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  理阿弥の 題詠blog投稿 および 選歌・鑑賞など

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西野明日香さんのうた

2009年08月08日 | 八首選 - 題詠2009
西野明日香さんの歌から8首。


015:型
型枠に収まりたくない少年の形残した毛布ほやほや

023:シャツ
よれよれのシャツの形の心して銀の指輪を磨く一日

050:災
真っ白なあの日震災の町は今日南西の風 鯉泳ぎたり

060:引退
「もうわしは引退やあ」と近頃は言わなくなった父が居眠る

066:角
しなやかに落ちてゆく葉の一枚になりたく探す東南角部屋

069:隅
艶やかに手を振れと言う風が吹く成田空港デッキの隅に

090:長
長三度移調して吹く口笛でやぶれたものを君は繕う

094:彼方
彼方より射す陽の強さ躱すごと向き合わなかったメールをひらく



50番。
節句など、定期的に訪れる年中行事をどうして人は大切に思うのか。
その意味がこの歌を読むと分かる気がします。
騒乱の最中では、どんなこともいつもどおりには行えないもの。
つつがなく揚げられた鯉のぼりを見る幸せ。
またその中で蘇る災害の記憶。
そしてまた一年が経った、二年が経った、と
自らの歩みを確認しながら我々は生きているのでしょうね。
鯉の泳ぐ空の色までも見えるような歌。

60番。
引退の言葉を口にしなくなった時が、本当の引退。
なるほど、と思います。心の引退、とでも言えましょうか。
「引退やあ」は「まだやれる」という矜持がなければ
出てこないフレーズ。
平日の午後、暮れかけた光線の中、
居間のソファに座った父親が浮かびました。
自分のこととして考えるときがいずれ・・・くるのかな?
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2 コメント

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はじめまして。 (西野明日香)
2009-08-09 00:40:42
理阿弥様

 私の拙歌も完走の暁には、選歌していただけるのかなぁ~とドキドキしながら楽しみにしながら無事完走することができました。
選歌だけでなく、丁寧に鑑賞していただきコメントくださってとても嬉しいです。

015の歌は、これまでどなたの目にも留らなかった歌でしたので、こちらで救われた気がします^^
私自身も不完全な歌だと上手くまとめられなかったことを後悔していたのですが、きっと理阿弥さんはそのことも解っておられてこの歌の心情を汲み取っていただけたのだろうと思います。ありがとうございました。

又、50番、60番は特別な思いで詠いましたのでそれをそのまま丁寧に読み取ってしただけて感激しております。

理阿弥さんのうたも大変興味深く読ませていただきました。
どのうたも絶妙の比喩で味わい深いものばかりだと思いました。
中でも

搭乗のアナウンスまで僕は僕のあなたはあなたの編集版で

吾が胸をひとりで抱く態(なり)をして肩の後ろの寂し毛を抜く

傷つけたCD返す時のよな震えコーヒー飲んでいきます?

など(他にも沢山あるのですが)が大好きです。
こんにちは。 (理阿弥)
2009-08-09 02:31:56
西野様

はじめまして。

15番の歌からは、脱皮がイメージされますね。
蝶が脱ぎ捨てたさなぎの皮が、ほやほやと湯気を立てている。
大人になる直前の「時」が詠まれているのかな、と思いました。
誰にもあるけれど、一瞬しかもてない時間が。

それから、私の歌も読んでいただいて、ありがとうございます!
下手で汗顔の至りなのですが・・・
どうも理屈で詠む癖が抜けず、精進しようと思っています。

良いお歌ばかり詠ませていただきました、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。

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