スパイクとサボテン

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30代Vol54・・・・・ファミリー

2006-06-29 11:15:11 | Weblog
彼女は約束通り、各県を出るときだけ連絡してきた。道で出会う見ず知らずの人から、お金をもらったり、お茶を出してもらったり、ご飯をご馳走になったりしたらしい。「お接待」というらしい。足にマメができてなかなか前に進まない。お遍路転がしという難所が数カ所あり、それが非常に辛いらしい。声は明るく元気にしていることがよくわかった。
 室戸岬から高知に向かう海岸沿いの道は、とても辛かったらしく電話がかかってきた。その後は、各県を出る時のみで、電話の内容も「元気にしている」と簡単だった。声ももう別人になった感じ。そのまま結願。高野山で会う約束になっていたが、一度家に帰って、ちゃんと身だしなみを整えて会いたいと言う。梅田で会う。Gパンにシャツを着てサッパリした格好。ちょっとだけ飲みにいくことに。飲みながら、お遍路中に感じたこと、考えたこと、いろんなことを話してくれた。
僕との関係については、何も喋らなかった。ビールも2杯ほど飲んだところでもう喋ることは無くなった。これで終わりの二人にはもう話すことはあまりない。店をでて、ビッグマンの前まで送っていった。帰り際
「今までありがとう。ムリなことばかり言ってごめんなさい。あなたに会えてよかった。あなたに会えなかったら、自分の本当の気持ちに気が付くことが出来なかった。お別れするのは寂しいけど、本当にありがとう。これで最後にします」
「こちらこそ。ありがとう。僕も君とのことが無かったら、自分の気持ちに向き合え無かったよ。僕はまだまだだけど。僕の優柔不断さが苦しめたと思う。ごめん」
「私は、こうなりたかったから、あなたを選んだのだと思う。幸せな思いでばっかり。掃除と洗濯はちゃんとしてね」
「そう思ってくれると助かる」
「はい、カギ」
「俺も、はい、カギ」
彼女は涙も見せずに、長いエスカレーターを登って行った。振り向きもしなかった。
僕は見えなくなるまで見送って、煙草を吸って帰った。

彼女は寂しさから僕を求め、僕の中から埋めるものが無いことに気がつき、心の穴を埋めるものを出せと暴れた。僕には無かった。彼女の寂しさを埋められるものは家族からの愛情だけだった。彼女は僕と距離ができればできるほど、自分の寂しさの正体と大きさを無意識に気がつきだした。自分で引き寄せた僕、自分で引き寄せた教会のチラシだった。
寂しさの正体に気が付いた人の回復は早い。彼女は自分で寂しさを埋める方法を見つけた。
キリスト教の教えに救われたかもしれないが、僕は教会という家族が彼女を救ったと思った。求めた。与えられた。


「彼女の人生に幸あれ」
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