題」とか「Untitled」などもありますが、それも含めて作品の一部なんじゃないかなぁ、と思うのです。

僕は以前はすべての作品のタイトルを英語で付けていました。
理由は簡単。
海外の人にも作品を理解してもらうきっかけとするため。

ずいぶん以前にこんなことがありました。
海外で出品する機会に恵まれ作品を送ったのですが、何せ初めてのことだったので、日本語のタイトルを付けて送ったのでした。ところが現地では日本語のままでは読めないので、スタッフの方かどなたかが訳してくださったのです。でも、、、訳語としては正しかったのですが、タイトルに込めた微妙なニュアンスや背景は失われてしまっていたのでした。訳した方に何の落ち度もなかったのに、です。
それならば、ということで、以降の作品のタイトルを、国内外どこで発表しようとも英語表記にするようにしました。自分で単語を選択することで、伝えたかったニュアンスが失われずに表せると思ったのです。

しかしながら、その後自分で海外に行く機会もあり、改めて英語を学んだり実際に使ってみて思うのは、言語には必ず文化的な背景が含まれると言うこと。
今こうして使っている日本語にも、仏教由来のものがあったり、風土に端を発したもの、記紀神話に基づくものなど様々です。英語もラテン語を起源とした文化に支えられ、例えばギリシャ神話であったり北欧の神話に由来を持つ言葉もあります。
僕が作品を作るにあたって、使っている言語は日本語です。つまり日本文化由来の言語です。
なのにタイトルの表記は英語。。。
英国文化に基づいて作品を作っているワケではないのに。。。

この矛盾を解消するため、ここ最近は日本語のタイトルを付けるようにしています。
もちろん、そのままでは自分の伝えたいニュアンスを海外の方へは伝えられないので、自分なりに英語の持つ文化的背景を理解しながら、自分の言葉で英語に翻訳して、サブタイトルとして付けるようにしています。
仮の共通言語として、です。
英語でも、イギリス人の話すものと、アメリカ人のものは違いますし、インド人の使う英語もまた違います。
アジアの人たちの使う英語もまた、それぞれの文化的背景が感じられるのです。

僕が中学生の時に、オーストラリアからやってきた英語の先生に、君たちの英語は「English」ではなく、「Japanese-English」つまり「Janglish」だ、と馬鹿にされたことがあります。きっと日本語のアクセントが強かったんでしょうね。今ならオージーのアクセントもまた違うんだとわかりますし、むしろその方がその人の背景もわかると思います。中学生当時は馬鹿にされてカチンときたものですが、今では堂々と(?)Janglishを使っております。

英語が唯一の共通言語ではないと思いますが、それはそれで便利なものとして使いつつ、やはり自分の考えの源は日本であり、日本文化なんだなぁ、と感じるのです。
日本語の持つ音の響きや文字を見た時に思い浮かぶ画像も大切にしたいなぁ、と思います。


09_hanaame
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花雨(はなあめ) / Hana-ame (Floral Rain)
和紙、アクリル彩色、木枠張り / Acrylic paints on Japanese paper a sliding frame
410×954mm
2009