『平穏死』の次は『自然死 大往生』の本も読みましょう。
『大往生したけりゃ医療とかかわるな 「自然死」のすすめ 中村仁一著 幻冬舎新書
第一章 医療が”穏やかな死”を邪魔している
第二章 「できるだけ手を尽くす」は「できる限り苦しめる」
第三章 がんは完全放置すれば痛まない
第四章 自分の死について考えると、生き方が変わる
第五章 「健康」には振り回されず、「死」には妙にあらがわず、医療は限定利用を心がける
終章 私の生前葬ショー
老人病院の一角で仕事しているので、自分の立場からは矛盾するけれども、著者の言っていることに概ね賛成。
この考え方が普及する暁には、老人病院は潰れ、自分は仕事にあぶれるハメになるんだけどね。
85歳から100歳の御老人を相手にしているから、賛成しているのであって、この年齢の方々を介護している家族も65歳をすぎていますから、65歳前のお若い方に医療にかかわるなと言っているわけではないのでご注意。
極端な崇拝をしてかたくなに全医療を拒否するのは「頭悪い」ので冷静に。
著者中村医師の語り口は、毒舌極まりなく、不謹慎。腹を立てる人もいらっしゃることだろう。「生き物」は美しくて醜いものなので、醜いところは笑い飛ばそう。
90歳でも癌の手術をして戦う方を選択されるのも一つ。戦わずして病に負けるのは信条に反するという人もいるので、それも否定しない。戦って死を迎えるのも大往生。
自分自身は、著者の思いと同じである。(これは家族に伝えておかねば。)
介護するほうからみても、干からびて死ぬのはそんなに悪くない。怖くない。扱いは楽である。(超高齢者の骨皮筋衛門様のご遺体とみずみずしい肉体様の御遺体をくらべると、肉のほうが怖い。)
「親は死なないものだと思っている」家族は意外と多いし、口では「もういつ死んでもいいの」といいながら「自分の若々しさ(90にはみえないでしょ)」を自慢される人も多いし、医者から「齢のせい」といわれて怒っている80代の多いことよ。
自宅で大往生できる人は、ほんとうにお幸せ。自宅で死ぬのをみとどけることができる余裕のある『家族の絆づくり』をしてきた人生の人。現代は、家族に介護力なるものがなくなっているので、施設か病院に行くしかない。自然死させてくれる施設はまだ少ないので、施設にいても最期は病院に送られてしまう。
自分自身の最期は「施設で自然死」を希望。自分が特別養護老人ホームを利用するころまでに、大往生自然死の考え方が普及していることを祈ろう。