天上の月影

勅命のほかに領解なし

和顔愛語

2017年05月26日 | 水月随想

 昨日はお通夜がありました。私どもの地域ではお通夜の折りに法話をする慣習があります。先輩住職によれば、拙寺の前住職がはじめたそうです。仏法を聞いていただく絶好の御縁だからということでした。確かにそうでしょう。けれども、ときには何をお話させていただくか、思い浮かばないことがあります。また五分から十分という時間は、なかなか難しいです。昨日もそうでした。朝から考えてはいましたが、お話の原稿ができません。夜になって、ようやくこれをお話しようと頭で原稿を作り、お通夜の営まれる葬儀会館の控え室に入りましたが、この話というのを頭で繰り返していますと、お亡くなりになった方がいつも月参りのときにお布施をお仏壇の和讃箱の上に置いてくださっていたのを思い出し、そこから連想して布施行の話をすることに変更することにしました。急いで乞眼婆羅門と和顔悦色施を組み合わせ、一般の方々にもわかるような話を考えて、お話させていただきました。
 和顔悦色施のことは、私はたぶんはじめて話をしたと思います。いつもお話をさせていただくのは和顔愛語です。この言葉は『大無量寿経』に出てきます。法蔵菩薩が四十八願を完成するための修行を説かれるなかにあります。親鸞聖人も『教行証文類』「信文類」と『浄土文類聚鈔』に引用されています。ところが大蔵経テキストデータベースで調べてみますと、『華厳経』などにも説かれているようです。まったく知りませんでした。『大無量寿経』の専売特許のように思っていました。昔の和上は大蔵経をずーっと読んで勉強するしかありませんでしたが、いまは一瞬で調べることができます。便利な世の中になったものです。ただし、それでは勉強にならないと叱られるかもしれませんが……。

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6 コメント

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大蔵経テキストデータベース (林遊@なんまんだぶ)
2017-06-03 17:35:32
SATは便利ですね。
『和語灯録』や『西方指南鈔』などをSATから持ってきてUPしてたりします。

http://hongwanriki.wikidharma.org/

なんまんだぶ なんまんだぶ なんまんだぶ
『浄土宗全書』も (水月)
2017-06-04 07:46:32
林遊さま

ありがとうございます。確かにSATは便利です。私は今のような形になる前から利用させていただき、ダウンロードしています。また『浄土宗全書』のデータベースも便利ですね。
昔の人は「ある」ということはいえても、「ない」ということはなかなかいえないと、いわれたそうですが、いまは各種のデータベースで「ない」ということがいえる時代になりました。
慶所聞 (林遊@なんまんだぶ)
2017-06-04 15:12:01
さま付けは勘弁してください。林遊は莫迦ですから。

『浄土宗全書』は画像表示に訓点があるので、漢文の判らない在家の小生でも何とか読めるのでありがたいです。無謀にも『淨土法門源流章』を読み下してUPしたこともあります(笑
僧分の方たちと違って、なかなか原資料に当たることは難しいので、暇をみて御開山の引文された典籍をUPしてたりしてます。
真宗の専門書や法話などで使われる語の出拠を知りたい、という好奇心だったりします。家の後生願いの爺さんが出拠や意味を調べるのに苦労していたので、その影響もあります。

梯實圓和上は自著『法然教学の研究』のはしがきで、

 江戸時代以来、鎮西派や西山派はもちろんのこと、真宗においても法然教学の研究は盛んになされてきたが宗派の壁にさえぎられて、法然の実像は、必ずしも明らかに理解されてこなかったようである。そして又、法然と親鸞の関係も必ずしも正確に把握されていなかった嫌いがある。その理由は覚如、蓮如の信因称報説をとおして親鸞教学を理解したことと、『西方指南抄』や醍醐本『法然聖人伝記』『三部経大意』などをみずに法然教学を理解したために、両者の教学が大きくへだたってしまったのである。しかし虚心に法然を法然の立場で理解し、親鸞をその聖教をとおして理解するならば、親鸞は忠実な法然の継承者であり、まさに法然から出て法然に還った人であるとさえいえるのである。

と、仰っていましたが、御開山は「三法立題」で『教行証文類』を撰述されたのであり、法然聖人抜きで御開山の著述をみると、御開山の本意を見失うのかもです。
林遊は、なんまんだぶ育ちですから、最近の坊さんの、自覚と混同した行のない信心理解は好かんです。で、坊さんに突っ込みを入れて嫌われたりしてるのですが……

ともあれ年をとると、書籍の小さな字が読めないと思量し、自由に文字を拡大できるネット上で文章をUPして楽しませていただいてます。それにリンクという機能で文字の意味や出拠への参照が出来るのも便利ですね。
wikiは、ネット上で自由に文章を記述できるので、浄土真宗の集合知という意味で始めたのですが、全く僧分の方の協力が無いので愕然としたこともありました。坊さんのモットーは「由らしむべし知らしむべからず」なのかと思ったことでした(笑

http://labo.wikidharma.org/index.php/Sitesupport-url
なんまんだぶ なんまんだぶ なんまんだぶ

源流章も? (水月)
2017-06-05 08:05:21
林遊さま(そう呼ばせてください 笑)

WikiArc、すごいですね。
以前に利用させていただきました。貴台のものとも知らずに……。

梯和上の『法然教学の研究』を引用されていますが、私は和上にたいへんお世話になりました。お聖教を拝読しているとき、和上は、ああおっしゃった、こうおっしゃった、と思い出されることです。

源流章もアップされているとのことですが、どこにあるのですか。
淨土法門源流章 (林遊@なんまんだぶ)
2017-06-05 09:05:42

『淨土法門源流章』は以下にUPしてあります。
梯實圓和上の『玄義分抄講述』の幸西大徳の一念義の意を知るためにUPしたものです。脚注に読み下し文がありますが、適当に読み下したので注意されたし。

http://wikidharma.org/59349eb8a3486

あと、『三部経大意』や『醍醐本 三心料簡および御法語』『興福寺奏状』などは、

http://labo.wikidharma.org/index.php/%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%80%85:%E6%9E%97%E9%81%8A

にUPしてあります。
専門的教育を受けたことがないので我流の読みになっていますが、もし宜しければアカウントを作成するので校正して頂ければ幸いです。

なんまんだぶ なんまんだぶ なんまんだぶ

いろいろとまあ (水月)
2017-06-06 07:23:28
林遊さま

ありがとうございます。源流章等、拝見させていただきました。これから利用させていただきます。

校正するほどの力はありませんが、誤りなど気づいた点があれば、お知らせいたします。

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