世相の潮目(改題 写真で語る)

話題を現代に求めて「世相の潮目」に改めて、写真はhttp://homepage3.nifty.com/wakoh/ を。

今回は北方四島を日露交渉の主題にはしなかった理由

2016年12月24日 | Weblog
ロシアのプーチン大統領を迎えて行われた日露首脳会談の結果について、大方の日本人の評価はかんばしくないものでした。事前に日本で期待が高まった北方四島の返還に少しも進展がなく、北方四島の開発への経済協力だけを約束しただけでしたから、与党自民党の二階幹事長はがっかりしたと言い、フィナンシャル・タイムスはロシアに有利な結果だったと報じました。

しかし、今回の日露交渉は、日露二国間の利害損得だけで評価するのは間違いであり、広く極東地域の安全保障の観点から評価しなければならないのです。その観点から見れば、現段階で北方四島の返還を実現するよりも、日露両国の外交関係が将来に向けて良好に発展させる方が、より緊急の課題であることが分かります。

ここ十数年の間に起きた極東地域における二つの大陸覇権国、ロシアと中国の立場が交代したことを念頭に置けば、日本の安全保障にとって日露関係の緊密化が極め重要なのです。(参照:日露関係の新しいアプローチに秘められた狙い 平成28年9月17日 )

今回の日露首脳交渉ではアジアの安全保障の議論は表には一言も出ていませんので、平和に慣れた日本人は裏側の大事な事情を理解しないで、四島返還にだけ注目していますが、中国はその間の事情を雄弁に語ってくれています。

「日露領土交渉は安倍首相がロシアを抱き込み、中国に対する包囲網を強化する目論見だが、中露関係の土台を揺るがすことは出来ない」と中国国営新華社通信は伝えています。岡目八目といいますか、対戦者には見えない手筋は傍観者には良く見えるもので、況してアジアでの覇権を狙う中国には直ぐ分かることでした。

尤も、日露首脳交渉を対中包囲網だと中国が非難するのは語るに落ちたということで、逆に中国が日露友好はアジアの平和に寄与するなどと批評したら、日本人は薄気味悪い思いをするのです。(でも、さすがは中国は平和国家だと評価するメディアが日本にはありますが)

安倍首相は日露首脳会談後に、アジア太平洋の安全保障環境は北鮮の核開発、中国の東・南シナ海での振る舞いで厳しい状況にあるので、日露の連携は日本の立場を強め地域の安定に繋がると正直に語ったのは、日露会談の意義を理解しないメディアが日本にあるからです。

今年5月、ロシアのソチで安倍首相は新しいアプローチとして経済協力をプーチン大統領に語りかけましたが、その返事が11月、ペルーのリマで開催された APEC 首脳会議の際に北方四島で日露の共同経済活動をしたいとの返事となって返ってきたのです。

山口県長門市での日露首脳会談は、今年始まった両者の対話を完結させる会議であり、北方四島の帰属を決めるためのものではなく、日露両国の将来に向けた緊密化が狙いだったのです。北方四島の返還よりも、プーチン大統領が、北方四島での「共同経済活動に特別な制度」を認めたことと、その目的が「日露平和条約締結にある明言したこと」こそ注目に値する事実なのです。
(以上)
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