映画とライフデザイン

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映画「淵に立つ」 深田晃司&浅野忠信

2017-06-18 20:55:17 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「淵に立つ」は2016年公開の日本映画


カンヌ映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞作品である。深田晃司監督作品は「ほとりの朔子」を見ている。二階堂ふみ演じる福島の田舎町を旅する浪人生が主人公の作品で、非常に感受性の強い少女が大人になるときの微妙な時期を描くみずみずしい映画という印象を受けた。今回は町工場が舞台だが、場所を特定していない。平凡な親子三人家族に浅野忠信演じる夫の旧友が突然住み込みで働くことになる。それにより変貌する家族の姿を描いていく。

深田晃司監督自らの脚本で、予想のつかない展開に持ち込まれるストーリー作りは巧みである。

町の平凡な町工場に夫鈴岡敏雄(古舘寛治)、妻章恵(筒井真理子)と10歳の娘が暮らしている。そこにある日突然1人の男が姿を現す。男は八坂(浅野忠信)といい夫の旧友である。八坂はここで働かせてほしいといい、10年ぶりに出会ったという夫は素直に受け入れる。突然住み込みの男性が働くことは当然妻は聞いていない。驚くが、丁重にふるまう八坂は一緒に住みだす。


その後、娘が八坂になつき、八坂が幼いころに習ったというオルガンの練習曲を娘に教えてあげると、母親も八坂に好感を持つようになる。そして、4人で川のほとりに遊びに出かけたとき、八坂と母親は急接近する。しかし、ここである事件が起きてしまう。

8年後娘は身障者になってしまっていた。新しい住み込みの青年山上(太賀)が夫と一緒に仕事をしていた。絵心がある山上は娘のスケッチを描いている。その山上があるとき八坂という人が以前働いていましたよねと夫に告げる。そして、自分は会ったことはないけれど、山上の実子だと告白するのであるが。。。


小さな零細企業の中で、妻が住み込みの従業員とできてしまいねちっこい愛を重ねるというようないかにも日活ポルノみたいな流れを途中まで連想したら、ここで急激な転換点をつくる。実にショッキングだ。転換点の前に八坂が妻の身体を手籠めにしようとして妻に猛烈な抵抗を受けるシーンが映し出される。そのあとはそれ自体のむごいシーンは映さないが、とんでもないことが起こる。

浅野忠信演じる八坂は、住み込み始めるときはバカ丁寧な態度で通す。しかし、映像は八坂が夫に対して急に言葉遣いを変えて責め立てるシーンを映し出す。この不気味な姿が見どころだ。


あとは妻役の筒井真理子の感情の起伏を丹念に追っていく。陰のある同居人になぜか衝動的に魅かれ、女の欲望をよみがえさせる。しかし、彼女が思っていた以上の意外な展開に驚くと同時に、夫が何でこの男を受け入れたのかということに絶望する。何から何まで悪い方向におちていくことにうろたえる女心をうまく演じている。これはなかなかうまい。

この2人と人生を達観しながらもときどき感情の起伏の激しさを見せる工場主を演じる古舘寛治がいい感じだ。


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