車止めピロー:旧館

  理阿弥の 題詠blog投稿 および 選歌・鑑賞など

船坂圭之介さんのうた

2009年05月11日 | 八首選 - 題詠2009
船坂圭之介さんの歌から8首。


091:冬
風葬の果つる姿や 高周波受診アンテナ冬へ傾く

090:長
影長く寄らしめて樹は蒼空へ 我執とは斯くゆるがざるもの

067:フルート
あめに聴く遠鳴る音のかそけさはけだし過ぎたる日のフルートか

064:宮
ふゆ一夜 惑星直列なせるがに津守の宮に音消えて在り

033:冠
むらさきの冠一斉に向かしめて桔梗自生のままいさぎよし

018:格差
眷族のみどりなす群 かへり得ざる格差に痴れて夕餉淋しも

017:解
此方よりは言へぬ訣別ならばこそ身を再誕の海へ解かすか

012:達
葛藤はつねにくらかり孤の悲哀つつむ 千の眼 五百羅漢達


採りたい歌おおく、頭をかきむしりながら8首。
迷ったので、題の取り込み方に唸らされたものを選びました。
読むと豊かなイメージが広がってゆきますが、且つそれが
読み手の個人的な経験とも響きあう、そんな秀歌ばかりと思います。
お気に入りは90番。

2 コメント

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選歌有難う御座います (船坂圭之介)
2009-05-13 22:43:04
選歌有難うございます。透析でなんとか命を繋いでいる身で、充分な検討もしないでお見苦しい歌を並べてやっとゴールした次第です。
 
 身に余るコメントも頂き恐縮しています。

 これからもどうぞ宜しく。
                船坂圭之介
こちらこそありがとうございます (理阿弥)
2009-05-14 03:24:22
船坂様

お歌、ゆっくりと鑑賞させていただきました。
選ばせていただいた作品を改めて読んでみますに、
どの歌にも静かな凛とした空気を感じます。
世界を見つめる眼を、再確認してみたい、そう思いました。

これからもよろしくお願いします。

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