映画とライフデザイン

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映画「恋人たちの食卓(飲食男女)」 アン・リー

2014-07-18 05:36:06 | 映画(アジア)
映画「恋人たちの食卓」は「ブロークバック・マウンテン」と「ライフ・オブ・パイ」で2回アカデミー賞監督賞を受賞している台湾出身のアン・リー監督が94年に製作した作品だ。


見るのは2回目で映画がスタートしていきなり繰り広げられる調理の映像の手際のよさに驚いたものだった。
究極の料理グルメ映画と言ってもよいが、父親と3人の娘との関係を描いた素敵なホームドラマでもある。


舞台は台湾、主人公チュ(郎雄)は一流ホテルの料理長である。妻はすでに亡くなっていて、男1人で娘3人を育ててきた。
長女チアジェン(楊貴媚)は高校で化学を教えている。大学時代の恋愛に失敗がトラウマになって独身を続けている。次女チアチエン(呉倩蓮)は航空会社に勤めるキャリアウーマンで、彼氏もいる。人生設計をしっかり立ててマンションも購入すると宣言する。三女チアニン(王渝文)は大学生で、末っ子らしく伸び伸びと育ち、ファーストフードでアルバイトをしている。

この親子4人は日曜日の夕方に父親の作る豪勢な料理で夕飯を共にするという習慣ができていた。しかし、娘たちはこの晩餐が徐々に重荷になってきた。ある日曜日、味にうるさい次女は父の味覚が衰えたと非難する。

そんな折、幼稚園児の娘と二人暮らしの隣人・チンロン(張艾嘉)の母で、未亡人のリャンおばさん(歸亞蕾)が米国から帰国する。父親のいい話相手になるのではとみんなで話す。
長女は差出人不明のラヴレターが新任のバレーボールのコーチであるミンタオ(盧金城)から来たと胸をときめかす。実は生徒たちにからかわれていたのだ。
次女は本社から来たエリート社員のリーカイ(ウィンストン・チャオ)にひかれる。
三女は友人の恋人だったクオルン(陳昭榮)を奪い取りデートする。日曜日の晩餐の席で三女は「子供ができた。彼と暮らすわ」と爆弾発言して家を出た。家には姉2人と父親が残されるが。。。

1.豪勢な料理
当然プロの料理人が調理していると思うが、手際のよさは圧巻だ。何度みても凄いと思う。
鳥は庭先のかごで飼っているものを捌く。鳥を自宅でしめて捌くなんて芸当は普通はできないよね。
一番食べてみたいのは冬瓜のスープだ。絶妙な味付けと見た眼にわかる。


2.家族間の諸問題
それぞれの家族には、悩みがある。淡々と料理をつくる父親の横で、それぞれが自分のことで頭がいっぱいだ。
もっとも早く結婚しそうだった次女が結局最後まで残ってしまう。購入したマンションの建築業者が破産して手附がパーになったり、恋人に他の女ができたりして運がない。それなのに三女は友人の恋人をちゃっかりいただいてしまい、さっさと家を出ていく。みんな早い者勝ちだという感じだ。登場人物の数が適切で、物語がいいまとまりを見せる。この恋愛模様が楽しい。

3.父親
隣の娘は母娘2人暮らし。父親も幼稚園児のために弁当をつくってあげるのが楽しくなってきた。
そこに未亡人のリャンおばさんが戻ってくる。同じような年代なので、まわりも父親とくっつけようとする。それでうまくいくのかと思いきや、最後にどんでん返しが待っている。これが笑える。



郎雄は初期のアン・リー監督作品には欠かせない父親である。職人的な表情が味があり、実際には他人が調理していると思うけど、妙に役にマッチしている。


コメント
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