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  理阿弥の 題詠blog投稿 および 選歌・鑑賞など

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こうめさんのうた

2009年08月07日 | 八首選 - 題詠2009
こうめさんの歌から8首。


095:卓
ハミングをひとさし指が追いかける 卓上ピアノはかけひきにも似て

071:痩
別々の眠りにつくため街灯の光が痩せた道で別れる

067:フルート
フルートに少女の吐息は訳されて サッカー少年見上げる校舎

053:妊娠
我知らぬ世界はやさしい 妊娠を経てゆっくりとしゃべる友達

043:係
丸缶を給食係はぶちまけて恨まれ許され許すを知りき

030:牛
這ふものはすべて地となす蝸牛 ゲノムも銀河も行けるだらうか

021:くちばし
くちばしで遊び交はせるヒナのごと 歌ふピアノの下の世界で

014:煮
ブンタンはいよいよ煮詰まりジャムとなる 会話が夜を待つ色帯びれば



30番。カタツムリは、遅々とした歩みながらも、
その知る領域を広げていこうとする人類のメタファーと読みました。
水棲の貝類から分化して陸に進んだ彼らのように、
人間もいつか、宇宙に適応するようになるんでしょうか。
あるいは人体という宇宙を掌握するか。

一番のお気に入りは53番。
子をもって穏やかになった友を見つめる、その視線こそがやさしい。
43番もそうですが、詠み手の内面ばかりを詠わず、
人との関係性に光を当てる、そういう作歌スタンスは
いい作品を作り出すための、条件なのではないでしょうか。
作者さん自身の姿というのは、その当てた光の反射で、
おのずと浮かび上がってくるものですしね。
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2 コメント

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ありがとうございます。 (こうめ)
2009-08-11 02:21:13
拙歌を選んでいただき、ありがとうございました。

特に30番は、伝わるかどうか不安になりながら詠んだものだったので、取り上げてもらった上に丁寧に解釈していただき、本当にうれしかったです。

歌を詠むとき、ちゃんと伝わるかいつも不安ですが、こうやって選歌されると非常に励みになります。
ありがとうございました。
こんにちは。 (理阿弥)
2009-08-11 21:28:12
こうめさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

理系的な観点から詠まれた世界が、詩情あふれる言葉で扱われていて、
私好みのお歌が多かったです。
たくさん良い作品を読ませていただいて、ありがとうございました。

今後ともよろしくお願いします。

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